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第八話 本当のさよなら
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事故から1日経ち、俺は何かをしていなければおかしくなりそうだったので、仕事に出勤した。
職場のみんなはかなり心配してくれもう少し休んでもいいよと言われたが、自らの申し出で仕事を続けていた。
1日の業務の中でいつも俺は空を見上げている。今、瑞希はどこにいるのか?もしかしたら帰って来るのかもしれないなどと思いながらずっと空を見上げていた。
時間があき、考える時間が出来ると自分もいっそ、、、と良からぬ思いも頭をよぎる。本当に辛い。気力のみでその日を耐えるしかなかった。
仕事が終わり、知らない番号から携帯に着信。
「はい、もしもし。」
電話の相手は瑞希のお父さんだった。
「少し、時間あるならまた来てもらえるかな?」
そう言われ、俺は彼女の実家に足を向けた。
家に着きチャイムを鳴らすと、前日とは違い落ち着いた顔のお母さんと、優しく迎えてくれたお父さんがいる。
「昨日はすいません。取り乱してしまい、ヒドイ事を言ってしまって。」
お母さんがそう話し出す。
「いえ、大丈夫です」
そう俺が答えると、続けてお父さんが話し始める。
「轢き逃げのトラック運転手、今朝捕まえたと連絡がありました。」
その報告と共に状況の説明があった。
相手は29歳の勤続して三ヶ月の新米トラック運転手。轢いた事に気づく事なく、目的地まで行った所を警察に確保されたらしい。
「気づかない?バイクごと轢いて気づかないなんて事はあり得ない。」
俺は怒りを覚えた。それはご両親も同じだった。
状況説明の後、続けざまにお母さんが話す。
「昨日はあんたのせいで!って思ってしまっていたけど、娘から色々聞いていたし、机に置いてあった手帳も見ました。いっつも良くしてくれてたんだね。ありがとう。そして本当にごめん。」
涙を流しながらそう言ってくれた事に複雑な心境な俺。内容はわからないけど、不謹慎ながら内心は嬉しかった。
その後、今後の話になり、その日の朝に両親は本人確認をして来たらしい。そして間違いなかったので、そのまま葬儀の手続きに入っていると言う。勿論、通夜や告別式には参加するつもりだったが、告別式は親族のみでやるとの事だった。
通夜の日取りを聞き、その日は帰宅する。
通夜当日、葬祭場に着くと驚く程の人がいた。それを見たらいかにみんなに愛されていたのかがわかる。
沢山の人だかりを掻き分け中に入ると、ご家族とお姉さんがいた。お姉さんが俺に気づき小走りで駆け寄って来る。
「あなたが、、、来てくれてありがとうございます。」
会ったことも話したことも無いのに無理して笑顔で挨拶してくれる。そんな対応に深々と頭を下げ、お焼香の列に並び順番を待った。
そして俺の順番。淡々と流れに沿って事を済ますが、何故か涙は出なかった。
参列者の全てがお焼香を終え、最後の挨拶として希望する人々がお別れを告げる時に。もちろん俺も列に並び行こうとしたら、お父さんに声をかけられた。
「綺麗にはしてもらったけど、完全には戻ってないから、あなたは綺麗なままの瑞希を覚えていて欲しい。」
そう言われる。事故の激しさを知っている俺にはその言葉は理解できた。
「わかりました。本当にお気遣いありがとうございます。」
岳や、他のみんながお別れに向かうのを見ながら俺は外で待つ。そして、お通夜全てが終わった。帰ってくるみんな泣いていた。それでも俺はまだ心の整理がついていないのか、相変わらず涙は出ない。
お通夜を終えた後、俺たち関係者で居酒屋に集まり色々な思い出などを話す為に瑞希を偲ぶ会をする事に。
席に着くと一人分多い席がある。岳の彼女の気遣いで、瑞希の分も用意してくれていた。彼女の分もお酒を注ぎ乾杯の後に各々で思い出を語る。みんな顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
そんな中、岳の彼女が口を開く。
「兄やん、大変だったね。もう我慢しなくていいよ。何て言っていいか、わからんけど、頑張ったね。」
そう声をかけられた後、何かが吹っ切れたかの様に涙が溢れ出した。人前でこんなに泣くのは何年ぶりかと思うくらい泣いた。みんな優しく見守り、励ましてくれる。
泣くだけ泣いて少し落ち着いた時、それで初めて現実と受け入れる事が出来た。
その日は遅くなるまで話し瑞希を悔やんだ。
一日が終わっても、もうメールが来ない現実。本当にさよならなんだなと心で思い悲しい気持ちでいっぱいだった。
職場のみんなはかなり心配してくれもう少し休んでもいいよと言われたが、自らの申し出で仕事を続けていた。
1日の業務の中でいつも俺は空を見上げている。今、瑞希はどこにいるのか?もしかしたら帰って来るのかもしれないなどと思いながらずっと空を見上げていた。
時間があき、考える時間が出来ると自分もいっそ、、、と良からぬ思いも頭をよぎる。本当に辛い。気力のみでその日を耐えるしかなかった。
仕事が終わり、知らない番号から携帯に着信。
「はい、もしもし。」
電話の相手は瑞希のお父さんだった。
「少し、時間あるならまた来てもらえるかな?」
そう言われ、俺は彼女の実家に足を向けた。
家に着きチャイムを鳴らすと、前日とは違い落ち着いた顔のお母さんと、優しく迎えてくれたお父さんがいる。
「昨日はすいません。取り乱してしまい、ヒドイ事を言ってしまって。」
お母さんがそう話し出す。
「いえ、大丈夫です」
そう俺が答えると、続けてお父さんが話し始める。
「轢き逃げのトラック運転手、今朝捕まえたと連絡がありました。」
その報告と共に状況の説明があった。
相手は29歳の勤続して三ヶ月の新米トラック運転手。轢いた事に気づく事なく、目的地まで行った所を警察に確保されたらしい。
「気づかない?バイクごと轢いて気づかないなんて事はあり得ない。」
俺は怒りを覚えた。それはご両親も同じだった。
状況説明の後、続けざまにお母さんが話す。
「昨日はあんたのせいで!って思ってしまっていたけど、娘から色々聞いていたし、机に置いてあった手帳も見ました。いっつも良くしてくれてたんだね。ありがとう。そして本当にごめん。」
涙を流しながらそう言ってくれた事に複雑な心境な俺。内容はわからないけど、不謹慎ながら内心は嬉しかった。
その後、今後の話になり、その日の朝に両親は本人確認をして来たらしい。そして間違いなかったので、そのまま葬儀の手続きに入っていると言う。勿論、通夜や告別式には参加するつもりだったが、告別式は親族のみでやるとの事だった。
通夜の日取りを聞き、その日は帰宅する。
通夜当日、葬祭場に着くと驚く程の人がいた。それを見たらいかにみんなに愛されていたのかがわかる。
沢山の人だかりを掻き分け中に入ると、ご家族とお姉さんがいた。お姉さんが俺に気づき小走りで駆け寄って来る。
「あなたが、、、来てくれてありがとうございます。」
会ったことも話したことも無いのに無理して笑顔で挨拶してくれる。そんな対応に深々と頭を下げ、お焼香の列に並び順番を待った。
そして俺の順番。淡々と流れに沿って事を済ますが、何故か涙は出なかった。
参列者の全てがお焼香を終え、最後の挨拶として希望する人々がお別れを告げる時に。もちろん俺も列に並び行こうとしたら、お父さんに声をかけられた。
「綺麗にはしてもらったけど、完全には戻ってないから、あなたは綺麗なままの瑞希を覚えていて欲しい。」
そう言われる。事故の激しさを知っている俺にはその言葉は理解できた。
「わかりました。本当にお気遣いありがとうございます。」
岳や、他のみんながお別れに向かうのを見ながら俺は外で待つ。そして、お通夜全てが終わった。帰ってくるみんな泣いていた。それでも俺はまだ心の整理がついていないのか、相変わらず涙は出ない。
お通夜を終えた後、俺たち関係者で居酒屋に集まり色々な思い出などを話す為に瑞希を偲ぶ会をする事に。
席に着くと一人分多い席がある。岳の彼女の気遣いで、瑞希の分も用意してくれていた。彼女の分もお酒を注ぎ乾杯の後に各々で思い出を語る。みんな顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
そんな中、岳の彼女が口を開く。
「兄やん、大変だったね。もう我慢しなくていいよ。何て言っていいか、わからんけど、頑張ったね。」
そう声をかけられた後、何かが吹っ切れたかの様に涙が溢れ出した。人前でこんなに泣くのは何年ぶりかと思うくらい泣いた。みんな優しく見守り、励ましてくれる。
泣くだけ泣いて少し落ち着いた時、それで初めて現実と受け入れる事が出来た。
その日は遅くなるまで話し瑞希を悔やんだ。
一日が終わっても、もうメールが来ない現実。本当にさよならなんだなと心で思い悲しい気持ちでいっぱいだった。
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