19 / 41
第18話 勇者特訓を開始する話 パート2
しおりを挟む
「着いたぞ!」
女騎士に連れてこられた場所は、城から少し離れた建物だった。城よりも小さいかったが、それでもなかなかの大きさの建物だった。強いていうなら、学校に近いものを感じる建物だ。
「ここは?」
と僕は女騎士に問いかける。
しかし、女騎士はここでは説明せずに、「入れば分かる」と言って中に入っていく。僕はその後を追いかけて建物の中に入った。
「あ、カレン隊長!」「ほんとだ、カレン隊長だ!」
と建物の中に入った瞬間、女騎士の周りに女の子達が群がってきた。年齢で言うところ14歳くらいの女の子たちだ。
かく言う僕の年齢は20歳だ。どうでもいいか…
そんなこんなしていると、女騎士が来たことで、女の子達がどんどん数を増して集まっていた。
そろそろ収拾がつかなくなってきていた。
「おい、女騎士!」
と女の子達の渦の真ん中にいる、女騎士を呼んだ。
その声で、女騎士を囲んでいた女の子達の視線が僕に集中する。
僕に向けられられるその目は、「誰アレ?」みたいな目だった。
この国の勇者なのに、知られていないのは少し悲しいな…
「すまない、勇者! ちょっと待ってくれ」
と大変そうに女騎士は返事をした。
すると、さっきまで僕を見ていた子達が、女騎士の発言により僕のことに気付いた。
「あれが今年の勇者なんだ…」
とか、
「そう言えば、見たことある」
と言った発言が聞こえてきた。
…見たことあるなら気付けよ! と思わないでもないがまぁ、いいだろう。
僕はそこで静かに女騎士の到着を待つことになった。
その間、周りの子どもたちを観察することにした。
そして、観察してまずあることに気がついた。
男の子の姿がないのだ。たまたまかもしれないが女の子の姿しか確認出来なかった。
それに、皆同じ服を着ている。肩と胸には鉄でできた鎧らしきものが付いていて服を着て、足元はスカートと、まるで女騎士が着るような格好をしているのだ。それに加えて、腰には物騒だが、剣が携えてある。
その子達を見て思うのは、そう、学校…女騎士を育てる学校の生徒達と言った所だろうか。
次に僕は、女の子達が話している会話に着目してみた。待っているのが暇と言うのもあるが、どんな話しをしているのかと気になったからだ。この国の若い子の流行りを知っておくのも悪くないだろう。
僕は女騎士の周りではなく、それとは少し距離を取っている女の子達の会話を盗み聞きする。
すると聞こえてきたのは
「次って、模擬戦だったよね!」
「そうだよ。でも、めんどくさいよね~」
「そうそう、汗だくになっちゃうし、ちょっと間違えたら大怪我だもんね~」
と言うような会話だった。
やはり、ここは学校のようなものなのだろう。やっぱり、好き嫌いする授業って誰でもあるよな…
何て、昔の自分と照らし合わせながら、話を聞いていた。
するとまた別の場所からきた女の子2人組の会話が聞こえてきた。
「あれが勇者? 」
ん? 僕の話か! これは聞かないといけないな。
「弱そうだね」
僕を見るやいなや、弱そうとは失礼だな。実際弱いけど。
「ほんとそれ、私たちでも勝てるんじゃない」
「そうだよね! あ、でも、勇者って何か特殊能力みたいなの使うんでしょ。もしかしたら、強い能力なのかもしれないよ」
「例えば?」
「例えば…何だろう?」
と言う会話を静かに聞いていた。少し微笑ましい。それに僕の会話で楽しそうにしてくれるのも、嬉しかった。
だが、そんな会話は不気味な会話に変わっていった。
「でも、どんなに強い能力使えても、どうせ死んじゃうでしょ!」
「まぁね…毎年だもんね。毎年殺されてるもんね」
聞き捨てならない会話だった。
毎年死んでいるのか? しかも殺されているだと? そんな話聞いてないぞ。
僕はその話を聞きたかったので、その2人の女の子に話しかけた。
「なぁ? 今の話ってどういう事? 詳しく教えて欲しいんだけど」
「「え?」」
突然話しかけられたことに、2人はビックリしてしまう。
そして「えっと…」と、戸惑っていた。それは話していいのか、悪いのかというのがあるのかもしれない。
すると返答に困っている2人組の所にもう1人女の子が近づいてきた。
そしてその子はこう言った。
「殺されたのよ」
腕を組み近づいてきた子はそう言った。
「殺された? 誰に」
と僕は質問を返す。
「ヴェロニカさん言わない方が…」
と2人組の1人が言うと、ヴェロニカと呼ばれた女の子がその子のことを睨んだ。
そして、「うるさい! 私に命令するな」と同級生らしい子に怒鳴った。すると、その怒鳴られた子は「ごめんなさい…」と謝った。そして離れていった。その子に付き添う形でもう1人の女の子も居なくなった。
空気が悪くなってしまった。一瞬僕のせいかも…と思ってしまった。少なからず罪悪感が生まれてしまった。
しかし、ヴェロニカと呼ばれていた女の子はお構い無しに、話の続きを話始めた。
「殺された、勇者殺しに…」
「勇者殺し?」
「そうよ」
そんな奴がいるのかこの国には…まさかこんな形で知ることになろうとは。
「勇者!」
勇者殺しについて考えていると、女騎士が女の子たちの囲いから抜け出して、こちらに向かってきていた。突然大声で呼ばれたので、僕はビックリしてしまった。恥ずかしいことに…
僕は女騎士に呼ばれたので、勇者殺しについて教えてくれた女の子に別れを言おうと、視線を向けると、さきほどまでいた女の子は既にそこから姿を消していた…
まるで、さっきの女の子が幽霊だったかのように…
