スキル覚醒の覇王ー最弱から成り上がる異世界チート伝

あか

文字の大きさ
43 / 80

第43話

しおりを挟む


第43話 無限派の遺言

 ――その夜、世界中の夢が“同じ声”で満たされた。

『終わりを受け入れるな。
 祈りは欺き。創造は嘘。
 永遠こそが救いだ。』

 その声は、誰もが知る男の声だった。
 ――アシュレイ・カイト。

 死んだはずの彼が、夢の中で語りかけてくる。
 子どもも、大人も、創造者も。
 その言葉は、人々の心に深く食い込み、
 やがて“祈り”の形を変え始めた。



 アマギ・中央塔。

 リィナが眠そうな顔で報告を持ってきた。
「……なぁ、エリス。世界中で“同じ夢”を見たって話が出てる。
 それも、内容が全部アシュレイの演説だ。」

 エリスはテーブルに広げられたデータを見つめる。
 そこには“共鳴波形”の異常値が記録されていた。

「夢を通じて、共鳴を侵食してるのね……。
 アシュレイは、“祈り”の構造を逆利用してる。」

 ゼオルが眉をひそめる。
「祈りのエネルギーを“再創造の媒体”にしてるのか。
 つまり、人の心を使って“無限派”を再現している。」

 エリスは静かに頷く。
「彼は、死んでも“祈り”を否定し続けてるのよ。」



 その夜、再び夢が流れた。

 ――白い世界。
 光も音もない空間に、アシュレイの幻影が立っていた。

「君たちは、祈りに縋る。
 だが、それは“恐怖の裏返し”だ。
 祈るのは、死を恐れるからだろう?」

 エリスはその夢の中に立っていた。
 現実と変わらぬ感覚。
 アシュレイの声が耳の奥で反響する。

「恐れが創造を動かす? それでいいじゃない。
 恐れもまた、生きる力なのよ。」

「違う。恐れは“枷”だ。
 恐怖がある限り、君たちは真に自由になれない。」

 アシュレイが手を伸ばす。
 空間が波紋のように揺れ、
 周囲の祈りの光が黒に染まっていく。

「見ろ。祈りの果てには“矛盾”しかない。
 誰もが願い、誰もが違う結末を望む。
 だから世界は不安定になる。
 ――祈りなど、いずれ人類を壊す。」

 エリスは一歩踏み出す。
 光が足元に広がり、彼女の姿が明るく浮かび上がる。

「祈りが壊すなら、壊れるたびにまた創ればいい。
 壊れるたびに立ち上がる、それが人間なの!」

 アシュレイの表情が、わずかに歪んだ。
「……本当に、そう思うのか?」

「ええ。
 あなたが“永遠”を選んだのは、恐怖を消したかったから。
 でも私は、“恐怖と共に生きる強さ”を選んだ。」

 その瞬間、夢の世界に裂け目が走る。
 光があふれ、黒い空間が弾け飛んだ。



 現実。

 エリスが目を開けると、朝の光が差し込んでいた。
 リィナとゼオルが駆け寄ってくる。

「大丈夫か!? お前、意識が半日もなかったんだぞ!」

「ええ……アシュレイの“遺言”を見てきたの。」

「遺言?」

 エリスは小さく頷く。
「彼はもう存在していない。
 でも、“無限創造”の残滓が祈りのネットに残ってた。
 それが自動で夢に干渉してたの。」

 ゼオルが肩を落とす。
「つまり、もう“本人”はいない……?」

「ええ。けれど――彼の“言葉”は生きてる。」



 その日の夜、
 エリスは連盟全体に向けて“祈りの放送”を行った。

『――この世界に、永遠はありません。
 でも、祈りがあります。
 祈りは、壊れても、消えても、必ず“誰かに届く”。
 それこそが、私たちが創造者である理由です。』

 世界中の人々が空を見上げた。
 祈りの光が、一つ、また一つと灯っていく。
 夢の中で囁かれていた“無限の声”が、
 静かに消えていくのが感じられた。



 放送を終えたあと、エリスは一人で展望台に立っていた。
 風が頬を撫で、街の光が彼女の瞳に映る。

「……ねえ、アシュレイ。
 あなたの祈りも、どこかで誰かを動かしてるかもしれないわ。」

 遠く、夜空の星がひとつだけ強く光った。
 その光が、まるで彼の“残響”のように瞬いていた。



 翌朝。

 世界中の子どもたちが目を覚ますと、
 夢の中で“ひとつの言葉”を覚えていた。

『祈れ。終わりを恐れるな。
 恐れの中にこそ、創造は生まれる。』

 それは、アシュレイとエリス――
 二人の祈りが融合した、“新しい言葉”だった。

 世界が、静かに動き出す。
 祈りと恐れを抱えながら、それでも人々は“生きる”。

 エリスは微笑んだ。
「祈りの果てに残ったのは、希望じゃない。
 ――“生きようとする意志”そのものね。」

 空の創造星が朝陽を反射し、
 まるで新しい世界の幕開けを告げるように輝いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...