上 下
63 / 154

第六十三話 一馬くんの秘密

しおりを挟む
「実は僕にも秘密があるんです」

そういった一馬くんは僕の方を見ていた。ものすごく真剣な顔である。

「秘密って?」

僕は軽い気持ちで聞いた。どうせ、中学生の秘密なんてしれていると思ったからだ。僕の女装して生活をしているという秘密より重くないだろう…
僕は、一馬くんの話すのを待った。

「…実は僕は……」

僕は一馬くんのしゃべることを息を飲んで待つ。
そして

「僕は…男じゃないんです」

「え…」

一瞬僕と妹は反応できなかった。男じゃない…とは?ということは…

「えっと…一馬くんは男じゃないってことは…女の子ってこと?」
「はい…」

これが中学生の秘密なの。この秘密ってどう考えても、僕の逆バージョンということか。
僕は、一馬くんが女の子であることを告白したが、未だに信じられなかった。
それは、妹もそうらしく、一馬くんにもう一度確認する。

「本当に男の子じゃないの?」
「ご、ごめん…騙してて」
「…」

僕と妹は固まっていた。妹は僕の方を見てくる。僕も妹の方を見た。
僕は妹の方によっていって、語りかけた。

「本当なのかな?」
「わからないよ…私だってずっと男の子だと思ってたし…」
「だよな…」
「私まだ信じられないんだけど…」
「僕もだ」

とひそひそと会話をしている僕たち。ちょうど一馬くんからは見えない角度で話しながら、審議していた。突然性別が違ったなんて言われたら、誰だって疑うだろう。

「確認するしかないな」
「確認って?どうやって?」
「それは決まってるだろ」
「まさか…」
「そのまさかさ」
「て、待ってお兄ちゃん」

僕は妹の言葉を聞かずに、一馬くんの方を見た。一馬くんも急に見られて恥ずかしそうに頬が少し赤くなる。女の子みたいだな。そんな姿を見ると、そう思ってしまったが、まだ女の子であるという確証はないわけで。

「一馬くん?君が本当に女の子なのか確認させて欲しいんだ」
「確認?いいですけど、何をすればいいんですか?」
「ああ、ちょっとパンツを脱いで欲しいんだけど」
「!?」

と驚いた表情をする一馬くん。もしこれでパンツを脱げないのなら、嘘ということになる。これは僕なりの確認方法である、踏み絵方式だ。僕は、一馬くんを見続ける。そして、一馬くんは先ほどよりも頬を赤く染めながら、こう言った。

「わかりました。脱ぎます」
「え…」

一馬くんはそういうと、ズボンに手をかけ始めた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄されましたが、幼馴染の彼は諦めませんでした。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,968pt お気に入り:281

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:16,763pt お気に入り:3,109

貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,008pt お気に入り:3,806

【完結】俺のゆるせないお嬢様(注:付き合ってません)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:39

ある公爵令嬢の生涯

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,306pt お気に入り:16,124

まほ〜少女☆怪盗ルナリ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...