女騎士に連れてこられた場所は、城から少し離れた建物だった。城よりも小さいかったが、それでもなかなかの大きさの建物だった。強いていうなら、学校に近いものを感じる建物だ。
「ここは?」
と僕は女騎士に問いかける。
しかし、女騎士はここでは説明せずに、「入れば分かる」と言って中に入っていく。僕はその後を追いかけて建物の中に入った。
「あ、カレン隊長!」「ほんとだ、カレン隊長だ!」
と建物の中に入った瞬間、女騎士の周りに女の子達が群がってきた。年齢で言うところ14歳くらいの女の子たちだ。
かく言う僕の年齢は20歳だ。どうでもいいか…
そんなこんなしていると、女騎士が来たことで、女の子達がどんどん数を増して集まっていた。
そろそろ収拾がつかなくなってきていた。
「おい、女騎士!」
と女の子達の渦の真ん中にいる、女騎士を呼んだ。
その声で、女騎士を囲んでいた女の子達の視線が僕に集中する。
僕に向けられられるその目は、「誰アレ?」みたいな目だった。
この国の勇者なのに、知られていないのは少し悲しいな…
「すまない、勇者! ちょっと待ってくれ」
と大変そうに女騎士は返事をした。
すると、さっきまで僕を見ていた子達が、女騎士の発言により僕のことに気付いた。
「あれが今年の勇者なんだ…」
とか、
「そう言えば、見たことある」
と言った発言が聞こえてきた。
…見たことあるなら気付けよ! と思わないでもないがまぁ、いいだろう。
僕はそこで静かに女騎士の到着を待つことになった。
その間、周りの子どもたちを観察することにした。
そして、観察してまずあることに気がついた。
男の子の姿がないのだ。たまたまかもしれないが女の子の姿しか確認出来なかった。
それに、皆同じ服を着ている。肩と胸には鉄でできた鎧らしきものが付いていて服を着て、足元はスカートと、まるで女騎士が着るような格好をしているのだ。それに加えて、腰には物騒だが、剣が携えてある。
その子達を見て思うのは、そう、学校…女騎士を育てる学校の生徒達と言った所だろうか。
次に僕は、女の子達が話している会話に着目してみた。待っているのが暇と言うのもあるが、どんな話しをしているのかと気になったからだ。この国の若い子の流行りを知っておくのも悪くないだろう。
僕は女騎士の周りではなく、それとは少し距離を取っている女の子達の会話を盗み聞きする。
すると聞こえてきたのは
「次って、模擬戦だったよね!」
「そうだよ。でも、めんどくさいよね~」
「そうそう、汗だくになっちゃうし、ちょっと間違えたら大怪我だもんね~」
と言うような会話だった。
やはり、ここは学校のようなものなのだろう。やっぱり、好き嫌いする授業って誰でもあるよな…
何て、昔の自分と照らし合わせながら、話を聞いていた。
するとまた別の場所からきた女の子2人組の会話が聞こえてきた。
「あれが勇者? 」
ん? 僕の話か! これは聞かないといけないな。
「弱そうだね」
僕を見るやいなや、弱そうとは失礼だな。実際弱いけど。
「ほんとそれ、私たちでも勝てるんじゃない」
「そうだよね! あ、でも、勇者って何か特殊能力みたいなの使うんでしょ。もしかしたら、強い能力なのかもしれないよ」
「例えば?」
「例えば…何だろう?」
と言う会話を静かに聞いていた。少し微笑ましい。それに僕の会話で楽しそうにしてくれるのも、嬉しかった。
だが、そんな会話は不気味な会話に変わっていった。
「でも、どんなに強い能力使えても、どうせ死んじゃうでしょ!」
「まぁね…毎年だもんね。毎年殺されてるもんね」
聞き捨てならない会話だった。
毎年死んでいるのか? しかも殺されているだと? そんな話聞いてないぞ。
僕はその話を聞きたかったので、その2人の女の子に話しかけた。
「なぁ? 今の話ってどういう事? 詳しく教えて欲しいんだけど」
「「え?」」
突然話しかけられたことに、2人はビックリしてしまう。
そして「えっと…」と、戸惑っていた。それは話していいのか、悪いのかというのがあるのかもしれない。
すると返答に困っている2人組の所にもう1人女の子が近づいてきた。
そしてその子はこう言った。
「殺されたのよ」
腕を組み近づいてきた子はそう言った。
「殺された? 誰に」
と僕は質問を返す。
「ヴェロニカさん言わない方が…」
と2人組の1人が言うと、ヴェロニカと呼ばれた女の子がその子のことを睨んだ。
そして、「うるさい! 私に命令するな」と同級生らしい子に怒鳴った。すると、その怒鳴られた子は「ごめんなさい…」と謝った。そして離れていった。その子に付き添う形でもう1人の女の子も居なくなった。
空気が悪くなってしまった。一瞬僕のせいかも…と思ってしまった。少なからず罪悪感が生まれてしまった。
しかし、ヴェロニカと呼ばれていた女の子はお構い無しに、話の続きを話始めた。
「殺された、勇者殺しに…」
「勇者殺し?」
「そうよ」
そんな奴がいるのかこの国には…まさかこんな形で知ることになろうとは。
「勇者!」
勇者殺しについて考えていると、女騎士が女の子たちの囲いから抜け出して、こちらに向かってきていた。突然大声で呼ばれたので、僕はビックリしてしまった。恥ずかしいことに…
僕は女騎士に呼ばれたので、勇者殺しについて教えてくれた女の子に別れを言おうと、視線を向けると、さきほどまでいた女の子は既にそこから姿を消していた…
まるで、さっきの女の子が幽霊だったかのように…
0
あなたにおすすめの小説
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる