「7人目の勇者」

晴樹

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第13話 勇者VS勇者 後編 その2

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勇者同士が戦っているそのころ…

ガリューゲルと姫様、女騎士が勇者の対決を真剣に見ていた。唯一の勇者の味方である3人である。そんな中ガリューゲルが勇者の戦いを見て、口を開いた。
「あれは、負けそうですね」
だが、その発言に賛同する者はいなかった。しかし、それを否定する者もいない。

「まだ分かりません」
姫様はガリューゲルの発言を否定するでも肯定するでもなく、ただ勇者が勝つ可能性を信じていた。
そんな最中、ガリューゲルは姫様にあることを問いかけた。
「そう言えば、姫様。あの勇者の能力は何なのですか?」
それは女騎士も気になっていた。
今回のような勇者同士の対決であれば、技量も大切だが、勇者に与えられた能力が特に重要になってくるだろう。しかし、我らの勇者はその能力を使っているようには見えなかった。そのため、身体能力の上がった相手の勇者にはもう攻撃すら当たらずに、遊ばれているようだった。
女騎士もガリューゲルの質問に対して、姫様がどうお答えになるのか、答えを待った。
しかし、姫様は「分かりません」と勇者の能力についてお答えにならなかった。それは今までの勇者の時には無かった事だった。
そして、こう言った。

「勇者様本人に確かめられてはいかがですか」
ガリューゲルはその発言を聞くやいなやどうしたものか悩んでいた。それはそうだろう。だって…
「でも、ですね…戻ってくるでしょうか…今年の勇者君は…」
ガリューゲルは困った表情をして答えた。この意見には私も賛成だった。
相手の勇者の力は、我らの勇者をいつでも殺せるレベルであることは、言うまでもなかった。だから、相手が本気になれば、もう終わりになる。そうなれば勇者は生きて戻ってこれるかは、相手の匙加減次第となってしまう。
だが、何故か、私にはまだ勇者が勝ってくれるのではないか、と言う気持ちも残っていた。本来なら誰もそんなことはないくらいに圧倒されているこの戦いなのに、1度手合わせしたからだろうか、彼…勇者には何か秘密があるような気がしてならない。それは多分…あの能力のせいだろう。得たえのしれない能力。


私は姫様の耳元に近づき、小声で聞いてみた。
「姫様、あの勇者の能力ってどんなものなんですか?」
すると姫様が私のことを見て、こう言った。
「さぁ~」
その姿はあまりにも可愛かった。私をキュン死させるレベルであることは言うまでもなく…
しかし、この場所が他国、そして今勇者が命懸けで戦っているおかげで何とか、キュン死せずに済んだので良かった。私は胸に手を当てて、深呼吸をする。そして、脳に永久保存すべく、目を閉じる。
「よし」
目を開けた。するとそれと同時に姫様が話し始めたので、私は姫様の話に耳を傾けた。
「私は勇者様の可能性を信じています。それはあなたもでしょ?」
「え、私は…」

そう言って私は戦っている勇者を見た。するとどうだろう。必死に剣を振り回している勇者が目に映った。あの勇者からは感じられなかった必死さが見て取れた。
私はそれを見て思った。
「そうですね、あの頑張っている様子を見るとなぜか、勝ってくれそうな気がします。もしかしたら、あれも何かの作戦なのかもと思えてなりません」
私は思ったことを口にした。すると姫様は笑った。何がおかしかったのだろう。
「あなたが誰かをそんなふうに思うなんて、初めてですね」
「い、いえ、別にそういうわけでは…ただあの勇者は能力をまだ使ってませんから」
「そうですね、私も勇者様は何か考えがあるように見えます。だから、信じて見守りましょう」
「はい」
私は姫様を信じることにした。
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