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2 学園へ到着
しおりを挟む「もっ、もうっ。アルバンなんか知らないっ。あっちに行けっ!」
俺の住むコーリラル公爵家から学園迄は馬車で20分の距離だ。
学園には、あっという間に着いてしまった。
それなのに俺は馬車からなかなか降りられなくて、その原因を作ったアルバンに悪態をついている。
「フフフ、今日はもう帰ろうか? こんなに蕩けた可愛い顔のティティを、誰にも見せたくないな」
アルバンは楽しそうに微笑んでいる。
馬車の中で滅茶苦茶セクハラしやがって。
深いキスだけでも俺は腰が抜けたというのに、制服の下から忍び込んできたアルバンの手が、色んな所を撫でるから、到着した時には息も絶え絶えだった。
もう少し距離があったら、俺はアルバンから制服を脱がされていたかもしれない。
「もうアルバンとは一緒に登校しないっ。俺は転校するっ!」
初日の登校でこれだ。
こんなセクハラアルバンと毎日、それも登下校一緒だったら俺は死ぬ。確実に死ぬ。
父様に再度頼んで、転校をお願いしよう。
元から乙女ゲームの始まる学園に行きたくなんてなかったんだから。
それなのに、王族だから王立ジェリスト学園に必ず通わなければならないアルバンが、婚約者である俺も同じ学園に通うべきだと言い張って、毎回毎回俺の願いの邪魔をする。
父様に何度頼んでも、その度にアルバンが王家の権力を振りかざしやがる。
父様も末息子の可愛いおねだりよりも、王家の圧に負けたのだ。
結局学園に通うことになった俺だが、アルバンと一緒に登校なんてしたくなかった。
乙女ゲームのストーリーの通りには進行していくとは思っていないけど、それでも乙女ゲーム関連には近づきたくない。
攻略対象者のアルバンと一緒の馬車で登校なんて、乙女ゲームに突っ込んでいくようなものじゃないか。
それなのに今朝のアルバンは、当たり前の顔をして王家のゴージャスな馬車を、コーリラル公爵家に乗りつけた。
両親も兄様も姉様も、うんざりした顔をして『ですよね~』って言っていた。
アルバンが公爵家に来る前に、サッサと家を出ておけばよかった。
そんな俺のことをアルバンは見越しており、登校時間よりも随分と早くにやって来た。俺はまだ寝ていたんだよ!
そして公爵家で俺を膝に乗せたまま、朝食まで食っていきやがったのだ。
母様もアルバンの朝食をちゃんと用意していた。先ぶれも無かったというのに。
朝食を食べ終えた俺は、そのままアルバンにドナドナされながら王家の馬車に乗せられてしまったというわけだ。
「何度も言っているだろう。ティティが私の元から離れることは許さないよ。学園に通いたくないのなら、私の部屋で大人しく待つしかないな。ティティが私の部屋にいてくれるのなら、私も学園を辞めてもいいよ」
「いや意味解らんし。王族様が王立学園を中退できるわけがないだろう。それに俺をどさくさに紛れて監禁しようとするな。引きこもるならコーリラル公爵家の自分の部屋でするわ」
もう何度交した分からない言い合いをしながら、俺はアルバンのエスコートを受けて馬車から降りる。
悪態をつき続ける俺を、アルバンは可愛くて仕方がないっていう表情のまま引き寄せて、ガッチリと腰を抱く。
恥ずかしいからと、俺がどんなにアルバンから離れようと抵抗したって、非力な俺には無理なことは分かり切っている。
すでにアルバンとは10年の付き合いだ。諦めるって大事。
そのまま俺達は、入学式の行われる講堂へと向かうのだった。
――― ――― ―――
※ 最初に書き忘れてました!
このお話は、6話プラス番外編3話です。
よろしくお願いします。
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