勇者は可愛すぎるキメラたんに夢中です。

B介

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勇者誕生秘話

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今から300年前、突如現れた魔王を倒す為、神より神剣が授けられた。

神剣は空から光と共に落下し、王都の中央に深く刺さった。

魔王と共鳴してか、黄金に光り輝くそれは、屈強な男が必死になっても抜けず、選ばれし勇者のみが手にすることが出来る特殊な剣であった。

初代勇者は王都へ作物を売りに来た、ヒョロヒョロの青年だった。

力自慢の男達が必死になっても抜けない神剣を、思い出作りに触れた瞬間、ぽろっと抜けたのだ。

そして、青年に神秘的な力を与えて、見事3年後、魔王を倒す事に成功した。

魔王を倒すと、何故か自然に、また王都の中心部に刺さりに向かう神剣。

神剣を祀るように飾り付け、王都のシンボルとして、代々大切にした。

しかし、平和は長くは続かず、100年毎に新しい魔王が誕生した。
その度に神剣は光、勇者を選んだのだ。


そして、今年4代目の魔王誕生と、勇者が選ばれたのだ。

勇者の名前はジンク・レイヴィー、18歳。王都出身のパン屋の息子だ。
だが、このジンク、魔王より魔王なんじゃないか?と噂される程の荒くれ者だった。
金にはがめつい、喧嘩上等、女好き、パン屋より盗賊が似合うと言われ、魔王ジンクと二つ名で呼ばれるほど。

その者が勇者!?と周りを驚かせた。

確かに、喧嘩は強い、運動神経もある。容姿も吊り上がった切れ長にブルーの瞳、黒髪の短髪、鼻筋の通った美形で、女にもモテ、困らなかった。
身体も筋肉質で歴代勇者の中でも抜きに出て、勇者っぽかった。

性格以外は。

魔王が現れた印として、光出した神剣に国王は急いで王命を下し、皇子も含めて全ての男に神剣を抜くよう命じた。

そして選ばれたジンク。国王も噂は耳にしていたので、蒼白。
しかも、ジンクは面倒臭いから嫌だと言うのだから王国は大騒ぎ。

今まで歴代勇者に与えた英雄の称号にも見向きもしない。

少し心動かしたのは貴族の爵位だった。
歴代勇者が平民だった場合、男爵か子爵の位を与えていたが、ジンクは伯爵の位と更に莫大な報奨金と美女のハーレム求めた。

それがなければ、魔王討伐の旅など行かない、神剣を使い、ギルドで稼ぎながら美女探しの旅に出ると言うのだ。

国王は渋々了承するしかなかった。
これ以上ワガママを言われても困ると、契約書を準備して、初めての契約勇者だ。

そんなジンクに国王は不安を覚え、勇者パーティーは男で固めた。
騎士、王宮魔道士、聖職者、全て王宮の国王配下の者達だ。

ジンクはぶつぶつ言っていたが、戦力が無い者より良いかと、納得した。


そして、勇者誕生から2ヶ月。
魔王が復活したのかは定かでは無いが、王都付近は魔物の発生率が上がったと連絡が入り、勇者パーティーはレベルアップの為、魔物討伐に明け暮れながら、魔王の情報を待った。

まだ、比較的弱い魔物が発生しているだけで、この魔物のレベルが上がって来た場合、魔王復活の知らせとなる。


更に1ヶ月後、ついに恐れていた事態、上級モンスターが現れたと連絡が国王のもとに入った。

何でも山奥の村、サモー村にキメラが現れたと。

旅人が村付近を通った際、なんとも表し難い魔物を見て逃げてきたらしい。
その特徴を説明したところキメラで間違いないと結果がでた。


キメラとは複数の遺伝子が交わり出来た魔物。神話にも登場する程強いと言われている。

国王はすぐさま勇者パーティーを向かわせた。

現れてから数日が経っている。村は全滅だろう…。

国王は溜息をつきつつ、キメラ討伐の知らせを待った。





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