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第28話 第二の刺客
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薄暗く月の光が差し込む部屋に今侵入者が殺気を殺しながら寝ている僕に近づいている。この部屋にいるのは僕とその侵入者のみだ。
「ふぅ…」
と侵入者は1つ大きな息を吐いた。そして右手に握った鋭く尖った凶器を強く握り、ベッドの上に寝ている僕の命を狙って飛びかかってきた。身体は軽く天井に頭がぶつかるくらい飛び上がっていた。降りてくるのと同時に手に持った凶器で僕の急所に振り下ろす、そんな攻撃だった。起きていた僕はその急所を狙って攻撃してくることはを先程から頭の中で予想できていた。僕はその考え通りの動きでベッドの上を転がって攻撃を避けた。
「何ッ!?」
と寝ていると思われた僕が急に動き出し、自分の急所を狙った攻撃を避けられたことに対して驚きから声が出ていた。驚きからか、侵入者は動きを止めて固まっていた。
ベッドの上を転がり下りた僕はいつも腰に指している剣を取り、侵入者に剣先を向けた。
「お前は誰だ。なぜ僕の命を狙う」
僕自身も何て臭いセリフを吐いているんだと思ったが、この場には最適な言葉だ。
「……起きていたのか。だが、まだ諦めた訳ではない」
それは僕の言葉に対する返答ではなかった。
自分自身に言い聞かせているようなそんな言葉だった。
「あ、あの……僕の質問に対しての回答……?」
「ない」
そう言うと侵入者は鋭い目になり僕に再び攻撃を開始した。手に持っていた鋭い凶器を僕に向かって投げつける。突然の行動に動揺してしまい動きが遅れる。だが、飛んできたものをすんでのところで剣を振り、叩き落とす。飛んできたものも鉄かなにかで出来ていたのだろう。鉄と鉄がぶつかったような音が響いた。
そして、鈍い音をたてて部屋の床に落ちる。
「やはりこの程度では無理か…」
そう言うと手を後ろに回して自分の腰の付近に手をやる。そして再び同じ凶器が手に握られて前に戻ってきた。
どうやらまだ諦めてくれないらしい。
「ちょっと待ってくれ! 話を使用じゃないか!」
「問答無用!」
そう言うと再び手に持った凶器を飛ばしてくる。凶器は僕の心臓目がけて向かって来るのを再び剣で叩き落した。またぶつかり音を響きかせた。そして鈍い音立てながら床に落ちる。
「ふふ、よくぞまた私の攻撃を避けたな。だが、3度目は無いぞ」
何か楽しんでいるように聞こえる。
侵入者は再び手を後ろに回して自分の腰の付近に手をやる。また、凶器を取り出して来るのだろう。そう思っていたら、いつまでたっても後ろに回した手が帰ってこない。
「無い……」
と侵入者は急に焦り始めた。
「何が無いんだ?」
「クナイ……」
クナイ? クナイってあの忍者が使う武器の事か?
そう思った僕は床に転がっている二つの凶器の一つを拾い上げた。あまりじっくり見ていなかったから気づかなかったが、黒々としたフォルム……これを僕は見たことがあった。実際触るのは初めてだけど。その凶器の正体は忍者が使う武器の1つ、クナイだった。
クナイ……待てよ、クナイって事はもしかして。
ここまできて僕は目の前の侵入者をじっくり見つめた。その姿は黒く、夜の暗さに紛れてはっきり見えない。だけど、その黒さは姿を見られないために来ているのかと思ったが、もしかしてユニフォームだったのでないか。もしそうなら、目の前の侵入者は……
僕は気になったことを問いかける。
「お前もしかして……忍者なのか?」
シンプルイズザベスト!
難しく考えずにそのまま問いかける。
どうせまた何も答えてくれないだろうけど。と考えていると予想外にも返ってきた。
「……忍者を知ってるの!」
それはまるで自分の大好きな作品を知らないだろうと思っていた相手が知っていた、そんな喜びだった。
「あぁ……見るのは初めてだけど」
「まさかお前も日本から来たのか?」
お前も日本から、と言うことはコイツも日本から来ているのか。そら忍者だったら同じ世界でも可笑しくないが。
ん? 日本から? この世界に来た?
