8 / 34
7.覚えておけよ<翼竜との遭遇戦>
しおりを挟む
河は蛇行する。
蛇行と『ヘビ』と書かれてくらいにぐにょぐにょだ。
西に進むと思えば、いつの間にか南に向かっていた。
西南ではなく、南だ。
規模が大き過ぎて気付かなかった。
大河沿いに進めば間違いないと思っていた私が馬鹿だった。
もっと早く気付けよ。
再び北西に進路が変わり、西南に曲がった所で河を離れて、森をショートカットするつもりで西に進路を取った。
河から離れると翼竜がいる山が近くに感じられた。
海から10日ほど観察したが、翼竜は山から出ない。
山に近づかなければ、危険はない。
2~3年もすれば、魔石狩りに行ってやろうなどと考えていた。
翼竜程度、本来なら私の敵ではないのだ。
そんな訳で翼竜に特別な警戒がなかったのも事実だ。
所詮、翼竜如きだ。
河沿いから外れると山が近く、すでに彼らの領域に入っているとは思っていなかった。
森は鬱蒼と木々が生えて、辺りがまったく見えない。
クーちゃんのマップ機能を頼りにしているが、進んでいる方向が間違っていないか位にしか役に立たない。
一度、領内を1周すれば、どこにいるか判る便利な機能なんだけどね。
行った事のない場所では役に立たない。
“くぅ、くぅ、くぅ”
クゥちゃんが俺は護衛で案内係じゃないと苦情を言う。
知っていた。
ずっと地図と睨めっこしている訳じゃない。
見ていなかった。
そうでなきゃ、太陽の位置を見て南に向かって歩いていると気付いていたよ。
それに護衛と言うけど、ここの敵はクゥちゃんより強く、護衛としても今一なんだよね。
クゥちゃんがファイティングポーズを取って、ボクサーのように拳を振る。
でも、可愛らしいであって強そうに見えない。
そういう見た目に私が造ったからね。
しばらく歩いたので索敵魔法を放った。
魔席無しの魔獣が消えた。
魔石持ちの魔獣が逃げて行く。
私の魔石が・・・・・・・・・・・・。
これからは索敵魔法の距離を絞り、回数を減らした方がいいかもしれない?
◇◇◇
薬草を採取しながら、1日30kmを走破した。
朝起きると、3時間歩いて、1時間の作業、1時間のお昼寝だ。
昼からも3時間歩いて、夕食にスープを食べると、デザートの葛湯を飲んで就寝する。
木にもたれて寝るのも慣れたモノだ。
睡眠時間は16時間で、4時間おきに空腹で目が覚めるので、栄養サプリを飲んでは就寝を繰り返す。
お昼寝を入れると1日17時間は寝ている。
ポーションの消化も早くなり、お腹がすぐに空く。
道中はイカや貝の干物を噛んで歩いている。
食べるのは厳禁だ。
おやつタイムに葛湯を飲む。
残念ながら、まだ固形物は受け付けない。
生後1ヶ月と少しだ。
こんなモノか。
ぐわぁ、森の頭上で翼竜の鳴き声が聞こえた。
山に近づき過ぎた?
距離を狭めた索敵で森から突き出したような岩場を見つけた。
肉体強化で軽く跳びながら、岩場の小山を登って行った。
森から出ると視界が広がった。
目の前に山が見え、思っていた以上に近づき過ぎたようだ。
上空を旋回する翼竜が私も見つけた。
刹那!?
急降下してくると鋭い爪をこちらに向ける。
私は身を翻すと鋭い爪を避けて、すれ違い様に首元を目掛けて木槍を投げつけた。
翼竜の羽に傘が破れたような大穴が空いた。
ちぃ、私は舌を打つ。
この体は修練がなっていない。
ぐわぁぁぁ、翼竜が羽を破られて怒っている。
スキルを身に付けられない私は修練で体を自由に操れないと能力が発揮できない。
神力で身体能力が桁違いに上がっているが、赤子のステータスを一桁上げても人並み以下だ。
翼竜程度に苦戦する自分が情けない。
竜族である翼竜の爪は守護霊獣クーちゃんの防御結界を破っていた。
仲間が寄って来た。
「少女一人に五匹かがりとは卑怯だぞ」
私の抗議を聞き入れて貰えない。
卑怯な奴らだ。
間髪を入れずに横から次の爪が襲って来たので、ショートソードに神力と魔力を這わせて聖剣並に威力を引き上げて対抗する。
自分から転がって爪を避けると剣を横に振って爪を切った。
もっと早く動かないのか?
