僕の兄は◯◯です。

一章

栄枯盛衰

　モジャ毛を殴ったあの日から一夜明けた、翌日の放課後。


王道ならではの騒ぎ(クラスでわめき散らす)を危惧していた僕としては朝から、現在の放課後までに至る段階の中で、驚きの連続だった。


まず、モジャが普通に挨拶してきた。


クラスメイトだからそこまでは普通だ。義務だ。まだ良い。


　だがその後が、予想外だった。


挨拶した後、僕を見て普通にお辞儀をペコリ。


僕も頭だけペコリ。


モジャは挨拶し返した僕たちに満足したのか、また取り巻きとのお喋りを再開。


以降、睨まれることも絡まれることもなく、至って平和に時間が流れて…現在の放課後に至る。


教室で、帰宅したり居残ったりしている生徒たちが疎らにいる中、いまだ取り巻き＋後にきた兄たちの中で、楽しげに談笑しているモジャを見つめて、僕と広太は顔を合わせ、首を傾げた。


「…あのモジャ、もしかして殴られてあんときの記憶飛ばしてるとかじゃないよな？」


「だったら良いけど。僕のへなちょこパンチで記憶がぶっ飛ぶってのは…さすがにないだろ」


ふりかけの瓶、開けられないぐらい非力なんだぜ。


プルプルしてるもん、腕。開けようとしてめっさプルプルしてるもん。