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9.金髪の少年とファーストコンタクト。
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私はクゥちゃんのマップで西に進んだ。
索敵を広げると山が近い。
大河に戻るのを中止して、山沿いに歩く事に変更した。
そう言っても、森を抜ける感じだ。
翼竜の山が見えたからだ。
40kmも先が見えるとも思えないが、俺から見えているという事は向こうも、俺を見つける可能性は捨てきれない。
目立つ尾根を歩くような真似はしない。
「クゥちゃん。逃げているのじゃないよ。見逃してやっているのよ」
「くぅ」
「そうよ。翼竜が数年生きるのを許してあげているの」
「くぅ」
クゥちゃんに変な見栄を張るなと言われた。
見栄じゃない。
事実だもん。
私は森の中を歩きながら薬草を採取している。
もう森に入って4日目になる。
予定では、そろそろ火事があった所に到着するハズだ。
森が切れて、パッと視界が広がった。
見事に森の一部が焼かれていた。
索敵魔法で探ると丘の向こうに人らしい姿を感じた。
父の領地が北の最果てではなかったらしい。
魔物が徘徊する森と翼竜が群れて飛ぶ山があったので、北の海岸には誰も住んでいなかったのだろう。
すでに太陽が山に近づいていた。
「クーちゃん、どうしようか?」
くぅ~~、このまま進むのはお勧めではないらしい。
もうすぐ睡魔が襲ってくる時間だ。
その前に目の前に広がっている堆肥を回収しよう。
魔の森は魔素の宝庫だ。
燃えた木々にも魔素が含まれている。
私は魔力の膜を限界まで伸ばして分解の魔法を掛けた。
細胞や分子の結合をチョキンと切る魔法だ。
金属を変形させる準備段階の魔法であり、組み立てほどの魔力を必要としない。
物質が砂のように崩れていった。
それを影に収納して終わりだ。
魔力回復ポーションを飲んで魔力の回復を待ちながら作業を何度か繰り返して大量の堆肥を手に入れた。
いつの間にか、月が上がっていた。
◇◇◇
私は少し戻って森の端で野営を決めた。
適当に枝を切ると、ドライの魔法で乾燥させて火を付ける。
鍋に水を入れてお湯を作り、固形スープの元にお湯を注ぐと完成だ。
お椀一杯のスープを楽しむ。
中々に成長しないのが、今の悩みだ。
葛湯を楽しむと就寝した。
『◎$♪×△!¥●&#$?』
私は寝起きが良い方ではない。
日が沈む前に寝て、日が高くなってから起きる。
誰かが呼ぶ声が聞こえる。
寝ぼけ眼でうっすらと目を見開くとキラキラと光るモノが見えた。
金髪だ?
金髪の子供が籠を背負って、こちらを見ながら声を掛けていた。
『◎$♪×△!¥●&#$?』
何を言っているのは判らなかった。
土汚れた金髪で、ぱっちりと開けた薄緑色の目が興味深い。
迷彩服に身を纏い、三角の迷彩帽子を被っていた。
少し意外だ。
気配も消していたので見つかるとは思わなかった。
クゥちゃんも暢気に寝ていた。
おい、仕事しろ。
子供らに脅威は感じない。
クゥちゃんの結界もあるので心配もないが、問題はそこではない。
後ろの銀色に近い金髪の女の子がこっちを見ていた。
藍色の目に光が宿っていた。
あれか、少女の目から漏れる光は真実を見抜く魔眼だった。
見えないモノも見る事が出来る。
木の根元に持たれていた私は周りの景色と同化している。
気が付かずに森の中に入って行くのが普通だ。
彼女の魔眼は私の魔力を見たのだろう。
寝ながら魔力の放出をカットするのは出来なくはない。
訓練すれば、ヤレるハズだ。
恐らく。
『◎$♪×△!¥●&#$?』
汚れた金髪の少年が繰り返し、同じ言葉で声を掛けている。
う~ん、言葉が判らない。
半分しかない。
