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三、魔導書
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アルマは深呼吸をして気持ちを整える。
アルマはティナを見つけてしまった。彼女は街を歩いていた。
ここなら作りも複雑だし逃げられるかもしれない……。アルマはそう自分に言い訳して逃げようとしたが、ギリギリの所で踏みとどまった。
アルマは自分に暗示をかける。殺すことを躊躇ってはだめだと。
心を殺す。目的を果たすには相手が誰であろうと殺すしかない。
縮小する筋肉は次の瞬間に爆発する。
「――――ッ!」
地面を思い切り蹴り、全力でティナが立つ場所まで駆ける。
胸ポケットから一冊の本を取り出す。
ティナはアルマが来ることを知っていたかのように動じることなく指を動かした。
指が指し示すのは遥か上空。
ティナが腕ごと振り下ろすと無数の槍が――いや、氷の鳥が降り注ぐ。
「全能の魔導書、第一六の魔法」
だがアルマが本を開きそう呟いただけで鳥は霧散した。
魔導書にはいくつか種類がある。攻撃に特化したもの、防御に特化したもの。あるいは何かを作り出したり、破壊したり。世界には合わせて二三の魔導書があると言われている。
そしてそれらの書物は対になっており、二冊を揃えることで、より大きな効果を得ることが出来る。
しかし世界に一冊のみ、その理から外れた魔導書がある。
それが全能の魔導書だ。その書はそれだけで全ての偉業を成し得る。
人が手にしてはならぬ神器だ。その書に手を伸ばすということは人の理から外れることを指し示す。
しかし、その魔導書は人の手に渡ることは無かった。なぜならその書物は手にする者が生まれながらに扱える能力だからだ。
他の魔導書は遥か昔から人の手によって管理されてきたが、全能の魔導書は持ち主が死ぬと消えてしまう。
そして、次の持ち主の能力としてこの世に現れる。しかしその持ち主は人ではない。それはそうだろう。例え人の形をしていようと、神の力を手にした者は人ではないのだから。
魔女と神の力を持つ者。人から外れた者同士の死闘。生き残った者が、この世に君臨する。
それが幸せかどうかなんて分かりきっている。答えは単純。この先には苦痛しかない。周りからの畏怖、嫉妬、侮蔑。さらには唯一の友を殺したという拭えぬ後悔。
それでもなお、戦わなければならない。それこそが人に対する礼儀であり、友に対する最高の敬意だからだ。
アルマはティナを見つけてしまった。彼女は街を歩いていた。
ここなら作りも複雑だし逃げられるかもしれない……。アルマはそう自分に言い訳して逃げようとしたが、ギリギリの所で踏みとどまった。
アルマは自分に暗示をかける。殺すことを躊躇ってはだめだと。
心を殺す。目的を果たすには相手が誰であろうと殺すしかない。
縮小する筋肉は次の瞬間に爆発する。
「――――ッ!」
地面を思い切り蹴り、全力でティナが立つ場所まで駆ける。
胸ポケットから一冊の本を取り出す。
ティナはアルマが来ることを知っていたかのように動じることなく指を動かした。
指が指し示すのは遥か上空。
ティナが腕ごと振り下ろすと無数の槍が――いや、氷の鳥が降り注ぐ。
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だがアルマが本を開きそう呟いただけで鳥は霧散した。
魔導書にはいくつか種類がある。攻撃に特化したもの、防御に特化したもの。あるいは何かを作り出したり、破壊したり。世界には合わせて二三の魔導書があると言われている。
そしてそれらの書物は対になっており、二冊を揃えることで、より大きな効果を得ることが出来る。
しかし世界に一冊のみ、その理から外れた魔導書がある。
それが全能の魔導書だ。その書はそれだけで全ての偉業を成し得る。
人が手にしてはならぬ神器だ。その書に手を伸ばすということは人の理から外れることを指し示す。
しかし、その魔導書は人の手に渡ることは無かった。なぜならその書物は手にする者が生まれながらに扱える能力だからだ。
他の魔導書は遥か昔から人の手によって管理されてきたが、全能の魔導書は持ち主が死ぬと消えてしまう。
そして、次の持ち主の能力としてこの世に現れる。しかしその持ち主は人ではない。それはそうだろう。例え人の形をしていようと、神の力を手にした者は人ではないのだから。
魔女と神の力を持つ者。人から外れた者同士の死闘。生き残った者が、この世に君臨する。
それが幸せかどうかなんて分かりきっている。答えは単純。この先には苦痛しかない。周りからの畏怖、嫉妬、侮蔑。さらには唯一の友を殺したという拭えぬ後悔。
それでもなお、戦わなければならない。それこそが人に対する礼儀であり、友に対する最高の敬意だからだ。
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