異世界最強の癒しの手になりました(仮)

B介

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フルムーンの夢心地

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夕暮れの赤が黒と混じる空を窓から眺める。

もう、薄らと月が顔を出す。

あの月が高く上がる時、俺はダイナに抱かれるのか…そう思うと顔が熱くなる。

本日はダイナの変化がいつくるかわからない為、早めの夕食を2人で摂る。

席にはダイナと2人。他にもチラホラメンバーはいるが、ガル達はマスター室に籠もっている。


何故かって?

本日ダイナとすることを前から知っていたガルはどうにか自分も一緒にと、絵心の後からずっと駄々を捏ねている。

最強チート野郎の駄々捏ねは最強すぎる。

やれ、ギルドを闇で包むぞ?
やれ、皆の影に潜んで討伐中不利にするぞ?

いっそ、月を壊すか?

など言いながら、どす黒いオーラを放ち、皆を威圧していた。

なので、本日はシス、ウラン、アル、ティーン、アリアナによって、なんとかガルを監視監禁中。

ティーンが途中面倒くさくなって、またなんか契約すれば?と言われた時は肝が冷えた。ガルは目を輝かせたが、俺は恐ろしさを知っている為却下だ。


なので仕方なく、皆で囲ってくれている。


助かります!

ってか、毎月こうなんの??


ガルとは打って変わって、上機嫌とわかるほど、目を輝かせているダイナ。

いつも口元はマスクで覆われているから分かりにくいはずなのに、背後に花さえ見える。

アリアナさんがこっそり教えてくれたが、元々クールだが、満月が近づくにつれ、暗くなり塞ぎ込むらしいダイナ。

今回は逆らしく、明るくなっていると。

ヒヨリくんのおかげだね?と言われた。


なんだが嬉しい。


ダイナを明るくしているのが俺なんだ。

抱かれるのは恥ずかしいが、ダイナが満月を怖くなくなるなら何でもいいや。と思う。

今夜の為に体力作りと、マスクを外してお肉に食らいつきながら、ダイナがニコリと笑う。

俺も釣られてニコリ。


すると、ダイナの左口角が裂け始めてきた。

慌てて、マスクをして、俺とダイナはダイナの部屋に向かった。


本棚、と机には沢山の本が積まれている。

ベッドの横には花瓶があり、可愛いオレンジの花が飾られていた。

質素な部屋を明るくする花に興味をそそられて見ると、ダイナは口元を抑えながら、キョドキョドと瞳を動かした。


「き、今日はヒヨリと、その…部屋でするから、少し、でも、綺麗に、したくて、あ、朝摘んだんだ。オレンジ…ヒヨリみたいに、明るくて…いいなって。」


照れるダイナに、より照れるヒヨリ。

「お、俺ってオレンジ?」

「ああ。いるだけで明るくなる。オーラは月の光みたいに優しい色だが、お前の笑顔は太陽の様に明るい光だ。」

ダイナはヒヨリを抱き寄せ、ベッドに座らせる。

ヒヨリは照れながらも、ダイナのマスクを外して、左口角の裂目にキスをする。


それが合図とばかりに、ダイナはヒヨリのシャツを脱がせ、自分の肌を隠す為のマントを脱ぎ、黒のタイトなシャツを脱ぎ捨て、ヒヨリをベッドに押し倒す。

まずは優しいキスを唇に落とし、ヒヨリがダイナを迎え入れる為開いた唇にダイナの舌を差し込む。

ダイナの割れた舌先が器用にヒヨリの舌に絡みつく。

なんとも言えない動きで擦り合う舌の快感にヒヨリは腰を浮かす。その瞬間にダイナはヒヨリの下着とズボンを一気に脱がした。

脱がされた事に気付きながらも、キスに翻弄され、ヒヨリはダイナの首に腕をまわす事が精一杯だった。

ダイナもキスをしたまま、器用に、肌に張り付くズボンを脱ぎ捨て、お互いの肌を重ね合わせる。

「ヒヨリ、鱗は痛く無いか?冷たく無いか?」

唇を離して、心配そうに確認するダイナ。

「ちょっと冷たいけど、お布団の中だから大丈夫だよ。ホラッあったかいだろ?」


ギュッとダイナに抱きつくヒヨリ。

ヒヨリの温かさが、ジンワリと冷たく硬い肌から浸透してくる。

「ああ…くっついているだけで最高に心地が良いよ。ヒヨリ…こんなにも満月が待ち遠しいとは…、この50年はなんだったのだろうな。」

クスッと笑いながら、おでこをくっつけるダイナに、ヒヨリも釣られて笑う。

ダイナがうれしそうだと俺も嬉しくて笑う。


ダイナの裂け目にキスをして、おでこにもキス、唇にも…

「ヒヨリ…」

ヒヨリからのキスに興奮したダイナは、また唇を重ねて深く深く舌を潜り込ませる。

甘い唾液に翻弄されながら、ヒヨリとの隙間が無いほど密着して、貪るキス。

温かさとキスの濃厚さに、酔いしれていく。

ヒヨリの唾液のせいか、避けるスピードが遅く痛みも少ない。

いや…そんな痛みよりも、この気持ち良さに蕩けそうで、何も感じない。


ただ、甘さ、ただ、温かさ、ただ絡める舌の気持ち良さ、ただ、肌の心地よさだけがダイナを包む。


窓から差し込む月の光が鮮やかにヒヨリの白さを引き立たせ、神秘的な輝きを放っていた。

これは夢ではないかと、心配になるほど美しく、ダイナはより一層強く抱き込む。


ああ、なんて心地よいんだ。ヒヨリ。


本当に夢かもしれない。

だが、夢でも幻でもそばに、側にいてくれ。


また、熱いキスを落とす。
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