詐欺る

黒崎伸一郎

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派遣会社崩壊への道

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派遣する社員はメンバーのうち退院している三人をとりあえず入れることにした。
八時から五時までの仕事で会社に入る金は一人につき一日一万五千円その内一万円が給料として支払われる。
月に二十五日働いたら二十五万円の給料になる。
前の派遣会社の給料より五万円以上いい計算でメンバーにとっても悪い話ではなかった。
私は利益は社長(年配の人)と折半の約束であったが、別にその金は当てにはしていなかった。
力仕事が多い為、慣れない奴もいたが休まれては困るので仕事が終わった後や休みの日などはたまに飯や飲みに連れて行ってやった。
機嫌を取らなくてはいけないのも私にとっては面倒なことだった。
それでも休まずに仕事はしていたのでこれでなんとかなると思っていた。
一ヶ月が過ぎた時、給料日に給料を渡した時から休みがちになってくるメンバーが出てきた。
やはり力仕事に向かないらしく辛いのだと言う。
後の二人のうち一人もそう言ってきた。私は入れた仕事をすぐに辞めることはできない為、仕事に入る人を探さなければならなかった。
会社でも募集はするのだがなかなか集まらず、穴を開けられないので私も仕事に出ることもあった。
私も力仕事は苦手で一週間もたたないうちに腰が痛くなり仕事に行かなくなった。
そして悪いのは重なり仕事場でメンバーが怪我をしたのだ。
解体作業中に携帯を弄っていたらしく穴に落ち足にヒビが入ったのだった。
病院に行ったが当然仕事はできず派遣のため補償などない。
その上仕事中に携帯を見ていての事故で当然解雇だった。
私の会社も三人入れて、すぐに休みがちになり挙げ句の果てには不注意で事故を起こすといった散々な事を起こした為、そこの会社からは撤退しなくてはならなくなった。
仕方なく私は会社に損害を与えたので損害金として二百万円を支払うことになったのだ。
私は派遣会社を立ち上げなくても一ヶ月で三百万円の損失になった。
いろんな失敗で私は持ち金の大半を失い、なんとかしなければの気持ちしかなかったのかもしれなかった。
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