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黄色のマーカー
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昨夜寝ていた時に思い出してオッズパークと即パットを申し込んだ海斗はそれからは目が覚めてあまり眠れない状態だった。
結局朝方までうつらうつらで仕事に行く事になってしまったのだった。
その日の仕事は比較的忙しくはなかったが、炎天下の中でのたち仕事は結構体にくる。
足先から浅さの裏も合わせて足全体が痛い。
買った冷たいドリンクも数分すればすぐに冷たさは消えて生暖かくなる。
それでもそれを飲まないと熱中症になりかねない。
フラフラで仕事を終えた海斗はすぐに事務所の稲垣の元に急いだ。
昨夜の話の続きを聞くためだが、事務所に何人もの従業員が押し寄せてくる時もあるのでそんな時は話などできる訳がないので小走りで事務所まで急いだのだ。
二十五日の給料日は明日で、明日は手渡しの人は全員来る。
海斗は銀行振り込みゆえ取りに来る必要はない。
ビルの二階に事務所があり階段を急いで登る。
ドアをノックしてからドアを開けた。
「お疲れ様です!」
部屋の中には電話中の稲垣がいた。
幸い他の従業員はまだ来ていなかった。
稲垣が電話を切るのを確認して改めて「お疲れ様です。昨夜は大変ご馳走になり、ありがとうございました」
と昨夜の礼も兼ねて挨拶をした。
「お疲れ様でした。昨夜のデータの書類これだから…」
と言って三十枚はあろうか書類をカイトの前に出した。
「えっ…?」
思わず立ち竦む海斗に笑いながら「この三十枚にそのデータの集計が載ってるよ。
結構データ作るのも時間かかってるんだからね…!」
そう言いながら一枚の紙を差し出した。
「このデータをどう使えば良いんですか?」
そのデータをぱっと見ても海斗にはどのようにして買えば勝てるのかは全く理解
できなかった。
これをこれから帰ってよくみたらわかると思うけど…」
稲垣がそこまで話した時にドアが開き他の従業員らが入ってきた。
「これをよくみて分からないことがあったらLINEして!」
後から何人か事務所に入ってきたので話などできるはずもない。
「昨夜話したオッズパークと即パットの申し込むはしてきましたのでそれもどうするのか後で教えてくださいよ…」
海斗は他の従業員に聞こえないように稲垣の耳元に小声で囁くように話した。
小さく頷く稲垣を見ながら事務所のドアから出て階段を降りアパートに帰った。
帰ってからお風呂に湯を入れながら稲垣からもらったデータを見た。
一枚の紙にJRAの競馬のデータと公営競馬、競輪とボートのデータも一緒に記載されていた。
重要なデータはすぐにわかるように黄色のラインマーカーで線が引いてあった。
これをどのようにして勝ちにつなげるのだろう?
海斗にはまだよく分からなかった。
風呂の湯が溜まって風呂に入る。
シャワーでは疲れが取れた感じがしないので、海斗は必ず湯船に浸かる。
バスは半分湯が入ったら穴が横にあり流れていくタイプで、狭い上に首元までなかなか疲れないが贅沢は言っていられない。
頭と体を洗いシャワーで流してからバスルームを出た。
このアパートは会社が借りてくれた部屋で、家賃は三万八千円で相場より少しだけ安い。
他の従業員が出た後に稲垣さんが「オール電化だから…」
と言うので、オール電化でこの値段なら安い!と思って入ったが、まんまと騙された。
冷暖房と小さな冷蔵庫だけで、テレビやレンジ洗濯機もない。
中でもガスコンロもない状態だ。
結局テレビと湯沸かしポットは買ったが、洗濯機とガスコンロは買わずじまい。
金もないのもあったが、玄関の横に取り付けるタイプの洗濯機で、とにかくその場所が狭い。
どのようにして入れれば良いのかと考えて、金もかかるので洗濯機はコインランドリーで済ます事にした。
だがコインランドリーはこのアパートから歩いて十分ほどかかるし、一週間分の洗濯量の服を持って歩くのもめんどくさい。
もちろんカゴを買ってそれに入れ込んで歩くのだが、十分の距離は長い。
今のコインランドリーは乾燥と合わせてやってくれるのだがやはり千円は高い。
洗剤も込みだからそのくらいはかかるのだろうが、週一で月四千円は海斗にとって痛かった。
そんな事を今気にしている時ではない。
ベトベトの体をさっぱりさせた海斗は
さっきのデータを改めて熟視した。
熟視というよりマーカーの場所を凝視していた。
JRAのレースに特に関心があった海斗は昨夜稲垣が言っていた一番人気の馬に注目していた。
データを見るまでもなかったが、一番人気の馬がやはり一着になる確率が一番高い。
しかも二番人気以下より群を抜いて高い。
これは当たり前のことだと思った。
昨夜、稲垣が言いたかったのはおそらくこの一番人気の馬を一着に固定した買い方で回収率が高い方法を考えたのではないかと海斗は思い稲垣にLINEで連絡をした。
あまり時間が経つことなく返信があった。
ラインの返信の内容は以下の通りだった。
やっぱり小比類巻さんは気がつきましたか…。
その紙を見ても全く分からない人もいるのですが、そういう人とはやはり少しは違いますね!
