かみたま降臨 -神様の卵が降臨、生後30分で侯爵家を追放で生命の危機とか、酷いじゃないですか?-

牛一/冬星明

文字の大きさ
9 / 34

8.懐かしい思い出?

しおりを挟む
余っていた迷彩布で魔女のような三角帽子を作った。
気配を消して昼間は木の根元で身を隠し、夜になってから移動する。
しつこい奴らでいつもでも飛び回っていた。
襲ったのだから逆襲されても仕方ない。
いい加減に諦めろ。

ふふふ、私にここまでさせたのだ。
覚悟しろ。
翼竜の山ごと吹き飛ばすてヤルか?
それとも植物を使って身動きを封じて痛めつけてヤルか?
考えるだけで楽しい。

私は派手な炎系の魔法が好きだ。
極大爆火とか、巨大流星火とかで城ごと吹き飛ばすと気持ち良い。
すべて吹き飛ばして後腐れなしだ。
だが、属性でいうと『土』らしい。
その所為か、植物と相性がいい。
ある程度は植物を自由に操れる。
但し、創造魔法で種子の種を造るのは禁止された。

あれは随分と昔の話だ。
私は荒れた荒野でも育つ小麦や大豆を創造した事があった。
創造魔法がある事を知れば、使ってみたいのは当然ではないだろうか?
その欲望に抗えない。
時間を掛けて品種改良なんてやってやれない。
それで完成した小麦の種は荒野を黄金色の穂に染めた。
素晴らしい出来であった。
村は発展して私は素晴らしい人生を送って、孫らに看取られた。

あの種子もその荒野から出さなければ問題はなかった。
無毛の大地でも実りを齎し、害虫知らず、悪天候も寄せ付けない。
そんな奇跡の小麦の種を誰もが欲しがった。
そして、世界中に広がった。
そんなある日。
別の世界に転生していた私は主神に呼び出されて、その世界に戻った。
小麦が増殖して、怪物となって人類を襲っていた。

「一度、人の味を覚えた小麦が栄養を求めて人を襲い出したのじゃ」
「どうしてそんな事に?」
「死体の上に種が落ちた。それが最初じゃ。それを見た学者が死体に種子を植えて研究を重ねた。そして、生きている物の腹の中で発芽する暗殺の種を完成させたのじゃ」
「どこの馬鹿ですか?」
「その暗殺で王族が滅び、その国は滅亡した。だが、その時、敵国はその種子を放置した為に城中に種が飛び散り、ありとあらゆる物を栄養として繁殖し、国中に広がった。そして、周辺国も滅ぼした。自業自得じゃな」
「さっさと狩り取ればいいじゃないですか?」
「国の兵は頑張って刈り取って焼いたが繁殖力が凄まじく追い付かない。小麦はさらに進化して反撃能力を持った。最早、魔獣を越える化け物と化した。周辺の魔物を喰らい、襲ってくる戦士を倒し、勇者を倒し、魔王国では魔王をも倒して飲み込んだ。見かねた神が天使を送れば、その天使まで倒して吸収した。最早人類ではどうしようもない怪物と成り果てたのじゃ」
「どうしればいいのですか?」
「神力で無理矢理に消滅すれば良い。大した問題ではないが、大量の神力を使いたがる神はおらん。この辺りの神では消滅するほどの神力じゃからな。お前の眷属がしでかした事だろうと儂が兄神に呼び出された訳じゃよ」

主神が消滅させても良かったのだが、自分の尻は自分で拭けと言われて、10億年後に私の神力で消滅する事が決まり、10億年ほど時間凍結魔法で世界ごと隔離した。
と言う訳で、私は新しい種子を造るのは禁止された。

ホント、人生は山あり谷ありだ。
良かった人生もあれば、最悪の人生もあった。
流行のステータス画面のある世界では酷い目に遭う事が多い。
私は大抵の世界でステータスを確認すると、『ゼロ加護』、『ゼロスキル』と表示される。
魔女だと告発されて火炙りになった事もあったなぁ~。
あの時は火が燃え尽きても生きているので、魔女から一転して聖女に祭り上げられて戦場に送られた。
思春期から老衰で死ぬまで戦場を生きる最悪の人生を送った。
戦場にロマンスなんて無かった。

公爵令嬢に生まれ、皇太子と婚約なんて人生もあった。
学生時代にスキルがないと知れると、周りの態度も変わった。
パーティーの席であれを言われた。

「無能なお前を妃に出来る訳がない。婚約は破棄だ」
「無能とおっしゃいますが、成績は一位でございます」
「五月蠅い」
「剣技も魔法も一位でございます」
「黙れ。不正に決まっておる。この美しい聖女の称号を持つ娘こそ、我が妃に相応しいのだ」

美味しいやりとりに興奮した。
私は悪役令嬢好きだから悪乗りをして皇太子と取り巻きをぼこぼこにした。
皇太子を廃人にされた王様が怒って公爵家と戦争になると、一発逆転の『流星雨』で王都を滅ぼして大逆転を演出し、他国から魔王女と恐れられた。
玉座なんて碌でもない。
仕事は多いし、暗殺と策謀は絶えない。
そもそも私は無辜の民の為に頑張ろうという気が湧かない。
最悪の人生もあった。

「くぅ~~~」

良かった事がほとんどないって。
そうだね。
婚約破棄、追放、戦争などと様々騒動に巻き込まれた。
3回に一度はこのパターンに填まった。
ステータス画面で見ると、何もないので私って無能なのよ。
貴族に生まれても婚約破棄が付きまとう。
魔法才能がないのに全属性の魔法が使え、剣技スキルがないのに剣技が使える。
どうしてもそういうイレギュラーな存在になる。
すると、追放か、戦争に駆り出される。
幸運値は高いハズなのに不幸だ。

もちろん、希に平穏無事に終えた人生ある。
後で呼び出されたけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そして、私は悟ったのだ。
下手に記憶があるのがいけない。
自分で記憶を封印し、しばらく前世の記憶のない人生を送って来たが、今回は生まれてすぐにハードモードだ。
うふふふ、中々に楽しい。

翼竜を恐れて身を隠す。
自分より強い敵がいるのは良いモノだ。
復讐するは我にあり。
いずれ倒してやると思い描くだけでヤル気が満ちてくる。
やっと翼竜の警戒網を出て、再び西に30kmほどを走破した。
翼竜も諦めたみたい?
この縛りプレーは、ある意味で新鮮だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

処理中です...