僕と同じ……ということはコイツも勇者なのではないだろうか。しかし、このキキタコという国には勇者は僕を合わせて二人しかいない。
だとしたら、こいつは……
僕はある結論に行き着いた。
「お前、モーガン国の勇者か?」
静まり返った部屋に僕の声だけが響いていた。
「ふぅ…」
と侵入者は1つ大きな息を吐いた。そして右手に握った鋭く尖った凶器を強く握り、ベッドの上に寝ている僕の命を狙って飛びかかってきた。身体は軽く天井に頭がぶつかるくらい飛び上がっていた。降りてくるのと同時に手に持った凶器で僕の急所に振り下ろす、そんな攻撃だった。起きていた僕はその急所を狙って攻撃してくることはを先程から頭の中で予想できていた。僕はその考え通りの動きでベッドの上を転がって攻撃を避けた。
「何ッ!?」
と寝ていると思われた僕が急に動き出し、自分の急所を狙った攻撃を避けられたことに対して驚きから声が出ていた。驚きからか、侵入者は動きを止めて固まっていた。
ベッドの上を転がり下りた僕はいつも腰に指している剣を取り、侵入者に剣先を向けた。
「お前は誰だ。なぜ僕の命を狙う」
僕自身も何て臭いセリフを吐いているんだと思ったが、この場には最適な言葉だ。
「……起きていたのか。だが、まだ諦めた訳ではない」
それは僕の言葉に対する返答ではなかった。
自分自身に言い聞かせているようなそんな言葉だった。
「あ、あの……僕の質問に対しての回答……?」
「ない」
そう言うと侵入者は鋭い目になり僕に再び攻撃を開始した。手に持っていた鋭い凶器を僕に向かって投げつける。突然の行動に動揺してしまい動きが遅れる。だが、飛んできたものをすんでのところで剣を振り、叩き落とす。飛んできたものも鉄かなにかで出来ていたのだろう。鉄と鉄がぶつかったような音が響いた。
そして、鈍い音をたてて部屋の床に落ちる。
「やはりこの程度では無理か…」
そう言うと手を後ろに回して自分の腰の付近に手をやる。そして再び同じ凶器が手に握られて前に戻ってきた。
どうやらまだ諦めてくれないらしい。
「ちょっと待ってくれ! 話を使用じゃないか!」
「問答無用!」
そう言うと再び手に持った凶器を飛ばしてくる。凶器は僕の心臓目がけて向かって来るのを再び剣で叩き落した。またぶつかり音を響きかせた。そして鈍い音立てながら床に落ちる。
「ふふ、よくぞまた私の攻撃を避けたな。だが、3度目は無いぞ」
何か楽しんでいるように聞こえる。
侵入者は再び手を後ろに回して自分の腰の付近に手をやる。また、凶器を取り出して来るのだろう。そう思っていたら、いつまでたっても後ろに回した手が帰ってこない。
「無い……」
と侵入者は急に焦り始めた。
「何が無いんだ?」
「クナイ……」
クナイ? クナイってあの忍者が使う武器の事か?
そう思った僕は床に転がっている二つの凶器の一つを拾い上げた。あまりじっくり見ていなかったから気づかなかったが、黒々としたフォルム……これを僕は見たことがあった。実際触るのは初めてだけど。その凶器の正体は忍者が使う武器の1つ、クナイだった。
クナイ……待てよ、クナイって事はもしかして。
ここまできて僕は目の前の侵入者をじっくり見つめた。その姿は黒く、夜の暗さに紛れてはっきり見えない。だけど、その黒さは姿を見られないために来ているのかと思ったが、もしかしてユニフォームだったのでないか。もしそうなら、目の前の侵入者は……
僕は気になったことを問いかける。
「お前もしかして……忍者なのか?」
シンプルイズザベスト!
難しく考えずにそのまま問いかける。
どうせまた何も答えてくれないだろうけど。と考えていると予想外にも返ってきた。
「……忍者を知ってるの!」
それはまるで自分の大好きな作品を知らないだろうと思っていた相手が知っていた、そんな喜びだった。
「あぁ……見るのは初めてだけど」
「まさかお前も日本から来たのか?」
お前も日本から、と言うことはコイツも日本から来ているのか。そら忍者だったら同じ世界でも可笑しくないが。
ん? 日本から? この世界に来た?
僕と同じ……ということはコイツも勇者なのではないだろうか。しかし、このキキタコという国には勇者は僕を合わせて二人しかいない。
だとしたら、こいつは……
僕はある結論に行き着いた。
「お前、モーガン国の勇者か?」
静まり返った部屋に僕の声だけが響いていた。
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