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第三章 魯坊丸の日記は母上の楽しみ
3.信長の矜持
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天文二十一年三月五日。
俺は伊賀者を召し抱え、親父の命で那古野、末森、守山、勝幡、犬山に貸し出していた。
他にも行商人や茶店などを商って尾張国内に点在し、敵の動きをいち早く知るための情報網を整備した。それを取り仕切る者を“元締め”と呼び、元伊賀十二家評定衆の音羽-半兵衛を改めて、仁平太に任せてあった。
基本、尾張伊賀衆は親父に雇われているので守秘義務を課した。
ただし、仁平太は千代女の指揮下で動いており、俺に関係する情報は入っていた。
信長兄ぃが寺を焼いたという情報を聞き、俺は元締めに詳細な情報を求めた。
日を跨いで元締めが中根南城へ登城した。
「遅くなって申し訳ございません」
「構わん。俺も無理を言っているのは承知だ」
「まず、信長様が放火した寺は末森城の南にある桃巌寺でございます」
「桃巌寺?」
「大殿が末森に居城を移した際に建立されました。大殿より命じられた信勝様が主導しました」
「信勝兄上に縁が深い寺か」
「大殿の全快を祈る祈祷にも参加しており、信長様が住職に大殿の無事を懇願されたそうです」
「その祈祷が届かず、放火に至ったというのは事実か」
「おおむね事実でございます」
頭が痛い。
那古野筆頭家老の林-秀貞が親父に「うつけを演じている間に、本当にうつけになってしまった。あれは見込みがない諦めろ」と訴えたと聞く。
去年の夏、丹羽-氏勝の横暴の訴えを聞き、信長の差配を聞き入れず、怒った信長兄ぃが討伐すると決めた。しかし、秀貞は反対した。
すると、秀貞に那古野留守居役を任せて出陣して敗北した。
帰ってきた信長兄ぃは、秀貞が参陣しなかったから負けたと愚痴った。
その愚痴を聞いた秀貞は自領に戻って出仕を拒み続けている。
「信長兄ぃは本当にうつけなのか」
「そうかもしれません。そうでないかもしれません」
「どういう事だ?」
「祈祷に参加した僧侶は多くおります。桃巌寺の住職はその一人に過ぎません。桃巌寺の社務所に火を放ったのは、桃巌寺の住職に釘を刺したに違いありません」
「何の話だ」
「信勝様の側近、津々木-蔵人が桃巌寺に赴き、大殿の葬儀を執り行えるかと問うております。その話が信長様に伝わりました。桃巌寺の住職が葬儀の準備を終えていると、津々木-蔵人に伝えたと」
酷い伝言ゲームだ。
親父の葬儀は、織田弾正忠家の菩提寺である萬松寺で執り行うことが決まっている。
萬松寺は那古野城の南の寺であり、信長兄ぃの管理下にある。
当然、信長兄ぃが喪主を務める。
末森傘下の桃巌寺では、信勝兄上が喪主となる。
酷い横槍となる。
信長兄ぃが怒るのも当然だろう。
しかし、津々木-蔵人ができるかと問われたなら、住職はできると答える。
桃巌寺に非はない。
今回の件は、葬儀は萬松寺で執り行うという末森の家臣団への威嚇だろう。
相手を怒らせる乱暴なやり方だ。
信長兄ぃはうつけでないが、行動が直情的に過ぎる。
俺は大きな溜息を吐いた。
「若様。信長様の行為はよい行いではありませんが、信長様の矜持だと思います」
「信長兄ぃの矜持……?」
「私は仁平太と共に末森と那古野の守護頭目を呼び出し、詳細な確認を取りました」
「その結論が矜持か」
「まず、大殿を看取ったのは、土田御前と林-秀貞様です。大殿が呼び、林様は見舞いに来ておりました。信長様のことを頼むと申されております」
「信長兄ぃを頼むか」
「最後の遺言は、土田御前が聞かれましたが、声が擦れ、大殿の口元に耳を付けた土田御前しか聞き取れませんでした」
親父の部屋には土田御前、林秀貞、側近二人のみ。
天井に護衛の伊賀者と岩室-宗順が控えていた。
だが、遺言は土田御前しか知らない。
土田御前は少し考えて、「家督は信勝に譲ると申されました」と言った。
秀貞は目が点になったが、気を取り直すと合意した。
「土田御前様が聞いた遺言を知る術はございません」
「だな」
