僕の兄は◯◯です。

山猫

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一章

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ーー…声が聞こえる。



「おーい」


「んっ…」



 どうやらあの後、ガチで寝てしまったらしい。


低くも高くもない声に導かれて、うっすらと目を覚ました。


ぼんやりとした視界に映るのは、良くも悪くも平凡寄りの広太のキモ顔ドアップで。


思わず出かけた裏拳をすんでで止められた。チッ!!


「おそよう。もう昼休みだぞ」


「……あー」


「ほらよ」と手渡されたお握りの包みを、ぼんやりしたまま受けとり、そして欠伸一つ。


あれだけ騒々しかった教室も、今では比較的静かになっていたことに安堵した。


 そういやぁ…あれからどうなったんだろ。


他人のことならまだしも自分に関係することなら、気になるわけで。


つられ欠伸をする広太を見上げて、おもむろに訊いてみた。


「……兄上たちは?」


「ん?あぁ、アレな」


「?」


 訊いた途端、不気味に笑いだす広太。


何か変なこと訊いたか?と首を傾げたら、いやと笑い続ける。


「一昨日入った季節はずれの転校生、覚えてるか?」


「は?転校生?」


「そっ。お前の兄貴とはまた違った意味で人気者だった奴。このクラスに居たろ?」


言われて、思い返してみる。


ぁー…確かに、居たような居ないような……。







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感想 14

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