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けしからん!!
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「キューキュー」
キメラはジンクに抱っこされながら、高い声で泣き出した。
「おやおやお腹がすいたみたいですね。これをあげて下さい。」
村長はジャムの瓶を取り出した。
「木の実や果実が好きなようで、特に甘いジャムに目がありません。」
ジンクはジャムの瓶に指を差し込むと、その指を必死にペロペロするキメラ。
ジンクは赤い顔で何度も行う。
「俺にもさせてくれ!」
ライラックがジャムの瓶に指を入れてキメラの前に出すが、ジンクが舐めさせないように妨害する。
「おい!ジンク!?」
「てめえは自分の指でもしゃぶってろ!」
ジンクは美味しそうにジンクの指に吸い付くキメラにトロンとした瞳をむけた。
そして暫く無我夢中で食べていたキメラもお腹をポンポンにしてジンクの腕の中で仰向けに寝始めた。
ケフッと小さなゲップをして、次には寝息が聞こえた。
無言でとにかくガン見するジンクに一同狼狽えるしかなかった。
20分程ガン見してから、ジンクは急に、手持ちの鞄の中へキメラをしまい出した。
その行為にいち早く突っ込んだのはオーブ村長だった。
「ちょっ!勇者様何を!?」
「はあ?俺達はキメラ退治に来たんだよ。王都に連れて帰るに決まってんだろ!?」
ドスの効いたヤンキーのように睨みつけるジンクに、先程とは違いすぎて戸惑う村長。
「何と!?こんな可愛い子を討伐など!!モンスターですが、我が村のマスコットです。周りの村や町から来るほど人気ですので困ります!!害はありませんから!!」
村長さ必死に食らいつくが、ジンクは村長を蹴り倒す勢いで振り払う。
「害はないと何故わかんだよ!キメラは上級モンスターだぞ?てめえらの金目的で国を脅かせるか!!」
「キュキュは、人化できます!人の姿なら少し話せますから、害が無いのを理解できますよ!!今一生懸命言葉を教えています!!…ハッ!!」
村長は勢いで話してしまったが、人の姿になれるモンスターは超上級モンスターなのだ。
「ほう…より危険だが、そこまで言うなら見せてみろ。危険でないと判断したなら、考えてやらんこともない。」
ニヤッと笑うジンクに縋り付く思いで村長は頷いた。
「誠ですか!?それでは!!…キュキュ起きなさい!」
ジンクの腕の中のキュキュを揺さぶると、うとうとしながら起き上がる。
「キュキュ…秘密の姿を見せてくれ。人前じゃダメって言ったけど、今回はいいよ。見せてくれたら木苺を後でやろう。
キュキュはポーっとしていたが、木苺に反応して、ジンクの腕から飛び出すと、ポンッと煙をたてた。
煙から姿を現したのは5歳くらいの男の子。
髪は足首までふわふわに伸びており、色は白だが光輝いているため白銀だろう。頭には小さなツノが二つ、耳はヤギか羊かな?目は小動物の時と違い、真っ赤なクリクリお目目がかわいらしい。白い肌に背中には小さな白い羽、スッポンポンのお尻にはふわふわの尻尾があった。
その姿にジンクは鼻から大量の血を出血した。
「勇者様!!」
村長が心配そうに叫ぶが、ライラック、ヴィート、ヨシュアもあまりの可愛さに悶絶してそれどころではなかった。
「そんちょ、いちご、ほしーの。」
可愛らしい鈴の転がるような声で一生懸命片言で話す姿はめちゃくちゃ可愛い。
「可愛いでしょ。最初は赤ちゃんだったのですが、2週間で5歳くらいまで成長しました。キュキュの能力はフェロモンらしく、嫌われないようにするぐらいしかできないようです。フェロモンなくてもこの容姿なら嫌うはずないですよ。だから安全です。」