すれ違い様に翼を斬ってからスラリと躱したいのが、実際は避けるのが精一杯だ。
懐に飛ぶのも怖い。
クーちゃんが結界を再構成したが気休めでしかない。
グギャ!
爪を切られた翼竜と羽に穴を開けられた翼竜がけたたましい声で怒りを露わにする。
自分の方が強者と思われているのが腹立たしい。
私は岩場の頂上から、そのままゴロゴロと転がって岩場の端から落ちる。
もちろん、ワザとだ。
落ちながら体勢を取り戻し、ピョンピョンと絶壁の岩を蹴って跳ねた。
グギャ、グギャ、グギャ!
絶対に逃がすなとでも叫んでいるのだろうか?
凄い形相で急降下してきた。
獲物を逃がしてなるモノかという感じだ。
馬鹿め!
自分達が絶対的な強者だと勘違いしている。
私を追って岩場スレスレに急降下してくる五匹の翼竜を見て、ニヤリと頬を緩めた。
最後の一匹が岩場より下に入った所で、私は『加速装備!?』と唱えた。
世界が止まる。
降りてきた絶壁を急いで登る。
体力的にかなりキツいがここは我慢だ。
時間はわずか16分と40秒だ。
のんびりと山を上がっている時間はない。
岩山を登り切ると、翼竜を見下ろして私は呟いた。
「誰に喧嘩を売ったのか教えてやろう」
助走を付けて翼竜の背中を目掛けて飛んだ。
ショートソードを下に向け、急所の魔石を目掛けてグサリと刺した。
あっ、しまった。
貴重な魔石を壊した事に刺してから気が付いた。
魔石は貴重だ。
特に翼竜の魔石も質が良い。
剣を引き抜くと、翼竜の背中を蹴って次の翼竜の背中に飛ぶ。
ぐさぁ、魔石じゃなく、心臓を刺した。
確実に殺す為に首を一閃しておく。
次の一匹はちょっと遠い。
魔力“錨”を這わせた短槍を投げて串刺すと、自分を引き寄せる感じで背中に飛び乗る。
最近知ったが、錨を這わせた短槍は手足の延長になるらしい。
魔力で撃ち出すほどの威力はないが、通常時間に戻るよりは使い勝手がいいのに気が付いた。
あと二匹だ。
随分と急降下しているのは最初に手傷を負わされた翼竜達だ。
傷を負わされて怒っているのだろう。
倒した3匹よりかなり下にいたが、度胸を決めての紐なしバンジージャンプだ。
紐がなければ、バンジーじゃない。
細かい事は気にしない。
岩山を登り直すのに15分を掛けており、残り1分40秒で残り2匹を始末しなければならない。
脳内のカウントダウンが始まっていた。
幸いな事に残り2匹は重なって真下に居た。
落下しながら胴体から一刀両断し、もう一匹の背中に落ちる。
ドカッと着地。
びびびびびびっと衝撃が足の先から頭へと抜ける。
顔が引き攣る。
痛い、痛い、マジで痛いけど、今は痛みに耐えている暇はない。
3,2,1とカウントダウンが・・・・・・・・・・・・残りの時間が消えてゆくので、痛みも忘れて体を捻って目の前の尻尾だけでも切った。
ぐぎゃあぁぁぁぁ!
時間が戻った瞬間に翼竜がけたたましい声で鳴いた。
「そのまま他の四匹のように黙っていろ」
残る4匹は絶叫を上げる事もなく、絶命していた。
暴れる翼竜の背中で私は体を捻った?
