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25.私の日常。
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私の朝は遅い。
冒険者や傭兵達がゾロゾロと森に向かた後に目を覚ます。
教会に泊まる事もある。
普段の寝起きは門前宿を使っている。
私が一階に降りる頃に併せて、主人の奥さんである女将が温めなおしたスープとホットミクルを出してくれる。
この町に来てからすでに1ヶ月半が過ぎ、春が終えて夏が近づいてきた。
肉も少し食べられるようになって幸せの味を堪能している。
朝の一杯が至福の時だ。
「ジュリちゃんは働き者だね」
「別に働きたい訳じゃありません。夜中に呼び出すのは止めて欲しいです」
「ははは、子供はこっちの都合に併せてくれないからね」
「それに私は医者ではないのですが・・・・・・・・・・・・」
「下手な藪医者より信頼できるって」
貧困層の皆さんは私も慈悲の女神とでも思っているのだろうか?
昨日も高熱を出して危ない子供を連れて訪れた。
病人を動かすな。
昨日の患者は盲腸だった。
癌だろうと、肝硬変だろうと、麻酔を掛けて眠らせて、解析で悪い部分を取り除くと、傷回復ポーションに私の魔力を流しながら超回復を重ね掛けすれば、欠損部が再生する。
霊薬には及ばないが、そこはあれだ。
完璧に直すと妬まれるし、厄介事が湧いてくる。
応急処置と言っておき、後は医者か本物の薬師に行くように進めた。
貧困層の皆さんが行ったとは聞いていない。
母親が借りた部屋から出て来た。
「聖樹様。ありがとうございました」
「しばらく傷口が痛むでしょうから、痛がるようならコレを飲ませて下さい」
「コレは?」
「教会で孤児らが作っている劣化ポーションです。一時的に痛みが引きます。10日もすれば、歩けるようになるでしょう」
「ありがとうございます」
そういうと部屋を引き払って、子供を背負って帰って行った。
宿代は店主の計らいで無料だ。
以前、肝硬変の貴族からがっぽりせしめた為だろう。
肝臓をほとんど取り出した後に半分くらいを再生させた。
激しい運動をしなければ長生きできるだろう。
そして、これ以上の治療は大神殿か、霊薬をお求め下さいと言って追い返した。
店主は小金貨5枚の最上級の部屋を貸し出し、彩りと変えた孤児院の果実を付けただけの一食に小金貨一枚を要求した。
わずか5日だったが大儲けだろう。
エセ薬師と悪態を付いているか、助かったと感謝しているかは知らない。
「ジュリ様。迎えに来ました」
「今日の日課の薬草取りに行きましょうか」
朝食を終えて、少しのんびりした後にイリエらがやって来る。
遅い時間から森に行き、森で昼と食べると、日が高い内に戻ってくる。
夕食前のお風呂を孤児と一緒に楽しむ。
「ジュリ様。お背中を流します」
「私がやる」
「わ・た・し」
私は人気者だ。
皆と一緒に夕食を取ると、門前宿に戻って就寝する。
教会に泊まると、いつまでも話を聞きたがる子供らが寝かせて貰えない。
孤児院は天国過ぎる。
どうしても翌日は寝過ごしてお休みになり、寝不足の子供らがシスターシミナに叱られる。
皆の平和の為に門前宿に戻る。
「ジュリ様。お帰りなさいませ」
「手紙が数通届いております」
「ありがとう」
最近、私に興味を持った貴族からお誘いが掛かる。
パーティーのお誘いなどが多い。
私を一目見ようと思っているのだろうか、あるいは、笑い者にしたいのだろうか?
興味本位の貴族と関わりたくない。
私は流れ者が貴族と面談など勿体ないと、お断りの返事を書いて翌朝に主人に渡しておくと相手に届けてくれる。
今の所は問題ない。
その内、どうして来ないのかと怒鳴り込む貴族が出てくるかもしれない。
どうしよう?