ジンクはふるふると手を震えさせながら、キメラを抱き上げる。
すると甘い香りが鼻をくすぐる。
「だっこ、しゅる?」
赤い目をきゅるるんと大きく見開き、首を傾げるキメラに、鼻血ダラダラ流しながら、キッと睨みつけた。
「……けしからん…。フェロモンなんて、人を、誑かし、より危険だ。このキメラは俺が責任持って連れて行く!!」
「「「………。」」」
あっ、これ、ただ連れて帰りたいだけじゃねえか。
…と、3人は思ったが、キメラの可愛さに自分も内心同じ気持ちだったので、黙っておくことにした。
「そ!そんな!!」
村長は涙目で顔を蒼ざめる。
「きゅきゅ、きけん?」
ふにゃっと悲しげに眉を下げるキメラにジンクは慌てて、ギュッと抱きしめる。
「けしからん!!ああっ!危険な程かわ…ゴホン!!…この村にいたら、何があっても対処できねえ!俺と来い。」
キメラは人差し指をちゅぽんと加えながら、少し考えているようだ。
「そんちょ、ばいばい?」
「そうだ。」
「いちご、ない?」
「食わしてやる。」
ちゅぱちゅぱしながら考えるキメラ、チラッと村長を見ると、村長は縋るように手を伸ばしている。
「そんちょ、ばいばい。」
手を振るキメラに、号泣の村長。
「そんなー!!キュキュー!!」
「話も着いたし、行くか。」
ライラック達は泣き崩れる村長に哀れみの視線を送りながら、ジンクの後に続いた。
すると、村長は泣きながら、嫉妬の視線をジンクに送り、村中に響き渡る声で叫んだ。
「皆どもー!!キュキュが勇者様に攫われたー!!!何としても助け出せー!!」
「はっ?何言ってんだくそじじい!!本人の許可とっただろう!?」
ジンクは村長を睨みつけるが、もう先程の優しそうなオーブはいなかった。
「うるさーい!!キュキュを返せー!!」
オーブの叫びと共に、村人達が鎌や棍棒を持ち、ジンク達を囲んだ。
「この!キメラ攫い!」
「キュキュを返しやがれ!!」
村人に囲まれた一向はさて、どうするか……
キメラはジンクに抱っこされながら、高い声で泣き出した。
「おやおやお腹がすいたみたいですね。これをあげて下さい。」
村長はジャムの瓶を取り出した。
「木の実や果実が好きなようで、特に甘いジャムに目がありません。」
ジンクはジャムの瓶に指を差し込むと、その指を必死にペロペロするキメラ。
ジンクは赤い顔で何度も行う。
「俺にもさせてくれ!」
ライラックがジャムの瓶に指を入れてキメラの前に出すが、ジンクが舐めさせないように妨害する。
「おい!ジンク!?」
「てめえは自分の指でもしゃぶってろ!」
ジンクは美味しそうにジンクの指に吸い付くキメラにトロンとした瞳をむけた。
そして暫く無我夢中で食べていたキメラもお腹をポンポンにしてジンクの腕の中で仰向けに寝始めた。
ケフッと小さなゲップをして、次には寝息が聞こえた。
無言でとにかくガン見するジンクに一同狼狽えるしかなかった。
20分程ガン見してから、ジンクは急に、手持ちの鞄の中へキメラをしまい出した。
その行為にいち早く突っ込んだのはオーブ村長だった。
「ちょっ!勇者様何を!?」
「はあ?俺達はキメラ退治に来たんだよ。王都に連れて帰るに決まってんだろ!?」
ドスの効いたヤンキーのように睨みつけるジンクに、先程とは違いすぎて戸惑う村長。
「何と!?こんな可愛い子を討伐など!!モンスターですが、我が村のマスコットです。周りの村や町から来るほど人気ですので困ります!!害はありませんから!!」
村長さ必死に食らいつくが、ジンクは村長を蹴り倒す勢いで振り払う。
「害はないと何故わかんだよ!キメラは上級モンスターだぞ?てめえらの金目的で国を脅かせるか!!」
「キュキュは、人化できます!人の姿なら少し話せますから、害が無いのを理解できますよ!!今一生懸命言葉を教えています!!…ハッ!!」