捻れていない。
尻尾を切った反動で体は捻ってすぐさまに首を落とそうと思っていたのだが、足が言うことを聞かない。
まるで置物のようにピクリとも動かない。
翼竜がさらに暴れた。
私は足場を失って地面に落とされた。
痛い。
よく気を失わなかった。
尻尾を失った翼竜もバランスが取れずに仲良く落ちた。
横から落ちて全身打撲だ。
あっちも痛そうだが、こっちも痛い。
なんて感じている暇もない。
上から数トンの物体が4つを落ちてくる。
上半身を無理矢理に捻ってゴロゴロと転がって森の方へ回避した。
ズドン、ズドン、ズドン、スドンと落下すると、大きな土煙が私を隠した。
痛みを堪えながら傷回復ポーションを飲む。
じわっと胃が熱くなると、全身から痛みがゆっくり引いてゆく。
残りの翼竜に止めを・・・・・・・・・・・・他の死体の回収せねば!?
尻尾を切られた翼竜がギャア、ギャアと鳴き、ギュエ、ギェエ、ギェエと大きな声を上げて仲間が寄ってくる。
今度はざっと23匹だ。
魔力はほとんど使ってしまった。
傷回復ポーションを飲んだので消化されるまで5分ほどのインターバルがいる。
すぐに魔力回復ポーションを飲む事もできない。
土煙が舞っているので俺の姿は見えていないが、引いた時点で襲ってくるのは確実だった。
戦略的撤退だ。
私は痛みを堪えて這う森の中に身を隠す。
短槍を刺した一匹だけは“錨”で繋がっているので、影収納で隠しておいた。
こんな事ならば、すべて短槍で攻撃すればよかった。
後悔先に立たずだ。
仲間を三匹も遣られて怒っている翼竜達が集めってくる。
23匹でも最悪なのに、100匹以上も集めってきそうだ。
翼竜の誇りはないのか?
最悪だ。
私は腹這いの儘で、手と足で地面を這うように匍匐前進で森の奥を目指す。
薬草で作った迷彩服が効果を見せる。
見つかれば助からない。
上空から見えないようにで森の中に逃げた。
『いつか仕返ししてやるぞ。覚えておけよ』(ぼそり)
私は上空の翼竜達を指差して小さな声で宣言した。
戦いに勝って戦略的撤退。
う~~~ん、情けないな。
蛇行と『ヘビ』と書かれてくらいにぐにょぐにょだ。
西に進むと思えば、いつの間にか南に向かっていた。
西南ではなく、南だ。
規模が大き過ぎて気付かなかった。
大河沿いに進めば間違いないと思っていた私が馬鹿だった。
もっと早く気付けよ。
再び北西に進路が変わり、西南に曲がった所で河を離れて、森をショートカットするつもりで西に進路を取った。
河から離れると翼竜がいる山が近くに感じられた。
海から10日ほど観察したが、翼竜は山から出ない。
山に近づかなければ、危険はない。
2~3年もすれば、魔石狩りに行ってやろうなどと考えていた。
翼竜程度、本来なら私の敵ではないのだ。
そんな訳で翼竜に特別な警戒がなかったのも事実だ。
所詮、翼竜如きだ。
河沿いから外れると山が近く、すでに彼らの領域に入っているとは思っていなかった。
森は鬱蒼と木々が生えて、辺りがまったく見えない。
クーちゃんのマップ機能を頼りにしているが、進んでいる方向が間違っていないか位にしか役に立たない。
一度、領内を1周すれば、どこにいるか判る便利な機能なんだけどね。
行った事のない場所では役に立たない。
“くぅ、くぅ、くぅ”
クゥちゃんが俺は護衛で案内係じゃないと苦情を言う。
知っていた。
ずっと地図と睨めっこしている訳じゃない。
見ていなかった。
そうでなきゃ、太陽の位置を見て南に向かって歩いていると気付いていたよ。
それに護衛と言うけど、ここの敵はクゥちゃんより強く、護衛としても今一なんだよね。
クゥちゃんがファイティングポーズを取って、ボクサーのように拳を振る。
でも、可愛らしいであって強そうに見えない。
そういう見た目に私が造ったからね。
しばらく歩いたので索敵魔法を放った。
魔席無しの魔獣が消えた。
魔石持ちの魔獣が逃げて行く。
私の魔石が・・・・・・・・・・・・。
これからは索敵魔法の距離を絞り、回数を減らした方がいいかもしれない?