「ジュリ。迎えに来たわよ」
「リリー。ご主人様って言わないと・・・・・・・・・・・・」
「ふふふ、聞いておどろけ。あの手押しポンプが貴族に売れて、遂に金貨10枚が貯まったのよ。私の手腕が恐ろしいわ」
「私は恩を返すまで従者を止める気はないわよ」
「別に従者を止める必要はないでしょう。借りた金を返すだけよ。こでは晴れて対等よ」
「今日の日課のポーション作りね。行きましょうか」
「はい。ジュリ様」
「ちょっと、ソリン。ジュリも受け取ってよ」
リリーは日に日に元気になって行く。
ポーション作りや家庭菜園仕事の日はする事がないので商人らと交渉に行き、商談を進め、色々な物と売って金を稼いでいた。
何を売ったかって?
子供らと一緒に大型弩砲を制作して、商人を通じて売り込んだ。
設計図は私が書かされた。
魔法を覚えた子供らに様々なモノを作れるようにレクチャーしている。
要するに図工の時間だ。
ただ、リリーの希望で造った物が危ない兵器だった訳だ。
組み立て式の大型弩砲は正面門の上に据えられた。
同じモノをあと3つ造って欲しいと注文も受けている。
他にも地盤改良や植物育成などが出来るようになった子もいる。
私の生徒は優秀だ。
シスターシミナは超回復にチャレンジしている。
私が書いた自作の魔導書を読みながら何度も繰り返している。
ともかく、薬草採取、ポーション作り、家庭菜園、市場に買い出し、お休みのローテンションを繰り返す。
お休みの日はピクニックや魔法のお勉強の日だ。
「ピノちゃん。早くお野菜を持って来て」
「は~い」
「あぁ、ジュリ様。おはようございます」
「おはよう」
「ちょっと待って下さい。朝の仕事を片付けます」
教会の朝は忙しい。
子供達は日が昇る前に起きて、畑に出て野菜の収穫を行なう。
最初は一面だった畑も六面、十面と増えて行き、近所の貧困層の住民を雇って六十面の畑から野菜を収穫する。
どうしてこうなったのか?
余った野菜をシスターシミナが小さな籠に入れて、寄付をした方に配ったのだ。
銅貨5枚の寄付で、野菜一籠が貰える。
銅貨5枚は500円くらいだ。
ワンコインで野菜一籠はお得だ。
今では毎朝100人ほど並んでいる。
人口2000人のウェアンは300世帯ほどが住んでいるが、3世帯に一軒は野菜を取りに来ている計算になる。
中には貴族の使いらしい人が銀貨を寄付して、一人で5籠分とか持ち帰る事もなる。
6日で収穫できる家庭菜園は大賑わいだ。
また、夕方になると果実を求めて教会に来る方も増えた。
小銀貨1枚 (1万円)以上を寄付した方に、漏れなく果実の入った一籠が貰える。
こちらは食事所や宿屋など店関係が多い。
リリーのお姉さんである娼館はお得意様になっている。
こちらは一人で沢山の寄付をして、沢山の籠分を持って帰る。
教会の財政は非常に潤っている。
「ジュリさん。御免なさい。いつも色々と頼んでしまって」
「気にしないで下さい。好きでやっている事です」
「それでね。風車小屋の地下倉庫の氷の補充をやって貰えるかしら? まだ、大きな氷を出せる子がいないのよ」
「帰る前にやっておきます」
畑が広くなると水撒きが面倒になった。
大きな井戸を造ると、その上に風車小屋を建てて、水が自動的に汲み出されるように工夫した。
風は一定ではないが、朝と夕方には必ず吹く。