「秀貞様も特に騒ぎ立てるつもりはないようです」
「完全に傍観者になるつもりか」
「おそらく、そうでしょう。秀貞様の言動を総合しますと、“信長様の育て方を間違った”と後悔されております。土田御前の思惑を挫いて、信長様を助ける気もないように見受けられます」
「去年の事を根に持っているのか」
「秀貞自身がどうこうというのではありません。林家は“武”を重んじる家柄です。戦場では先陣を任されてきた自負があります。その林家を戦に連れて行かなかった。林家の家臣は怒り心頭であり、林家の当主として信長様が頭を下げないと許すことができないのです」
「あぁ、なるほど」
武家は面目を守る必要があるから大変だけどね。
損得勘定だけで動かない。
俺に家督を継がせようとか、考える奴の気が知れない。
「まったく、面倒な。俺が家督争いに加わるともっと大騒ぎだよ」
俺も不覚だった。
心の声が漏れてしまった。
千代女が目を光らせた。
「ご安心ください。尾張の者は若様に従います」
「どうやって?」
「まず毒を使って体調を崩し、祈祷する僧侶も体調を崩す。最後に夢枕に薬師観音が立って、熱田明神に従いなさいとお告げをします。若様に従うと体調が戻る。神の力の前に誰も逆らえません」
「ヤルな。絶対にヤルなよ」
忘れていた。
千代女は手段や方法を問わないヤバい感性の持ち主だった。
物理、化学、生物学と、俺のチートな知識で多彩な罠を可能にした。
鉛や水銀の過剰摂取により体調不良とか。
化学を使えば、簡単に演出できる。
苦肉の策、俺も傲慢な忍びを従わせるために塩素ガスを使った。
目に見えない力で相手を下す。
熱田では、家庭の医学で多くの人を助けた。
結果、教祖様にされた。
教祖様は便利だから受け入れたが、現人神にされるのはご免だ。願い下げだ。
「千代、絶対にやるなよ」
「分かっております」
「で、信長兄ぃの矜持とは何だ」
「宗順は大殿の死を信光様に伝えました。信光様は宗順を信長様の下に送ります。内容は知りません。天井の忍びは移動するように命じられましたから、内容はわからないのです」
「信光叔父上から信長兄ぃか」
「しかし、おおよその予想は付きます」
「何だ?」
「大殿は生前より影武者を捜しておりました。頃合いに服毒していただき、身代わりとして萬松寺で葬儀を進める準備がされております」
「服毒か」
「はい。その者の家族は一生養われ、その息子は家臣として取り立てる約束も為されておりました」
わぁ、自分の死を偽装する為に家臣を殺すのかよ。
命が軽い。
家の為、家族の為と言って忠義で死ぬのか。
俺はヤリたくない。
「大殿が亡くなりました。大殿に似た男は生きております」
「あっ、影武者か」
「はい。大殿が描いて通りに、信長様はうつけを演じ、清須の織田-信友様が叛旗を翻したところで、偽の大殿が復活するという策だと思われます」
「あるかなしか、どちからと言えば、なしだな」
「はい。大殿が生きていることになれば、末森に入ります。那古野に留まるのは不自然です。土田御前の協力が欠かせません。しかし、土田御前は信勝様を推しておられます」
「部屋から出てきた宗順もそんな顔をしております。そして、宗順は頭目に『清須が迎えるまで、うつけを続けるそうだ』と伝言を残されました」
「俺への伝言か」
「はっきりと申しておりませんが、おそらくそうでしょう」
「親父が考えた策を最後まで遂行する。それが信長兄ぃの矜持とでも言うのか」
寺への放火は愚行だ。
うつけ者だ。
それが信長兄ぃなりの親孝行なのだろうか。
わかりにくい。
「千代。俺に信長兄ぃを御せると思うか」
「若様以外は無理でしょう。私なら速攻で屠り、信勝様を脅して傀儡とします」
「“かいらい”でなく、“くぐつ”か」
「誰彼なく意見を聞く傀儡では駄目です。痛みで心を折り、薬で考えることすら許さず。かの者は操られるのみの人形にしないと信用できません」
「俺はやらんぞ」
「承知しております。若様の望みが私の望みです。意に背くことはありません」
最近、千代女が綺麗になったように思える。
やりがいを持ったキャリアウーマンのようにキラキラしている。
千代女のおかげで俺の仕事が減った。
良い事だ。良い事だよね???