◇◇◇
薬草を採取しながら、1日30kmを走破した。
朝起きると、3時間歩いて、1時間の作業、1時間のお昼寝だ。
昼からも3時間歩いて、夕食にスープを食べると、デザートの葛湯を飲んで就寝する。
木にもたれて寝るのも慣れたモノだ。
睡眠時間は16時間で、4時間おきに空腹で目が覚めるので、栄養サプリを飲んでは就寝を繰り返す。
お昼寝を入れると1日17時間は寝ている。
ポーションの消化も早くなり、お腹がすぐに空く。
道中はイカや貝の干物を噛んで歩いている。
食べるのは厳禁だ。
おやつタイムに葛湯を飲む。
残念ながら、まだ固形物は受け付けない。
生後1ヶ月と少しだ。
こんなモノか。
ぐわぁ、森の頭上で翼竜の鳴き声が聞こえた。
山に近づき過ぎた?
距離を狭めた索敵で森から突き出したような岩場を見つけた。
肉体強化で軽く跳びながら、岩場の小山を登って行った。
森から出ると視界が広がった。
目の前に山が見え、思っていた以上に近づき過ぎたようだ。
上空を旋回する翼竜が私も見つけた。
刹那!?
急降下してくると鋭い爪をこちらに向ける。
私は身を翻すと鋭い爪を避けて、すれ違い様に首元を目掛けて木槍を投げつけた。
翼竜の羽に傘が破れたような大穴が空いた。
ちぃ、私は舌を打つ。
この体は修練がなっていない。
ぐわぁぁぁ、翼竜が羽を破られて怒っている。
スキルを身に付けられない私は修練で体を自由に操れないと能力が発揮できない。
神力で身体能力が桁違いに上がっているが、赤子のステータスを一桁上げても人並み以下だ。
翼竜程度に苦戦する自分が情けない。
竜族である翼竜の爪は守護霊獣クーちゃんの防御結界を破っていた。
仲間が寄って来た。
「少女一人に五匹かがりとは卑怯だぞ」
私の抗議を聞き入れて貰えない。
卑怯な奴らだ。
間髪を入れずに横から次の爪が襲って来たので、ショートソードに神力と魔力を這わせて聖剣並に威力を引き上げて対抗する。
自分から転がって爪を避けると剣を横に振って爪を切った。
もっと早く動かないのか?
すれ違い様に翼を斬ってからスラリと躱したいのが、実際は避けるのが精一杯だ。
懐に飛ぶのも怖い。
クーちゃんが結界を再構成したが気休めでしかない。
グギャ!
爪を切られた翼竜と羽に穴を開けられた翼竜がけたたましい声で怒りを露わにする。
自分の方が強者と思われているのが腹立たしい。
私は岩場の頂上から、そのままゴロゴロと転がって岩場の端から落ちる。
もちろん、ワザとだ。
落ちながら体勢を取り戻し、ピョンピョンと絶壁の岩を蹴って跳ねた。
グギャ、グギャ、グギャ!
絶対に逃がすなとでも叫んでいるのだろうか?
凄い形相で急降下してきた。
獲物を逃がしてなるモノかという感じだ。
馬鹿め!