風車が回ると水を汲む仕組みだ。
畑の底は砂層にしてあるので水路に水が流れるとすべての畑に水が行き届く。
もちろん、果実の森も同じだ。
地下に倉庫を作り、その一部を冷蔵庫代わりに利用する。
冬は雪に覆われて作物が出来ないので備蓄する。
これで子供らが飢える事はない。
先日、領主のいる町の市場にも行って来た。
ポーション作りの許可書を見せれば、無償で入れたが、騒ぎになるのが嫌なので小銀貨1枚を払って中に入った。
トウモロコシを見つけたので、栽培を始めている。
6日後には収穫だ。
まずは牛乳で作るコーンスープから挑戦する。
芋とミックスが最高だ。
糖度が少ない場合は品種改良も考えねばならない。
牛乳と言えば、果実の森の上手に牧草地を作って牛を四頭ほど飼って貰った。
もちろん、費用は私持ちだ。
毎朝、牛から新鮮なミルクが採れる。
夕食にホットミルクは必需品だ。
貧困層の住人に手当を払っているが、それと同額を孤児に払って貰う。
リリーが要望する図工の副収入が大きい。
10歳までに孤児を自由民になれるようにシスターシミナと考えた。
万が一も考えて、風車小屋に隠し部屋を作って儲けた金貨を残しておく。
これで私が居なくなってもすぐに困る事はないだろう。
居心地がいいので出て行く気はないけどね。
「次のお休みはピクニックにしましょう」
「やった」
「遂にこの時が来たのね。自作した武器がどれだけ通用するか試してみるわよ」
おぉうううと子供らが声を揃えた。
リリーが今度は連射式『クロスボウ』を作らせた。
他にも風魔法で打ち出す『エアーガン』、クナイのような『手裏剣』、魔法の炎で焼き直して造った『十字槍』などなどである。
鉄でも土の魔法で形を整える事が出来る。
でも、子供らが造るのは刃のない剣だ。
刃のイメージが出来ない。
そこでリリーは魔法の炎で焼き直し、鍛冶屋のように打ち直した上で研いで見た。
見た目は立派な剣になった。
安全を考えるなら槍をお薦めすると、どんな形がいいのか聞かれたので最強の槍は『十字槍』と書いてみたら、リリーらが造ってしまったのだ。
子供らのステータスは高く、ちょっとした槍なら重さに負けずに振り回せた。
そういう訳で、イリエとのチャンバラごっこを終えて実践訓練だ。
「只今」
「ジュリ様。お客様が来られております」
門前宿に戻ると主人に声を掛けられて応接室に呼ばれた。
事務所兼応接室だ。
待っていたのは、どう見ても貴族っぽい男女だった。
厄介事の臭いがプンプンした。
冒険者や傭兵達がゾロゾロと森に向かた後に目を覚ます。
教会に泊まる事もある。
普段の寝起きは門前宿を使っている。
私が一階に降りる頃に併せて、主人の奥さんである女将が温めなおしたスープとホットミクルを出してくれる。
この町に来てからすでに1ヶ月半が過ぎ、春が終えて夏が近づいてきた。
肉も少し食べられるようになって幸せの味を堪能している。
朝の一杯が至福の時だ。
「ジュリちゃんは働き者だね」
「別に働きたい訳じゃありません。夜中に呼び出すのは止めて欲しいです」
「ははは、子供はこっちの都合に併せてくれないからね」
「それに私は医者ではないのですが・・・・・・・・・・・・」
「下手な藪医者より信頼できるって」
貧困層の皆さんは私も慈悲の女神とでも思っているのだろうか?
