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敵アリに遭遇
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アーリアが巣を出てから、あっという間に半日がたちました。アーリアはエサらしいエサをまだ何も見つけられていませんでした。
空高くのぼった太陽がようしゃなく照りつけ、アーリアの体力をどんどんうばっていきます。
(頭がくらくらしてきた。このままでは干からびてしまう。どこかで日かげを見つけて休まないと)
とその時、遠くの方に大きな丸いシルエットが見えました。
(きっと大きな石か何かだ。休める日かげもありそうね)
近づいていくと、目玉が二つついているのがわかりました。おどろいたことにそのシルエットは大きなクマゼミの頭だったのです。
アーリアはちょうどクマゼミ頭の方から近づいたので、よほど近くまで来ないとただの黒いシルエットにしか見えなかったのです。
クマゼミはあお向けになってまったく動きません。すでに息たえていました。
クマゼミはかなりの大物でした。
アーリアは、大物を見つけたよろこびでむねがいっぱいになりました。のどのかわきも、体のつかれもいっきにふきとんでしまうほどでした。
(このクマゼミ、どのくらいの大きさなのかしら。上にのぼってたしかめてみよう)
アーリアはクマゼミの頭をなぞるようにしてひといきに上までのぼりました。
のぼりきると、そこには思いもよらない光景が広がっていました。
十匹ほどのアリが、クマゼミを運び出す作業にすでにとりかかっていたのです。
アーリアは自分がクマゼミを一番に見つけたのではないことがわかり、がっくしてかたを落としました。やる気をくじかれたアーリアは、今日のところは運びアリに合流してまた明日出直そうと思いました。
けれどもクマゼミを運びだしているアリたちの方に近づいていくと、アーリアは何かがおかしいと思いました。
(何だろう……そうだにおいがちがう。しまった、ここにいるアリはわたしのなかまじゃないわ。)
アーリアの巣ではよその巣のアリのことを敵アリとよんでいました。
アーリアは、敵アリのじん地にうっかり入ってしまっていたのです。
アーリアは気づかれないようにそろそろとあとずさりしました。しかし、すぐに気づかれてしまいました。
「みんな、あそこによそものがいるわよ」
クマゼミを運び出しているアリの一匹がさけびました。彼女たちにすれば、アーリアこそ敵アリなのです。
クマゼミを運びだしていたほかのアリたちも、ピタと手を止めていっせいにアーリアをにらみつけました。
「よそもの、逃がさないわよ」
「さてはわたしたちが見つけたクマゼミを横どりする気ね」
「それ、かかれー!」
あらあらしい声をあげながら、敵アリたちはものすごいいきおいでアーリアにせまってきました。アリたちはよそものにようしゃがないのです。
アーリアは死にものぐるいで逃げました。
敵アリたちはしつこくおいまわしてきましたが、アーリアが自分の巣のじん地に入るとそれ以上はおってきませんでした。
命からがら逃げのびたアーリアは、エサ探しは危険な仕事で、誰でもつとまるような仕事ではないなと思いました。そしてそれ以来、見つけアリになろうとするのはやめて、運びアリの仕事に一生けん命はげむようになりました。
空高くのぼった太陽がようしゃなく照りつけ、アーリアの体力をどんどんうばっていきます。
(頭がくらくらしてきた。このままでは干からびてしまう。どこかで日かげを見つけて休まないと)
とその時、遠くの方に大きな丸いシルエットが見えました。
(きっと大きな石か何かだ。休める日かげもありそうね)
近づいていくと、目玉が二つついているのがわかりました。おどろいたことにそのシルエットは大きなクマゼミの頭だったのです。
アーリアはちょうどクマゼミ頭の方から近づいたので、よほど近くまで来ないとただの黒いシルエットにしか見えなかったのです。
クマゼミはあお向けになってまったく動きません。すでに息たえていました。
クマゼミはかなりの大物でした。
アーリアは、大物を見つけたよろこびでむねがいっぱいになりました。のどのかわきも、体のつかれもいっきにふきとんでしまうほどでした。
(このクマゼミ、どのくらいの大きさなのかしら。上にのぼってたしかめてみよう)
アーリアはクマゼミの頭をなぞるようにしてひといきに上までのぼりました。
のぼりきると、そこには思いもよらない光景が広がっていました。
十匹ほどのアリが、クマゼミを運び出す作業にすでにとりかかっていたのです。
アーリアは自分がクマゼミを一番に見つけたのではないことがわかり、がっくしてかたを落としました。やる気をくじかれたアーリアは、今日のところは運びアリに合流してまた明日出直そうと思いました。
けれどもクマゼミを運びだしているアリたちの方に近づいていくと、アーリアは何かがおかしいと思いました。
(何だろう……そうだにおいがちがう。しまった、ここにいるアリはわたしのなかまじゃないわ。)
アーリアの巣ではよその巣のアリのことを敵アリとよんでいました。
アーリアは、敵アリのじん地にうっかり入ってしまっていたのです。
アーリアは気づかれないようにそろそろとあとずさりしました。しかし、すぐに気づかれてしまいました。
「みんな、あそこによそものがいるわよ」
クマゼミを運び出しているアリの一匹がさけびました。彼女たちにすれば、アーリアこそ敵アリなのです。
クマゼミを運びだしていたほかのアリたちも、ピタと手を止めていっせいにアーリアをにらみつけました。
「よそもの、逃がさないわよ」
「さてはわたしたちが見つけたクマゼミを横どりする気ね」
「それ、かかれー!」
あらあらしい声をあげながら、敵アリたちはものすごいいきおいでアーリアにせまってきました。アリたちはよそものにようしゃがないのです。
アーリアは死にものぐるいで逃げました。
敵アリたちはしつこくおいまわしてきましたが、アーリアが自分の巣のじん地に入るとそれ以上はおってきませんでした。
命からがら逃げのびたアーリアは、エサ探しは危険な仕事で、誰でもつとまるような仕事ではないなと思いました。そしてそれ以来、見つけアリになろうとするのはやめて、運びアリの仕事に一生けん命はげむようになりました。
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