村長は勢いで話してしまったが、人の姿になれるモンスターは超上級モンスターなのだ。
「ほう…より危険だが、そこまで言うなら見せてみろ。危険でないと判断したなら、考えてやらんこともない。」
ニヤッと笑うジンクに縋り付く思いで村長は頷いた。
「誠ですか!?それでは!!…キュキュ起きなさい!」
ジンクの腕の中のキュキュを揺さぶると、うとうとしながら起き上がる。
「キュキュ…秘密の姿を見せてくれ。人前じゃダメって言ったけど、今回はいいよ。見せてくれたら木苺を後でやろう。
キュキュはポーっとしていたが、木苺に反応して、ジンクの腕から飛び出すと、ポンッと煙をたてた。
煙から姿を現したのは5歳くらいの男の子。
髪は足首までふわふわに伸びており、色は白だが光輝いているため白銀だろう。頭には小さなツノが二つ、耳はヤギか羊かな?目は小動物の時と違い、真っ赤なクリクリお目目がかわいらしい。白い肌に背中には小さな白い羽、スッポンポンのお尻にはふわふわの尻尾があった。
その姿にジンクは鼻から大量の血を出血した。
「勇者様!!」
村長が心配そうに叫ぶが、ライラック、ヴィート、ヨシュアもあまりの可愛さに悶絶してそれどころではなかった。
「そんちょ、いちご、ほしーの。」
可愛らしい鈴の転がるような声で一生懸命片言で話す姿はめちゃくちゃ可愛い。
「可愛いでしょ。最初は赤ちゃんだったのですが、2週間で5歳くらいまで成長しました。キュキュの能力はフェロモンらしく、嫌われないようにするぐらいしかできないようです。フェロモンなくてもこの容姿なら嫌うはずないですよ。だから安全です。」
ジンクはふるふると手を震えさせながら、キメラを抱き上げる。
すると甘い香りが鼻をくすぐる。
「だっこ、しゅる?」
赤い目をきゅるるんと大きく見開き、首を傾げるキメラに、鼻血ダラダラ流しながら、キッと睨みつけた。
「……けしからん…。フェロモンなんて、人を、誑かし、より危険だ。このキメラは俺が責任持って連れて行く!!」
「「「………。」」」
あっ、これ、ただ連れて帰りたいだけじゃねえか。
…と、3人は思ったが、キメラの可愛さに自分も内心同じ気持ちだったので、黙っておくことにした。
「そ!そんな!!」
村長は涙目で顔を蒼ざめる。
「きゅきゅ、きけん?」
ふにゃっと悲しげに眉を下げるキメラにジンクは慌てて、ギュッと抱きしめる。
「けしからん!!ああっ!危険な程かわ…ゴホン!!…この村にいたら、何があっても対処できねえ!俺と来い。」
キメラは人差し指をちゅぽんと加えながら、少し考えているようだ。
「そんちょ、ばいばい?」
「そうだ。」
「いちご、ない?」
「食わしてやる。」
ちゅぱちゅぱしながら考えるキメラ、チラッと村長を見ると、村長は縋るように手を伸ばしている。
「そんちょ、ばいばい。」
手を振るキメラに、号泣の村長。
「そんなー!!キュキュー!!」
「話も着いたし、行くか。」
ライラック達は泣き崩れる村長に哀れみの視線を送りながら、ジンクの後に続いた。
すると、村長は泣きながら、嫉妬の視線をジンクに送り、村中に響き渡る声で叫んだ。
「皆どもー!!キュキュが勇者様に攫われたー!!!何としても助け出せー!!」
「はっ?何言ってんだくそじじい!!本人の許可とっただろう!?」
ジンクは村長を睨みつけるが、もう先程の優しそうなオーブはいなかった。
「うるさーい!!キュキュを返せー!!」
オーブの叫びと共に、村人達が鎌や棍棒を持ち、ジンク達を囲んだ。
「この!キメラ攫い!」
「キュキュを返しやがれ!!」
村人に囲まれた一向はさて、どうするか……
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