昨日も高熱を出して危ない子供を連れて訪れた。
病人を動かすな。
昨日の患者は盲腸だった。
癌だろうと、肝硬変だろうと、麻酔を掛けて眠らせて、解析で悪い部分を取り除くと、傷回復ポーションに私の魔力を流しながら超回復を重ね掛けすれば、欠損部が再生する。
霊薬には及ばないが、そこはあれだ。
完璧に直すと妬まれるし、厄介事が湧いてくる。
応急処置と言っておき、後は医者か本物の薬師に行くように進めた。
貧困層の皆さんが行ったとは聞いていない。
母親が借りた部屋から出て来た。
「聖樹様。ありがとうございました」
「しばらく傷口が痛むでしょうから、痛がるようならコレを飲ませて下さい」
「コレは?」
「教会で孤児らが作っている劣化ポーションです。一時的に痛みが引きます。10日もすれば、歩けるようになるでしょう」
「ありがとうございます」
そういうと部屋を引き払って、子供を背負って帰って行った。
宿代は店主の計らいで無料だ。
以前、肝硬変の貴族からがっぽりせしめた為だろう。
肝臓をほとんど取り出した後に半分くらいを再生させた。
激しい運動をしなければ長生きできるだろう。
そして、これ以上の治療は大神殿か、霊薬をお求め下さいと言って追い返した。
店主は小金貨5枚の最上級の部屋を貸し出し、彩りと変えた孤児院の果実を付けただけの一食に小金貨一枚を要求した。
わずか5日だったが大儲けだろう。
エセ薬師と悪態を付いているか、助かったと感謝しているかは知らない。
「ジュリ様。迎えに来ました」
「今日の日課の薬草取りに行きましょうか」
朝食を終えて、少しのんびりした後にイリエらがやって来る。
遅い時間から森に行き、森で昼と食べると、日が高い内に戻ってくる。
夕食前のお風呂を孤児と一緒に楽しむ。
「ジュリ様。お背中を流します」
「私がやる」
「わ・た・し」
私は人気者だ。
皆と一緒に夕食を取ると、門前宿に戻って就寝する。
教会に泊まると、いつまでも話を聞きたがる子供らが寝かせて貰えない。
孤児院は天国過ぎる。
どうしても翌日は寝過ごしてお休みになり、寝不足の子供らがシスターシミナに叱られる。
皆の平和の為に門前宿に戻る。
「ジュリ様。お帰りなさいませ」
「手紙が数通届いております」
「ありがとう」
最近、私に興味を持った貴族からお誘いが掛かる。
パーティーのお誘いなどが多い。
私を一目見ようと思っているのだろうか、あるいは、笑い者にしたいのだろうか?
興味本位の貴族と関わりたくない。
私は流れ者が貴族と面談など勿体ないと、お断りの返事を書いて翌朝に主人に渡しておくと相手に届けてくれる。
今の所は問題ない。
その内、どうして来ないのかと怒鳴り込む貴族が出てくるかもしれない。
どうしよう?
「ジュリ。迎えに来たわよ」
「リリー。ご主人様って言わないと・・・・・・・・・・・・」
「ふふふ、聞いておどろけ。あの手押しポンプが貴族に売れて、遂に金貨10枚が貯まったのよ。私の手腕が恐ろしいわ」
「私は恩を返すまで従者を止める気はないわよ」
「別に従者を止める必要はないでしょう。借りた金を返すだけよ。こでは晴れて対等よ」
「今日の日課のポーション作りね。行きましょうか」
「はい。ジュリ様」
「ちょっと、ソリン。ジュリも受け取ってよ」
リリーは日に日に元気になって行く。
ポーション作りや家庭菜園仕事の日はする事がないので商人らと交渉に行き、商談を進め、色々な物と売って金を稼いでいた。
何を売ったかって?
子供らと一緒に大型弩砲を制作して、商人を通じて売り込んだ。
設計図は私が書かされた。
魔法を覚えた子供らに様々なモノを作れるようにレクチャーしている。
要するに図工の時間だ。
ただ、リリーの希望で造った物が危ない兵器だった訳だ。
組み立て式の大型弩砲は正面門の上に据えられた。
同じモノをあと3つ造って欲しいと注文も受けている。
他にも地盤改良や植物育成などが出来るようになった子もいる。
私の生徒は優秀だ。
シスターシミナは超回復にチャレンジしている。
私が書いた自作の魔導書を読みながら何度も繰り返している。
ともかく、薬草採取、ポーション作り、家庭菜園、市場に買い出し、お休みのローテンションを繰り返す。
お休みの日はピクニックや魔法のお勉強の日だ。
「ピノちゃん。早くお野菜を持って来て」
「は~い」
「あぁ、ジュリ様。おはようございます」
「おはよう」
「ちょっと待って下さい。朝の仕事を片付けます」
教会の朝は忙しい。
子供達は日が昇る前に起きて、畑に出て野菜の収穫を行なう。
最初は一面だった畑も六面、十面と増えて行き、近所の貧困層の住民を雇って六十面の畑から野菜を収穫する。
どうしてこうなったのか?
