「7人目の勇者」

晴樹

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第6話 勝利の後

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しばらくして、泣き止んだ、女騎士は静かになった。まるで賢者タイムにでも入ったかのようだ。
そんな、女騎士の涙や鼻水で服が汚れてしまった服を着替えに行っていた、姫様が戻ってきた。
「ご苦労様でした、勇者様」
「いえ、それで勝った僕は正式に勇者と認められたということでいいんですよね?」
「ええ、それはもう当然です。召喚された時からあなたはこの国の7人目の勇者様ですから」
…召喚された時から、だと?
「もしかして、試されました僕のこと?」
「ええ、悪いことだとは思いましたが、少し」
「少しって…もうちょっとで殺されるところだったんですけど」
「ふふ、冗談を」
「…冗談では、ないんですけどね…」
笑ってごまかそうとする姫様に追求することはできなかった。ここは大人しく笑い話にでもしておくことにしよう。
「それで、僕はこれから何をすればいいんですか?」
「そうですね、まず国民の皆さんに紹介を兼ねた挨拶をしていただきます」
「今日?」
「いえ、明日です」
「わかりました」
僕はそう言って立ちあがった。
「あれ、どこへ行かれるのですか?」
「部屋に帰ろうと思いまして」
「えっと、いろいろ話さなくてはいけないことがあるのですが…」
「あ、それはまた明日お願いします」
「え、ちょっと、勇者様…」
僕は姫様の止める声も聞かず、自分の部屋に帰ろうとした。
それと同時に、僕たちと席を共にしていた男も立ちあがった。
「私ももういいですよね、姫様」
「そうですね、また明日お願いしますよ、カリューゲル」
姫様にそう言われると男は、走ってその場所を後にした。
そして男は僕の後を追ってきた。
「なぁ」
僕の肩をポンッと叩いてきた。
「いや~、驚いたぜ、アレは一体何をしたんだ?」
男は先の女騎士との戦いを見て、興奮しているようだった。
「何のことだ?」
「とぼけんなよ。お前の能力の事だよ。あれはなんなんだ。どう言った能力を使ったんだ」
興奮しているせいか、男は僕を質問攻めにしてくる。
「おいおい、ちょっと待てよ。どうして能力を使ったと思ったんだ? それよりも何故僕が能力を持ってるって知ってるんだ」
「…何言ってんのさ。勇者として召喚された奴らには能力が与えられるだろ」
「そ、そうなのか! 初めて知った…」
「おいおい、姫様から聞いてなかったのかよ」
「ああ…」
なるほど、勇者にはみな能力が与えられてるのか。まだ、ちゃんと姫様と話をしていないからそう言ったことは全く知らなかった。
「それよりもどんな能力なんだい? もと勇者として聞いておきたいよ~」
ん? もと勇者?
「アンタも勇者だったのか?」
「ん? そんなことも知らなかったのか!」
「ああ…」
「……分かった。この元勇者である私が教えてあげようじゃないか! では、そうだな、君の部屋に行っても構わないかな?」
「ああ、構わない。特に何もないからな」
「それじゃあ、行こう!」
僕は元勇者と名乗る男と一緒に、自室に向かうことになった。
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