「バカな男子高校生が女子校に入学しました！」

第１２５話 呼び出し後

｢いやー、ほんと助かったよ｣
伊藤先生は理事長室を出てすぐの廊下で僕に感謝を告げてきた。
どうやら何も発言しなかったのは、先生という立場からだったようだ。もしあそこで変なことを言えば、クビになっていたかもしれないという恐怖があったのかもしれない。
そう思うと、僕が代表して発言していたことは、必然的に良かったのかもな。
｢一時はどうなることかと思ったけど、どうやら呼び出された君たち2人の友達みたいに振舞っていたのが幸をそうしたようだね｣
と伊藤先生は言うが、明らかにそれには無理があると思った。どうやらそれのおかけで切り抜けられたと思っているようで、勘違いも甚だしい限りだ。
でも、一概に行動自体が無駄だった訳では無いとは思う。なぜか小芝居をやったおかげで無事、理事長室から開放されたことは嘘ではないからな。

「そういえばどこから僕たちが廊下を走っていたのが漏れたんだろう…」
と僕が言うと2人は僕の顔を見てこう言った。
「それは、多分…」
「お前が大きな声を出しながら走ってたから、他の先生たちがみてたんだろ」
「じゃあ、僕のせい？」
「「うん」」
2人して同じタイミングで頷いた。

「さぁ、早く教室に帰ろう」

僕は何事もなかったかのように話題を変えた。
2人はやれやれといった表情をしていたがお構いなしに僕は足早に教室に帰った。


「なんだったの？」
教室に帰るなり、教室では僕たちが理事長室に呼ばれたことがクラスの女子たちの話題となっていた。
そのことに１番に聞いてきたのは真城さんだった。
他の女子たちの中には気になってもわざわざ聞こうとする女子はいなかった。
だから僕はわざわざ聞いてくれた真城さんに対して、周りに聞かれないように耳元に囁くように話した。
そして理事長室に呼ばれたのは、朝廊下を走ったことだと言った。
言い終わって真城さんから距離をとると、真城さんは頬を赤く染めていた。

何か恥ずかしいところでもあったか？

僕はクラスの中を見回すと、なぜかこちらに目線が集中していた。
どうやら気になってこちらを見ているらしかった。
その状況を見て、なぜ真城さんが頬を赤く染めていたか理解できた。

なるほど…これは恥ずかしいな。

これほど注目されることなんてあまりないことだから、目立つことが好きでない人間には地獄のようなものだ。

と思う…

それから、今日1日は僕たちが理事長室に呼ばれたということが、話題になっていた。