ではどのようにしてそのデータを使って買っていけば良いのでしょうか?
その答えは小比類巻さん、あなたが見つけてください!
他の人とは違うあなたならそのデータを使いこなすことができるはずです。
一つヒントを添えておきます。
一番人気でもオッズの低いのも高いのもありますが、やはりあまり高いオッズの一番人気は一着に来る確率は低くなるということです。
LINEの内容は以上だった。
海斗としてはもっと詳しく明日からでも実行することができる事を聞きたかったのになんか肩透かしを喰らった気分になった。
だが数分もしない間にもう一度稲垣からのラインが来た。
そうそう、昨日申し込まれたオッズパークと即パットの攻略法も次回お教えしますからあんまり無駄金を使わないようにしてくださいね。
小比類巻さん、週末からそのデータからどのようにして買えばプラスになるのかよく考えて動いてみてください。
あくまでもデータですからすぐには結果は出ませんよ。
長い目で見るように…!
稲垣からのLINEはある程度は自分で確かめてみろと言っているようだった。
海斗はデータをもう一度凝視した。
するとあるところに気がついたのだった。
結局朝方までうつらうつらで仕事に行く事になってしまったのだった。
その日の仕事は比較的忙しくはなかったが、炎天下の中でのたち仕事は結構体にくる。
足先から浅さの裏も合わせて足全体が痛い。
買った冷たいドリンクも数分すればすぐに冷たさは消えて生暖かくなる。
それでもそれを飲まないと熱中症になりかねない。
フラフラで仕事を終えた海斗はすぐに事務所の稲垣の元に急いだ。
昨夜の話の続きを聞くためだが、事務所に何人もの従業員が押し寄せてくる時もあるのでそんな時は話などできる訳がないので小走りで事務所まで急いだのだ。
二十五日の給料日は明日で、明日は手渡しの人は全員来る。
海斗は銀行振り込みゆえ取りに来る必要はない。
ビルの二階に事務所があり階段を急いで登る。
ドアをノックしてからドアを開けた。
「お疲れ様です!」
部屋の中には電話中の稲垣がいた。
幸い他の従業員はまだ来ていなかった。
稲垣が電話を切るのを確認して改めて「お疲れ様です。昨夜は大変ご馳走になり、ありがとうございました」
と昨夜の礼も兼ねて挨拶をした。
「お疲れ様でした。昨夜のデータの書類これだから…」
と言って三十枚はあろうか書類をカイトの前に出した。
「えっ…?」
思わず立ち竦む海斗に笑いながら「この三十枚にそのデータの集計が載ってるよ。
結構データ作るのも時間かかってるんだからね…!」
そう言いながら一枚の紙を差し出した。
「このデータをどう使えば良いんですか?」
そのデータをぱっと見ても海斗にはどのようにして買えば勝てるのかは全く理解
できなかった。
これをこれから帰ってよくみたらわかると思うけど…」
稲垣がそこまで話した時にドアが開き他の従業員らが入ってきた。
「これをよくみて分からないことがあったらLINEして!」
後から何人か事務所に入ってきたので話などできるはずもない。
「昨夜話したオッズパークと即パットの申し込むはしてきましたのでそれもどうするのか後で教えてくださいよ…」
海斗は他の従業員に聞こえないように稲垣の耳元に小声で囁くように話した。
小さく頷く稲垣を見ながら事務所のドアから出て階段を降りアパートに帰った。
帰ってからお風呂に湯を入れながら稲垣からもらったデータを見た。
一枚の紙にJRAの競馬のデータと公営競馬、競輪とボートのデータも一緒に記載されていた。
重要なデータはすぐにわかるように黄色のラインマーカーで線が引いてあった。
これをどのようにして勝ちにつなげるのだろう?