生まれて30分で捨てられた私は人と会った事がない。
初めてあった人族だ。
これが私のファーストコンタクトだった。
索敵を広げると山が近い。
大河に戻るのを中止して、山沿いに歩く事に変更した。
そう言っても、森を抜ける感じだ。
翼竜の山が見えたからだ。
40kmも先が見えるとも思えないが、俺から見えているという事は向こうも、俺を見つける可能性は捨てきれない。
目立つ尾根を歩くような真似はしない。
「クゥちゃん。逃げているのじゃないよ。見逃してやっているのよ」
「くぅ」
「そうよ。翼竜が数年生きるのを許してあげているの」
「くぅ」
クゥちゃんに変な見栄を張るなと言われた。
見栄じゃない。
事実だもん。
私は森の中を歩きながら薬草を採取している。
もう森に入って4日目になる。
予定では、そろそろ火事があった所に到着するハズだ。
森が切れて、パッと視界が広がった。
見事に森の一部が焼かれていた。
索敵魔法で探ると丘の向こうに人らしい姿を感じた。
父の領地が北の最果てではなかったらしい。
魔物が徘徊する森と翼竜が群れて飛ぶ山があったので、北の海岸には誰も住んでいなかったのだろう。
すでに太陽が山に近づいていた。
「クーちゃん、どうしようか?」
くぅ~~、このまま進むのはお勧めではないらしい。
もうすぐ睡魔が襲ってくる時間だ。
その前に目の前に広がっている堆肥を回収しよう。
魔の森は魔素の宝庫だ。
燃えた木々にも魔素が含まれている。
私は魔力の膜を限界まで伸ばして分解の魔法を掛けた。
細胞や分子の結合をチョキンと切る魔法だ。
金属を変形させる準備段階の魔法であり、組み立てほどの魔力を必要としない。
物質が砂のように崩れていった。
それを影に収納して終わりだ。
魔力回復ポーションを飲んで魔力の回復を待ちながら作業を何度か繰り返して大量の堆肥を手に入れた。
いつの間にか、月が上がっていた。
◇◇◇
私は少し戻って森の端で野営を決めた。
適当に枝を切ると、ドライの魔法で乾燥させて火を付ける。
鍋に水を入れてお湯を作り、固形スープの元にお湯を注ぐと完成だ。
お椀一杯のスープを楽しむ。
中々に成長しないのが、今の悩みだ。
葛湯を楽しむと就寝した。
『◎$♪×△!¥●&#$?』
私は寝起きが良い方ではない。
日が沈む前に寝て、日が高くなってから起きる。
誰かが呼ぶ声が聞こえる。
寝ぼけ眼でうっすらと目を見開くとキラキラと光るモノが見えた。
金髪だ?
金髪の子供が籠を背負って、こちらを見ながら声を掛けていた。
『◎$♪×△!¥●&#$?』
何を言っているのは判らなかった。
土汚れた金髪で、ぱっちりと開けた薄緑色の目が興味深い。
迷彩服に身を纏い、三角の迷彩帽子を被っていた。
少し意外だ。
気配も消していたので見つかるとは思わなかった。
クゥちゃんも暢気に寝ていた。
おい、仕事しろ。
子供らに脅威は感じない。
クゥちゃんの結界もあるので心配もないが、問題はそこではない。
後ろの銀色に近い金髪の女の子がこっちを見ていた。
藍色の目に光が宿っていた。
あれか、少女の目から漏れる光は真実を見抜く魔眼だった。
見えないモノも見る事が出来る。
木の根元に持たれていた私は周りの景色と同化している。
気が付かずに森の中に入って行くのが普通だ。
彼女の魔眼は私の魔力を見たのだろう。
寝ながら魔力の放出をカットするのは出来なくはない。
訓練すれば、ヤレるハズだ。
恐らく。
『◎$♪×△!¥●&#$?』
汚れた金髪の少年が繰り返し、同じ言葉で声を掛けている。
う~ん、言葉が判らない。
半分しかない。
生まれて30分で捨てられた私は人と会った事がない。
初めてあった人族だ。
これが私のファーストコンタクトだった。
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