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第八十二話 話を聞いて…
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「う、う、そんな過去があったんだなぁ…大変だったな…」
「あ、あんた何で泣いてますの?」
僕は、鼻水を垂らしながら、涙を拭いていた。こんな悲しいことを話されては、泣かずにはいられない。
「佐奈ちゃん、大変だったね。よく頑張ったね」
佐奈の横にいた妹も話を聞いて、泣いていた。そして妹は泣きながら、佐奈を抱き寄せた。
急なことで佐奈ちゃんもビックリして、どうしたらいいか戸惑っていた。
「や、やめろー」
と言いながらも、真剣に嫌がっているようではなかった。
僕はそれを見ていて、正直羨ましかった。…妹に抱き寄せられてる佐奈ちゃんに対してではないぞ! ただ妹みたいに僕も佐奈ちゃんを、抱きしめてあげたい気持ちだったからだ。別にやましい気持ちがある訳では無いよ!けっして…
「そんな事で、僕に付いてきていたんだ…」
と一馬くんが呟いた。一馬くんは僕と妹のように泣いてはいなかった。それもそのはず、だって一馬くんの話だったのだから。
「そ、そんな事ってことない! 私にとっては大したことだったのですの!」
「そうだぞ! 」
と僕も佐奈ちゃんに同意した。しかし
「どうしてあなたが同意してきますの!」
と怒られてしまった。どうしてだ!僕が何か悪いことをしたか!と思いながらも、怒られたので静かにすることにした。
「ゴホン! 話を戻しますと…」
「いいよもう。大体わかったから。でも、佐奈ちゃんは分かってないかもしれないけど、僕は女の子だよ! 」
「ん? それが何か問題ですの?」
「いやいや、佐奈ちゃん君を助けた時、僕のこと男だと思ってたでしょ」
「まぁ、そうですわね…」
「佐奈はいつ気づいたんだ?」
とまた横槍を入れる。
でも、これは怒られなかった。
「それは、一馬様を付け始めてすぐですわ!」
「え、そんな早く!」
と一馬くんは驚いた。
「そうですわ! 私は…一馬様のような人になりたいのです! だから、性別なんか気にせずに今も付けているんですの!」
サナは一馬くんに、そしてこの場にいる人すべてにそう言った。力強く。
と言うことは…サナちゃんが様付けして呼んでいるのは、憧れの存在だったからか!
「ふふふ、だったら一馬くんは立派な女の子として、佐奈ちゃんの手本として生きていかきゃな!」
「え、僕が立派な女の子として!」
「そらそうだ。一馬くんを見て憧れているのだから、その期待に答えないといけないだろ!」
「でも、突然そんなことを言われても…」
「いいですの! そのままで!!」
「え!」
と一馬くんは驚いたと言った顔をしている。
「私は勝手にしますの! だから、そのままで構いませんの!」
「と、言ってくれてるし、そのままでいいんじゃないか!」
「…って、立派な女の子になれって言ったのお兄ちゃんじゃない?」
「そ、そうだっけ?」
と僕は妹の指摘に対してとぼけて見せる。
しかし、一馬くんは気にしていないようで
「分かったよ、佐奈ちゃん。でもね、ひとつお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「何ですか?」
「うん、僕のこと付けるのをやめてもらえるかな」
「えー、それをやめてしまっては私はどうすればいいのですの!!」
と突然のお願いに困り顔の佐奈ちゃん。
それもそのはず、自分の得意技を封じられてしまったのだから、困るだろう。
ストーカー行為が得意と言うのもどうかと思うけどな。
「これからは僕と一緒に帰ろう」
「へ…」
「僕の後ろではなくて、横に居てくれるかな!」
なんだこれ告白か!
「…いいのですの。私なんかが横にいて…」
「うん、その方が安心だから」
とたぶん、これは本心だろう。
でも、こんなことが言える女の子はイケメンすぎる。僕も惚れてしまいそうになってしまう。
「じゃあ、私も一緒に帰るよ!」
と妹が言った。今まで一緒に帰ったことがなかったことを気にしてたもんな~。
「うん、もちろん!」
と一馬くんが答えた。マジでイケメンすぎる!
