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第12話 勇者VS勇者 後編 その1
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「くっ…」
僕は相手の攻撃により膝をついていた。
持っていた剣を地面に突き刺し、休憩をとる。なぜか、その姿を見せると相手も余裕が出てきて、会話に持っていけるようになる。
「どうした、勇者。その程度か?」
相手は煽るように僕を挑発する。でもそれは熱意のある勇者なら、この挑発で攻撃し始めるのかもしれないが、僕はそこまで熱意を持っていないので、全くの効果なし状態である。
「あ~、参ったな…お前の能力強すぎだろ。あれか! 筋力を数倍にするとかなのか? 凄いな!」
「そ、そうか。ボクの能力は太陽の力を利用することによって、力を得ているんだ。凄いだろ!」
「ああ、凄い!」
コイツは馬鹿なのか。と言わざる負えない。
聞きたかったことをあっさり喋っちゃうんだから、有難い。
でも、ヤツの能力のカラクリがわかったからと言って、今はどうすることも出来ない。なぜなら、今は真っ昼間。太陽が姿を消すにはまだまだ時間がかかる。そんな時まで持つわけがない。
さて、どうしたものか…
僕が少し作戦を考えていると向こうも気になっていることを口にした。
「あんたは能力使わないのか?」
それは普通聞いても答えるヤツのいなさそうな質問だった。
これに答える奴なんてただの馬鹿だ。
「ああ、能力ね…こっちの能力は発動させるのが難しいんだ。あることをしないと発動しない。だから、困ってる」
「そうだったんだ…わかったなら、発動条件を教えてくれないか! こっちだけ能力発動させるのはフェアじゃないからね」
と戦っているとは思えないような発言をしてくる。これは罠だろうか…
考える僕は、罠じゃないと思った。
奴は紳士を気取った騎士だと感じるからだ。しかし…能力の発動させるのはいつでも可能だ。でも、発動の仕方によって、効果が違うのだ。
悩む自分に、客たちがブーイングを起こした。それもそのはず。まだ剣をほとんど交わらせていない。だから見ている客たちはつまらないに違いない。
なら、客たちのために動くとしますか!
完全アウェイなコロシアムでわざわざ命をかけて動いてやるんだから感謝しろよ。僕は、戦いを面白くするために動き始めた。
地面に指していた剣先を抜き、そのまま剣先を下に向けたまま、体を脱力させて相手に近づく。そして、顔をから何を考えているのか読まれないために、顔をふせて歩く。
その行動は完全にやる気を失くした人間の行動に見えるだろうか。まぁ、やる気の失くした奴が、そんな行動するわけないんだけどな。
僕は少しずつ近づく。すると、どうだろう。相手は僕と同じように剣を下ろしているではないか! チャンスだ。
相手との距離が剣先の間合いに入る。だが、2人とも動かない。僕はまだ近づく。そして次の瞬間、僕は剣を相手の首を目がけて振った。
ブン。
風を切る音がする。しかし、僕の攻撃は当たらなかった。
「何!」
僕は絶対に躱すことの出来ない距離で攻撃したはずなのに、当たらなかった。それもそのはず、相手は僕の攻撃を読んでいたのだ。攻撃したタイミングで上半身を物凄く、そって避けたのだ。そんな馬鹿なだ。
普通あんなに体をそらすことは出来ない。現に僕は出来ない。だが、それをやってのけるのだから、もう勝てる訳が無い。
仰け反った体をゆっくりと元に戻して相手はこう言った。
「これで終わりかい?」
煽ってきている。なら…
僕は剣を振り回した。しかし、それをすべて綺麗に避けていく。それを見ている観客も楽しそうに湧いている。
これはどう見ても勝てる見込みが無いことを意味しているのだろう。それどころか、誰も僕が勝つ未来など見えていないのだろう。それは僕も同じだった…
僕は相手の攻撃により膝をついていた。
持っていた剣を地面に突き刺し、休憩をとる。なぜか、その姿を見せると相手も余裕が出てきて、会話に持っていけるようになる。
「どうした、勇者。その程度か?」
相手は煽るように僕を挑発する。でもそれは熱意のある勇者なら、この挑発で攻撃し始めるのかもしれないが、僕はそこまで熱意を持っていないので、全くの効果なし状態である。
「あ~、参ったな…お前の能力強すぎだろ。あれか! 筋力を数倍にするとかなのか? 凄いな!」
「そ、そうか。ボクの能力は太陽の力を利用することによって、力を得ているんだ。凄いだろ!」
「ああ、凄い!」
コイツは馬鹿なのか。と言わざる負えない。
聞きたかったことをあっさり喋っちゃうんだから、有難い。
でも、ヤツの能力のカラクリがわかったからと言って、今はどうすることも出来ない。なぜなら、今は真っ昼間。太陽が姿を消すにはまだまだ時間がかかる。そんな時まで持つわけがない。
さて、どうしたものか…
僕が少し作戦を考えていると向こうも気になっていることを口にした。
「あんたは能力使わないのか?」
それは普通聞いても答えるヤツのいなさそうな質問だった。
これに答える奴なんてただの馬鹿だ。
「ああ、能力ね…こっちの能力は発動させるのが難しいんだ。あることをしないと発動しない。だから、困ってる」
「そうだったんだ…わかったなら、発動条件を教えてくれないか! こっちだけ能力発動させるのはフェアじゃないからね」
と戦っているとは思えないような発言をしてくる。これは罠だろうか…
考える僕は、罠じゃないと思った。
奴は紳士を気取った騎士だと感じるからだ。しかし…能力の発動させるのはいつでも可能だ。でも、発動の仕方によって、効果が違うのだ。
悩む自分に、客たちがブーイングを起こした。それもそのはず。まだ剣をほとんど交わらせていない。だから見ている客たちはつまらないに違いない。
なら、客たちのために動くとしますか!
完全アウェイなコロシアムでわざわざ命をかけて動いてやるんだから感謝しろよ。僕は、戦いを面白くするために動き始めた。
地面に指していた剣先を抜き、そのまま剣先を下に向けたまま、体を脱力させて相手に近づく。そして、顔をから何を考えているのか読まれないために、顔をふせて歩く。
その行動は完全にやる気を失くした人間の行動に見えるだろうか。まぁ、やる気の失くした奴が、そんな行動するわけないんだけどな。
僕は少しずつ近づく。すると、どうだろう。相手は僕と同じように剣を下ろしているではないか! チャンスだ。
相手との距離が剣先の間合いに入る。だが、2人とも動かない。僕はまだ近づく。そして次の瞬間、僕は剣を相手の首を目がけて振った。
ブン。
風を切る音がする。しかし、僕の攻撃は当たらなかった。
「何!」
僕は絶対に躱すことの出来ない距離で攻撃したはずなのに、当たらなかった。それもそのはず、相手は僕の攻撃を読んでいたのだ。攻撃したタイミングで上半身を物凄く、そって避けたのだ。そんな馬鹿なだ。
普通あんなに体をそらすことは出来ない。現に僕は出来ない。だが、それをやってのけるのだから、もう勝てる訳が無い。
仰け反った体をゆっくりと元に戻して相手はこう言った。
「これで終わりかい?」
煽ってきている。なら…
僕は剣を振り回した。しかし、それをすべて綺麗に避けていく。それを見ている観客も楽しそうに湧いている。
これはどう見ても勝てる見込みが無いことを意味しているのだろう。それどころか、誰も僕が勝つ未来など見えていないのだろう。それは僕も同じだった…
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