余った野菜をシスターシミナが小さな籠に入れて、寄付をした方に配ったのだ。
銅貨5枚の寄付で、野菜一籠が貰える。
銅貨5枚は500円くらいだ。
ワンコインで野菜一籠はお得だ。
今では毎朝100人ほど並んでいる。
人口2000人のウェアンは300世帯ほどが住んでいるが、3世帯に一軒は野菜を取りに来ている計算になる。
中には貴族の使いらしい人が銀貨を寄付して、一人で5籠分とか持ち帰る事もなる。
6日で収穫できる家庭菜園は大賑わいだ。
また、夕方になると果実を求めて教会に来る方も増えた。
小銀貨1枚 (1万円)以上を寄付した方に、漏れなく果実の入った一籠が貰える。
こちらは食事所や宿屋など店関係が多い。
リリーのお姉さんである娼館はお得意様になっている。
こちらは一人で沢山の寄付をして、沢山の籠分を持って帰る。
教会の財政は非常に潤っている。
「ジュリさん。御免なさい。いつも色々と頼んでしまって」
「気にしないで下さい。好きでやっている事です」
「それでね。風車小屋の地下倉庫の氷の補充をやって貰えるかしら? まだ、大きな氷を出せる子がいないのよ」
「帰る前にやっておきます」
畑が広くなると水撒きが面倒になった。
大きな井戸を造ると、その上に風車小屋を建てて、水が自動的に汲み出されるように工夫した。
風は一定ではないが、朝と夕方には必ず吹く。
風車が回ると水を汲む仕組みだ。
畑の底は砂層にしてあるので水路に水が流れるとすべての畑に水が行き届く。
もちろん、果実の森も同じだ。
地下に倉庫を作り、その一部を冷蔵庫代わりに利用する。
冬は雪に覆われて作物が出来ないので備蓄する。
これで子供らが飢える事はない。
先日、領主のいる町の市場にも行って来た。
ポーション作りの許可書を見せれば、無償で入れたが、騒ぎになるのが嫌なので小銀貨1枚を払って中に入った。
トウモロコシを見つけたので、栽培を始めている。
6日後には収穫だ。
まずは牛乳で作るコーンスープから挑戦する。
芋とミックスが最高だ。
糖度が少ない場合は品種改良も考えねばならない。
牛乳と言えば、果実の森の上手に牧草地を作って牛を四頭ほど飼って貰った。
もちろん、費用は私持ちだ。
毎朝、牛から新鮮なミルクが採れる。
夕食にホットミルクは必需品だ。
貧困層の住人に手当を払っているが、それと同額を孤児に払って貰う。
リリーが要望する図工の副収入が大きい。
10歳までに孤児を自由民になれるようにシスターシミナと考えた。
万が一も考えて、風車小屋に隠し部屋を作って儲けた金貨を残しておく。
これで私が居なくなってもすぐに困る事はないだろう。
居心地がいいので出て行く気はないけどね。
「次のお休みはピクニックにしましょう」
「やった」
「遂にこの時が来たのね。自作した武器がどれだけ通用するか試してみるわよ」
おぉうううと子供らが声を揃えた。
リリーが今度は連射式『クロスボウ』を作らせた。
他にも風魔法で打ち出す『エアーガン』、クナイのような『手裏剣』、魔法の炎で焼き直して造った『十字槍』などなどである。
鉄でも土の魔法で形を整える事が出来る。
でも、子供らが造るのは刃のない剣だ。
刃のイメージが出来ない。
そこでリリーは魔法の炎で焼き直し、鍛冶屋のように打ち直した上で研いで見た。
見た目は立派な剣になった。
安全を考えるなら槍をお薦めすると、どんな形がいいのか聞かれたので最強の槍は『十字槍』と書いてみたら、リリーらが造ってしまったのだ。
子供らのステータスは高く、ちょっとした槍なら重さに負けずに振り回せた。
そういう訳で、イリエとのチャンバラごっこを終えて実践訓練だ。
「只今」
「ジュリ様。お客様が来られております」
門前宿に戻ると主人に声を掛けられて応接室に呼ばれた。
事務所兼応接室だ。
待っていたのは、どう見ても貴族っぽい男女だった。
厄介事の臭いがプンプンした。
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