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第一話 「ダークエンジェル、降臨」
しおりを挟む西暦20XX年、未来の日本。
超能力の存在が公に認められて久しく、国家は「能力者登録法」のもと、特異な力を持つ者を監視・管理する体制を築いていた。
そんな中、都内のとある高校――そのごく普通の教室に、神代レンはいた。
「ふっ……また、今日も“演じきって”しまったな……」
放課後、誰もいなくなった教室で一人、彼は静かに笑った。
目立たず、騒がず、空気のように過ごす。それが彼の日常であり――“ロール”だった。
「この世界における俺の立場、それは“無力な高校生”……そう、“ただのモブ”。だが、その実態は――」
彼は立ち上がり、カーテンをゆっくりと引いた。
窓の外に差し込む夕日を背に、黒いノートを机の上に開く。
「影より言葉を操り、世界を統べる存在……その名も――」
ページに、大きくこう書き込む。
《ダークエンジェル》
「ふふ……完璧だ……“漆黒の意思を継ぐ者たち”……闇に堕ちた七つの翼……。その頂点に立つ、俺……“ロード”……いや、“影の主”……!」
ノートには、詳細な組織図、部隊構成、各メンバーの能力やコードネームまで書き込まれている。
真顔でこれを作ったのが、たった昨夜のこととは到底思えない濃度だ。
「……よし。あとは“それっぽいセリフ”で締めるか……」
レンは立ち上がり、夕日を背にして、右手をゆっくりと前に差し出した。
「我が名に応じて集え……闇より生まれし忠誠の翼たちよ……」
その瞬間だった。
――カッ。
教室の空気が、唐突に、明らかに“変わった”。
「……ん?」
レンが首を傾げる前に、背後に“気配”が現れた。
「主よ――」
「“第一天使”こと、一天。貴方の召喚に応じ、今ここに参上いたしました」
「……え?」
制服姿のまま、突然教室に現れた美しい黒髪の少女。
瞳は紅く、背筋を伸ばしたその姿からは、軍人のような気迫が溢れていた。
「そして――」
次々に教室の空間が歪み、六つの影が現れる。
「“二天”、参上。任務はいつでも開始可能ですわ」
「“三天”、開発部門代表としてご挨拶を!主の御言葉、全て兵器に変換済みですっ!」
「“四天”、……命令を」
「“五天”だ!よっしゃあ!今日から俺らの時代だぜ、主!」
「“六天”ですぅ。主の細胞、解剖させてくださいねぇ……?」
「“七天”、……夢にて、貴方の到来を視ておりました」
レンは、しばらく固まっていた。
(あれ……?)
ゆっくりと、机の上のノートを見下ろす。
そこに書かれていた設定通りの人物たちが、目の前に――現実に、現れていた。
「……まさか……いやいやいや、まさか、な?」
レンは笑う。
(俺の妄想が現実になったとか……そんな……)
「主。これより我ら“ダークエンジェル”、貴方の名のもとにこの世界を統べる“影の翼”として動き出します」
一天が、深々と跪く。
他の六人も、揃ってその身を捧げるように頭を垂れた。
「…………」
(いや……なんか……“それっぽい”…!?)
そして、レンは静かに笑う。
「……フフ。ようやく始まったか――“俺の物語”が」
夕日が、赤く染まった教室に射し込む中――
一人の中二病高校生によって、世界が“静かに”揺れ始めた。
――影より現れし存在、その名は“ダークエンジェル”。
その主、神代レン。
彼こそが、世界最強にして、“無自覚な黒幕”だった。
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