俺は伊賀者を召し抱え、親父の命で那古野、末森、守山、勝幡、犬山に貸し出していた。
他にも行商人や茶店などを商って尾張国内に点在し、敵の動きをいち早く知るための情報網を整備した。それを取り仕切る者を“元締め”と呼び、元伊賀十二家評定衆の音羽-半兵衛を改めて、仁平太に任せてあった。
基本、尾張伊賀衆は親父に雇われているので守秘義務を課した。
ただし、仁平太は千代女の指揮下で動いており、俺に関係する情報は入っていた。
信長兄ぃが寺を焼いたという情報を聞き、俺は元締めに詳細な情報を求めた。
日を跨いで元締めが中根南城へ登城した。
「遅くなって申し訳ございません」
「構わん。俺も無理を言っているのは承知だ」
「まず、信長様が放火した寺は末森城の南にある桃巌寺でございます」
「桃巌寺?」
「大殿が末森に居城を移した際に建立されました。大殿より命じられた信勝様が主導しました」
「信勝兄上に縁が深い寺か」
「大殿の全快を祈る祈祷にも参加しており、信長様が住職に大殿の無事を懇願されたそうです」
「その祈祷が届かず、放火に至ったというのは事実か」
「おおむね事実でございます」
頭が痛い。
那古野筆頭家老の林-秀貞が親父に「うつけを演じている間に、本当にうつけになってしまった。あれは見込みがない諦めろ」と訴えたと聞く。
去年の夏、丹羽-氏勝の横暴の訴えを聞き、信長の差配を聞き入れず、怒った信長兄ぃが討伐すると決めた。しかし、秀貞は反対した。
すると、秀貞に那古野留守居役を任せて出陣して敗北した。
帰ってきた信長兄ぃは、秀貞が参陣しなかったから負けたと愚痴った。
その愚痴を聞いた秀貞は自領に戻って出仕を拒み続けている。
「信長兄ぃは本当にうつけなのか」
「そうかもしれません。そうでないかもしれません」
「どういう事だ?」
「祈祷に参加した僧侶は多くおります。桃巌寺の住職はその一人に過ぎません。桃巌寺の社務所に火を放ったのは、桃巌寺の住職に釘を刺したに違いありません」
「何の話だ」
「信勝様の側近、津々木-蔵人が桃巌寺に赴き、大殿の葬儀を執り行えるかと問うております。その話が信長様に伝わりました。桃巌寺の住職が葬儀の準備を終えていると、津々木-蔵人に伝えたと」
酷い伝言ゲームだ。
親父の葬儀は、織田弾正忠家の菩提寺である萬松寺で執り行うことが決まっている。
萬松寺は那古野城の南の寺であり、信長兄ぃの管理下にある。
当然、信長兄ぃが喪主を務める。
末森傘下の桃巌寺では、信勝兄上が喪主となる。
酷い横槍となる。
信長兄ぃが怒るのも当然だろう。
しかし、津々木-蔵人ができるかと問われたなら、住職はできると答える。
桃巌寺に非はない。
今回の件は、葬儀は萬松寺で執り行うという末森の家臣団への威嚇だろう。
相手を怒らせる乱暴なやり方だ。
信長兄ぃはうつけでないが、行動が直情的に過ぎる。
俺は大きな溜息を吐いた。
「若様。信長様の行為はよい行いではありませんが、信長様の矜持だと思います」
「信長兄ぃの矜持……?」
「私は仁平太と共に末森と那古野の守護頭目を呼び出し、詳細な確認を取りました」
「その結論が矜持か」
「まず、大殿を看取ったのは、土田御前と林-秀貞様です。大殿が呼び、林様は見舞いに来ておりました。信長様のことを頼むと申されております」
「信長兄ぃを頼むか」
「最後の遺言は、土田御前が聞かれましたが、声が擦れ、大殿の口元に耳を付けた土田御前しか聞き取れませんでした」
親父の部屋には土田御前、林秀貞、側近二人のみ。
天井に護衛の伊賀者と岩室-宗順が控えていた。
だが、遺言は土田御前しか知らない。
土田御前は少し考えて、「家督は信勝に譲ると申されました」と言った。
秀貞は目が点になったが、気を取り直すと合意した。
「土田御前様が聞いた遺言を知る術はございません」
「だな」
「秀貞様も特に騒ぎ立てるつもりはないようです」
「完全に傍観者になるつもりか」
「おそらく、そうでしょう。秀貞様の言動を総合しますと、“信長様の育て方を間違った”と後悔されております。土田御前の思惑を挫いて、信長様を助ける気もないように見受けられます」
「去年の事を根に持っているのか」
「秀貞自身がどうこうというのではありません。林家は“武”を重んじる家柄です。戦場では先陣を任されてきた自負があります。その林家を戦に連れて行かなかった。林家の家臣は怒り心頭であり、林家の当主として信長様が頭を下げないと許すことができないのです」
「あぁ、なるほど」
武家は面目を守る必要があるから大変だけどね。
損得勘定だけで動かない。
俺に家督を継がせようとか、考える奴の気が知れない。
「まったく、面倒な。俺が家督争いに加わるともっと大騒ぎだよ」
俺も不覚だった。
心の声が漏れてしまった。
千代女が目を光らせた。
「ご安心ください。尾張の者は若様に従います」
「どうやって?」
「まず毒を使って体調を崩し、祈祷する僧侶も体調を崩す。最後に夢枕に薬師観音が立って、熱田明神に従いなさいとお告げをします。若様に従うと体調が戻る。神の力の前に誰も逆らえません」
「ヤルな。絶対にヤルなよ」
忘れていた。
千代女は手段や方法を問わないヤバい感性の持ち主だった。
物理、化学、生物学と、俺のチートな知識で多彩な罠を可能にした。
鉛や水銀の過剰摂取により体調不良とか。
化学を使えば、簡単に演出できる。
苦肉の策、俺も傲慢な忍びを従わせるために塩素ガスを使った。
目に見えない力で相手を下す。
熱田では、家庭の医学で多くの人を助けた。
結果、教祖様にされた。
教祖様は便利だから受け入れたが、現人神にされるのはご免だ。願い下げだ。
「千代、絶対にやるなよ」
「分かっております」
「で、信長兄ぃの矜持とは何だ」
「宗順は大殿の死を信光様に伝えました。信光様は宗順を信長様の下に送ります。内容は知りません。天井の忍びは移動するように命じられましたから、内容はわからないのです」
「信光叔父上から信長兄ぃか」
「しかし、おおよその予想は付きます」
「何だ?」
「大殿は生前より影武者を捜しておりました。頃合いに服毒していただき、身代わりとして萬松寺で葬儀を進める準備がされております」
「服毒か」
「はい。その者の家族は一生養われ、その息子は家臣として取り立てる約束も為されておりました」
わぁ、自分の死を偽装する為に家臣を殺すのかよ。
命が軽い。
家の為、家族の為と言って忠義で死ぬのか。
俺はヤリたくない。
「大殿が亡くなりました。大殿に似た男は生きております」
「あっ、影武者か」
「はい。大殿が描いて通りに、信長様はうつけを演じ、清須の織田-信友様が叛旗を翻したところで、偽の大殿が復活するという策だと思われます」
「あるかなしか、どちからと言えば、なしだな」
「はい。大殿が生きていることになれば、末森に入ります。那古野に留まるのは不自然です。土田御前の協力が欠かせません。しかし、土田御前は信勝様を推しておられます」
「部屋から出てきた宗順もそんな顔をしております。そして、宗順は頭目に『清須が迎えるまで、うつけを続けるそうだ』と伝言を残されました」
「俺への伝言か」
「はっきりと申しておりませんが、おそらくそうでしょう」
「親父が考えた策を最後まで遂行する。それが信長兄ぃの矜持とでも言うのか」
寺への放火は愚行だ。
うつけ者だ。
それが信長兄ぃなりの親孝行なのだろうか。
わかりにくい。
「千代。俺に信長兄ぃを御せると思うか」
「若様以外は無理でしょう。私なら速攻で屠り、信勝様を脅して傀儡とします」
「“かいらい”でなく、“くぐつ”か」
「誰彼なく意見を聞く傀儡では駄目です。痛みで心を折り、薬で考えることすら許さず。かの者は操られるのみの人形にしないと信用できません」
「俺はやらんぞ」
「承知しております。若様の望みが私の望みです。意に背くことはありません」
最近、千代女が綺麗になったように思える。
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