噂のギャンブラー

データを使ってみる

それは稲垣の言ったオッズのことだった。
よく見ると一番人気には単勝1.2倍のオッズから5倍を超えているオッズまでいろいろある。
もちろんオッズが低い方が来る確率は高くなる。
１.2倍の単勝の馬は過去十年間のデータにそんなにはいなかった。
やはり1.3～1.4倍のオッズの馬なら何頭もいた。
その馬でも全てが一着に来るわけではないが、なんと九割を超えた確率であった。
ではどのくらいのオッズまでならば一着で買うと良いのだろうか…？
2倍？いや3倍…？
2倍の馬が一着で来るデータはやはり3倍のオッズの馬よりははるかに確率は高い。
4倍、5倍になるとなおさら下がってくる。
海斗は3倍以下のオッズならやる価値はあると思った。
やはりどこかにラインを引いて勝負をしなくてはならない。
それが3倍か…。
海斗は次の日曜日にそのデータを元に実践してみるつもりだった。
ただ、単勝を買うつもりは全くない。
やはり三連単で勝負と決めていたが1番人気の馬が3倍以下のオッズのレースはいくらでもある。
それを全てやるわけにはいかない。
レースを選ぶ必要があった。
単勝3倍以下の一番人気の馬で一着になっても二着と三着が人気馬で決まれば配当は全くつかない。
しかも頭数が少なければ三連単の配当が、千円を切る事もたまにありえた。
そこである程度頭数が揃わないと妙味がないことは歴然だ。
海斗は何頭立て以上ではないと勝負しないと決める必要がある事を感じた。
そこで稲垣にLINEでを送ってみた。
もう九時前なので家庭サービスでもしていたら迷惑じゃないかな…？
とは思いながら連絡だけはしなくては今夜は眠れない予感がしたからだった。
数分したら稲垣のLINEの返信が来た。
LINEの内容はこうだ。

頭数は多いほど三連単の配当は高くなります。
一番の多頭数は十八頭立てですが一日何レースもあることは稀です。
でも十六頭立てなら沢山あります。
僕の見解ですがせめて十四頭立て以上のレースで実践するのをお勧めします。
そのくらいの頭数のレースなら沢山あり、配当もある程度は期待できると思います…。
では健闘を祈ります！

との返信だった。
やはり十四頭立てか…。
海斗はある程度そのくらいの頭数はいないと配当に期待できないと感じていた。
稲垣から返信があったことで海斗の実践するレースが決まった。
後は二着、三着に何を入れるかであった。
二着に二番人気が来た場合の配当金を出してみた。
やはり十四頭立てだとしても三桁の事も多々あった。
平均配当は二千円代になっていた。
そのくらいの配当を百円とったところで当たっても利益は少ない。
また負ける事ももちろんあるわけだから、そのやり方では利益が出るとは思えない。
ではどうすれば利益が出るのだろう…？
その日は結局、結論は出なかった。
週末の競馬はそこら辺をどうするかを考えながら場外馬券売り場に行くつもりでその日はベッドに倒れ込んだ。
次の週末の日曜日は幾らかの金は入っている。
ただ、今までと同じ様な負け方だけはしたくないと思う海斗だった。