海斗にはまだよく分からなかった。
風呂の湯が溜まって風呂に入る。
シャワーでは疲れが取れた感じがしないので、海斗は必ず湯船に浸かる。
バスは半分湯が入ったら穴が横にあり流れていくタイプで、狭い上に首元までなかなか疲れないが贅沢は言っていられない。
頭と体を洗いシャワーで流してからバスルームを出た。
このアパートは会社が借りてくれた部屋で、家賃は三万八千円で相場より少しだけ安い。
他の従業員が出た後に稲垣さんが「オール電化だから…」
と言うので、オール電化でこの値段なら安い!と思って入ったが、まんまと騙された。
冷暖房と小さな冷蔵庫だけで、テレビやレンジ洗濯機もない。
中でもガスコンロもない状態だ。
結局テレビと湯沸かしポットは買ったが、洗濯機とガスコンロは買わずじまい。
金もないのもあったが、玄関の横に取り付けるタイプの洗濯機で、とにかくその場所が狭い。
どのようにして入れれば良いのかと考えて、金もかかるので洗濯機はコインランドリーで済ます事にした。
だがコインランドリーはこのアパートから歩いて十分ほどかかるし、一週間分の洗濯量の服を持って歩くのもめんどくさい。
もちろんカゴを買ってそれに入れ込んで歩くのだが、十分の距離は長い。
今のコインランドリーは乾燥と合わせてやってくれるのだがやはり千円は高い。
洗剤も込みだからそのくらいはかかるのだろうが、週一で月四千円は海斗にとって痛かった。
そんな事を今気にしている時ではない。
ベトベトの体をさっぱりさせた海斗は
さっきのデータを改めて熟視した。
熟視というよりマーカーの場所を凝視していた。
JRAのレースに特に関心があった海斗は昨夜稲垣が言っていた一番人気の馬に注目していた。
データを見るまでもなかったが、一番人気の馬がやはり一着になる確率が一番高い。
しかも二番人気以下より群を抜いて高い。
これは当たり前のことだと思った。
昨夜、稲垣が言いたかったのはおそらくこの一番人気の馬を一着に固定した買い方で回収率が高い方法を考えたのではないかと海斗は思い稲垣にLINEで連絡をした。
あまり時間が経つことなく返信があった。
ラインの返信の内容は以下の通りだった。
やっぱり小比類巻さんは気がつきましたか…。
その紙を見ても全く分からない人もいるのですが、そういう人とはやはり少しは違いますね!
ではどのようにしてそのデータを使って買っていけば良いのでしょうか?
その答えは小比類巻さん、あなたが見つけてください!
他の人とは違うあなたならそのデータを使いこなすことができるはずです。
一つヒントを添えておきます。
一番人気でもオッズの低いのも高いのもありますが、やはりあまり高いオッズの一番人気は一着に来る確率は低くなるということです。
LINEの内容は以上だった。
海斗としてはもっと詳しく明日からでも実行することができる事を聞きたかったのになんか肩透かしを喰らった気分になった。
だが数分もしない間にもう一度稲垣からのラインが来た。
そうそう、昨日申し込まれたオッズパークと即パットの攻略法も次回お教えしますからあんまり無駄金を使わないようにしてくださいね。
小比類巻さん、週末からそのデータからどのようにして買えばプラスになるのかよく考えて動いてみてください。
あくまでもデータですからすぐには結果は出ませんよ。
長い目で見るように…!
稲垣からのLINEはある程度は自分で確かめてみろと言っているようだった。
海斗はデータをもう一度凝視した。
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