僕の兄は◯◯です。

山猫

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一章

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 赤髪メシア様には大変悪いが、兄…じゃねぇや顔だけ男のハーレ(以下略)集団にだけはこれ以上、関わりたくないのだ。こればっかりは仕方がない。


赤髪メシア様は視界に入れず「行くぞ薬指」と声をかけた瞬間、つかさず腕を掴まれた。


勿論赤髪メシア様に、だ。


「そんな警戒せんと、別にとって喰おうなんて思うてないし」


「………。」


赤髪メシア様から向けられた、女であったらイチコロであろう優しげな微笑み。その瞳は一切、笑っていなかった。


え、なに、この人怖すぎる助けて薬ゆ……ってまた居ねぇよあのヤロー!


既に立ち去った形跡(飲みかけのポカリ)だけを残し、消えた薬指が憎い。


 逃げ場も親友も失った今、僕に残った選択肢はただ一択のみ。


……みんな『命は大事に』しような。お兄さんと約束だよ(震え声)


生まれたての小鹿のように震えた体を何とかバレぬよう抑えつつ、僕は赤髪メシア……じゃない魔王から数歩距離を取ってから腰を下ろした。座り方は正座です。はい。


ん?僕がチキンだって? ふっ、これだから愚民はバカだなぁ……今さらだ!!


「うーん……逆にめっちゃ警戒されちゃったか。まぁ、しゃーない」


怯えたチワワ状態の僕を不快に、ではなく苦笑で流した赤髪メシアを見て、失礼ながら少しだけ驚いた。


不思議だ。今までの奴らは僕の態度にイラついたり、キレたりしてたのに。


もしかして、この人は今まで絡んできた奴等とは少し、ほんっっっっの少しだけ違うかもと思った僕はちょっとだけ警戒心を解きつつ、チラリと顔色を窺う。


偶然重なった視線に、赤髪メシアはニコッと微笑んだ。


さながらアイドルスマイルばりの笑顔に、コチラも笑顔(固まった)で返す。


レッツ一言、滅びろイケメン。


「おーい、急に目が死んだで。俺何かしたか?」


「癖ですぅ、気にしないでくださいねぇー」


今度は語尾にハートがつきそうなぐらい爽やかな笑顔(心中大荒れ)で言い放った僕に、そっかと納得する赤髪メシア。


いっけね、気持ちが顔面に出てたマジ僕(の顔面)すなお。


もう何でも良いから、早くコイツ帰ってくんないかなーと(現実逃避じゃないよ決して)意識を飛ばしていた瞬間、空を見上げて瞑想していた赤髪メシアが動いた。


「……っと、アカン。忘れるとこやったわ」


「?」



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