「じゃあ、僕も…」
「お兄ちゃんはダメ!」
「な、何でぇ!」
「そらそうだよ! これは女の子しかダメだからだよ!」
「そ、そんなー」
僕は、悲しみに打ちひしがれてるように落ち込んだようにしたが、それとは別に嬉しくもあった。
色々あったが、丸く収まって良かった。
と思ったのだった。
「あ、あんた何で泣いてますの?」
僕は、鼻水を垂らしながら、涙を拭いていた。こんな悲しいことを話されては、泣かずにはいられない。
「佐奈ちゃん、大変だったね。よく頑張ったね」
佐奈の横にいた妹も話を聞いて、泣いていた。そして妹は泣きながら、佐奈を抱き寄せた。
急なことで佐奈ちゃんもビックリして、どうしたらいいか戸惑っていた。
「や、やめろー」
と言いながらも、真剣に嫌がっているようではなかった。
僕はそれを見ていて、正直羨ましかった。…妹に抱き寄せられてる佐奈ちゃんに対してではないぞ! ただ妹みたいに僕も佐奈ちゃんを、抱きしめてあげたい気持ちだったからだ。別にやましい気持ちがある訳では無いよ!けっして…
「そんな事で、僕に付いてきていたんだ…」
と一馬くんが呟いた。一馬くんは僕と妹のように泣いてはいなかった。それもそのはず、だって一馬くんの話だったのだから。
「そ、そんな事ってことない! 私にとっては大したことだったのですの!」
「そうだぞ! 」
と僕も佐奈ちゃんに同意した。しかし
「どうしてあなたが同意してきますの!」
と怒られてしまった。どうしてだ!僕が何か悪いことをしたか!と思いながらも、怒られたので静かにすることにした。
「ゴホン! 話を戻しますと…」
「いいよもう。大体わかったから。でも、佐奈ちゃんは分かってないかもしれないけど、僕は女の子だよ! 」
「ん? それが何か問題ですの?」
「いやいや、佐奈ちゃん君を助けた時、僕のこと男だと思ってたでしょ」
「まぁ、そうですわね…」
「佐奈はいつ気づいたんだ?」
とまた横槍を入れる。
でも、これは怒られなかった。
「それは、一馬様を付け始めてすぐですわ!」
「え、そんな早く!」
と一馬くんは驚いた。
「そうですわ! 私は…一馬様のような人になりたいのです! だから、性別なんか気にせずに今も付けているんですの!」
サナは一馬くんに、そしてこの場にいる人すべてにそう言った。力強く。
と言うことは…サナちゃんが様付けして呼んでいるのは、憧れの存在だったからか!
「ふふふ、だったら一馬くんは立派な女の子として、佐奈ちゃんの手本として生きていかきゃな!」
「え、僕が立派な女の子として!」
「そらそうだ。一馬くんを見て憧れているのだから、その期待に答えないといけないだろ!」
「でも、突然そんなことを言われても…」
「いいですの! そのままで!!」
「え!」
と一馬くんは驚いたと言った顔をしている。
「私は勝手にしますの! だから、そのままで構いませんの!」
「と、言ってくれてるし、そのままでいいんじゃないか!」
「…って、立派な女の子になれって言ったのお兄ちゃんじゃない?」
「そ、そうだっけ?」
と僕は妹の指摘に対してとぼけて見せる。
しかし、一馬くんは気にしていないようで
「分かったよ、佐奈ちゃん。でもね、ひとつお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「何ですか?」
「うん、僕のこと付けるのをやめてもらえるかな」
「えー、それをやめてしまっては私はどうすればいいのですの!!」
と突然のお願いに困り顔の佐奈ちゃん。
それもそのはず、自分の得意技を封じられてしまったのだから、困るだろう。
ストーカー行為が得意と言うのもどうかと思うけどな。
「これからは僕と一緒に帰ろう」
「へ…」
「僕の後ろではなくて、横に居てくれるかな!」
なんだこれ告白か!
「…いいのですの。私なんかが横にいて…」
「うん、その方が安心だから」
とたぶん、これは本心だろう。
でも、こんなことが言える女の子はイケメンすぎる。僕も惚れてしまいそうになってしまう。
「じゃあ、私も一緒に帰るよ!」
と妹が言った。今まで一緒に帰ったことがなかったことを気にしてたもんな~。
「うん、もちろん!」
と一馬くんが答えた。マジでイケメンすぎる!
「じゃあ、僕も…」
「お兄ちゃんはダメ!」
「な、何でぇ!」
「そらそうだよ! これは女の子しかダメだからだよ!」
「そ、そんなー」
僕は、悲しみに打ちひしがれてるように落ち込んだようにしたが、それとは別に嬉しくもあった。
色々あったが、丸く収まって良かった。
と思ったのだった。
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