自分達が絶対的な強者だと勘違いしている。
私を追って岩場スレスレに急降下してくる五匹の翼竜を見て、ニヤリと頬を緩めた。
最後の一匹が岩場より下に入った所で、私は『加速装備!?』と唱えた。
世界が止まる。
降りてきた絶壁を急いで登る。
体力的にかなりキツいがここは我慢だ。
時間はわずか16分と40秒だ。
のんびりと山を上がっている時間はない。
岩山を登り切ると、翼竜を見下ろして私は呟いた。
「誰に喧嘩を売ったのか教えてやろう」
助走を付けて翼竜の背中を目掛けて飛んだ。
ショートソードを下に向け、急所の魔石を目掛けてグサリと刺した。
あっ、しまった。
貴重な魔石を壊した事に刺してから気が付いた。
魔石は貴重だ。
特に翼竜の魔石も質が良い。
剣を引き抜くと、翼竜の背中を蹴って次の翼竜の背中に飛ぶ。
ぐさぁ、魔石じゃなく、心臓を刺した。
確実に殺す為に首を一閃しておく。
次の一匹はちょっと遠い。
魔力“錨”を這わせた短槍を投げて串刺すと、自分を引き寄せる感じで背中に飛び乗る。
最近知ったが、錨を這わせた短槍は手足の延長になるらしい。
魔力で撃ち出すほどの威力はないが、通常時間に戻るよりは使い勝手がいいのに気が付いた。
あと二匹だ。
随分と急降下しているのは最初に手傷を負わされた翼竜達だ。
傷を負わされて怒っているのだろう。
倒した3匹よりかなり下にいたが、度胸を決めての紐なしバンジージャンプだ。
紐がなければ、バンジーじゃない。
細かい事は気にしない。
岩山を登り直すのに15分を掛けており、残り1分40秒で残り2匹を始末しなければならない。
脳内のカウントダウンが始まっていた。
幸いな事に残り2匹は重なって真下に居た。
落下しながら胴体から一刀両断し、もう一匹の背中に落ちる。
ドカッと着地。
びびびびびびっと衝撃が足の先から頭へと抜ける。
顔が引き攣る。
痛い、痛い、マジで痛いけど、今は痛みに耐えている暇はない。
3,2,1とカウントダウンが・・・・・・・・・・・・残りの時間が消えてゆくので、痛みも忘れて体を捻って目の前の尻尾だけでも切った。
ぐぎゃあぁぁぁぁ!
時間が戻った瞬間に翼竜がけたたましい声で鳴いた。
「そのまま他の四匹のように黙っていろ」
残る4匹は絶叫を上げる事もなく、絶命していた。
暴れる翼竜の背中で私は体を捻った?
捻れていない。
尻尾を切った反動で体は捻ってすぐさまに首を落とそうと思っていたのだが、足が言うことを聞かない。
まるで置物のようにピクリとも動かない。
翼竜がさらに暴れた。
私は足場を失って地面に落とされた。
痛い。
よく気を失わなかった。
尻尾を失った翼竜もバランスが取れずに仲良く落ちた。
横から落ちて全身打撲だ。
あっちも痛そうだが、こっちも痛い。
なんて感じている暇もない。
上から数トンの物体が4つを落ちてくる。
上半身を無理矢理に捻ってゴロゴロと転がって森の方へ回避した。
ズドン、ズドン、ズドン、スドンと落下すると、大きな土煙が私を隠した。
痛みを堪えながら傷回復ポーションを飲む。
じわっと胃が熱くなると、全身から痛みがゆっくり引いてゆく。
残りの翼竜に止めを・・・・・・・・・・・・他の死体の回収せねば!?
尻尾を切られた翼竜がギャア、ギャアと鳴き、ギュエ、ギェエ、ギェエと大きな声を上げて仲間が寄ってくる。
今度はざっと23匹だ。
魔力はほとんど使ってしまった。
傷回復ポーションを飲んだので消化されるまで5分ほどのインターバルがいる。
すぐに魔力回復ポーションを飲む事もできない。
土煙が舞っているので俺の姿は見えていないが、引いた時点で襲ってくるのは確実だった。
戦略的撤退だ。
私は痛みを堪えて這う森の中に身を隠す。
短槍を刺した一匹だけは“錨”で繋がっているので、影収納で隠しておいた。
こんな事ならば、すべて短槍で攻撃すればよかった。
後悔先に立たずだ。
仲間を三匹も遣られて怒っている翼竜達が集めってくる。
23匹でも最悪なのに、100匹以上も集めってきそうだ。
翼竜の誇りはないのか?
最悪だ。
私は腹這いの儘で、手と足で地面を這うように匍匐前進で森の奥を目指す。
薬草で作った迷彩服が効果を見せる。
見つかれば助からない。
上空から見えないようにで森の中に逃げた。
『いつか仕返ししてやるぞ。覚えておけよ』(ぼそり)
私は上空の翼竜達を指差して小さな声で宣言した。
戦いに勝って戦略的撤退。
う~~~ん、情けないな。
10
あなたにおすすめの小説
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる