こんなはずじゃなかった

B介

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春の嵐の予感7

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「なんだ?」

いきなりの悲鳴?に辺りを見回す。

「生徒会か風紀が来たんだろ。」
いつものことのように、カツカレーを頬張る圭介。
「山の中の閉ざされた環境で初等部から入れば、娯楽が欲しいのさ。アイドル扱いみたいなもんだ。」

「アイドル?」

「初等部、中等部、高等部とそれぞれ1年に1回人気投票が行われたるんだよ。うちの学校は経済界や政治、あらゆる部門、いわば日本を回している親が多く、この学校はそんな環境でも生き抜くことを学びとした学校だからさ。今のうちにコネを作る為に自分を磨いて、可愛さや強さをアピールする場を設けたり、自分の技能を高めて配下や協力者を作ったり、まぁ様々かな!だから、魅力的な人物の証を人気投票なんて遊び心で、強さを表してるんだょ。成績、運動、戦略なんてのもね。だから結構イベント多いんだ。」

洋一郎の説明に、確か副会長が言っていたことを思い出す。

「ああ、副会長から聞いたな。生徒会は人気投票上位と成績上位から決められるんだっけ?だからアイドルか。」

なるほどねー。皆んなの憧れか。蓮花も直木さんにキャーキャー言ってたもんな。

「嬉しいですね。私が話した内容、ちゃんと覚えててくれたんですね。」

耳元での吐息付きの美声にゾゾゾと震えが走る。
「なっ!あ、副会長。」

耳を押さえつつ振り向くと今朝ぶりの副会長様がいらした。

「探しましたよ?寮の鍵、渡し忘れまして。本日寮監が不在な為、生徒会が預かっていたんですよ。」

チラチラと指先で挟んだカードキーを振るう。

「ありがとうございます…」
ありがたいが、生徒たちの視線が痛い…。
副会長って事は人気NO2だもんな。

「コレが理事長の甥っ子の転校生??」
副会長の後ろから、男にしては少し高めの声が聞こえた。ん?ん?同じ顔が2人…。
「頭ボサボサだー。」
栗色のふわふわパーマ、なんか教会の天使像みたいな双子の青年が興味津々で俺を見ていた。身長も俺より低いが、青年らしい身体付きをしているのはに、声のせいか、くりくりのアーモンド型の瞳のせいか、可愛らしい幼い感じに見える。

「僕、兄の茗荷谷輝楽。2年の庶務」
「僕、弟の茗荷谷楽輝。2年の庶務」
きら?らき?ん?きらきら??ききらら!?

「さて、もんだ~い!どっちがどっちでしょうか!?」

へ?いや、まだ名前が…ん?きき?らら?あれ?

ぐるぐると副会長の周りを回る双子、そしてヒョコッと背中から出てきた。

「どっちがどっちだ?」
あっ、えっと名前……

「キキ!ララ!」
俺の頭の中では某星の双子が浮かんでいた。

「「サン○オじゃない!」」
双子の見事なツッコミ。
失礼しました…

「「…名前覚えてもらえなかったの初めてだよ」」

しょんぼりする先輩…。

すいません。もう、頭が星の双子しか浮かばなくて…。

「でも、双子でも、やっぱ兄弟なんですね。お兄ちゃんぽいですね!」

と、弟の手をギュッと握る兄を見て思う。

「「…………」」

「「僕らを見分けられたのも初めてだょ。」」

先程とは違い、キラキラした瞳を向けてきた。

えーーっ!?初めてって、親は!?

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