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6話 僕の可愛い妹が僕を絶えず監視してくる。そんなに僕の事を見るのはやめてくれ!ああ、妹が可愛くて仕方ない!

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 ---過去---
 お兄様を殺した僕は簡単にオズボーン家次期当主になれました。
僕がお兄様を殺しただなんて、誰もが分かっていました。
しかし、貴族は兄弟姉妹を殺しても罪にならないのです。
弟に殺された間抜けなお兄様が悪いという事になるのです。
次期当主になった僕はにっかり堂のガトーショコラを食べれます。
別に美味しくもないですね。
美味しくもないのに、食べるのを辞める事ができません。
美味しくもないのに、自分に美味しいと言い聞かせて、食べています。
美味しい。美味しい。きっと美味しいんだにっかり堂のガトーショコラは。
お兄様を殺してでも、食べる価値のある物だったんだ。
いくらにっかり堂のガトーショコラを食べても、やっぱり美味しくもない。
お兄様は本当にこんな物が美味しいと思って毎日食べていたのだろうか。
次期当主になってからは、満足に眠る事もできない。
信じられる舎弟も弟分もいない。
部屋に舎弟を置いても、舎弟に殺されるかもしれない。
お兄様は、信じられる舎弟弟分でもいたのだろうか。
いなかったんじゃないのか。
お兄様を慕う舎弟弟分でもいれば、無防備な僕が今無事なわけがない。
お兄様は誰にも慕われていなかったのだろう。
お兄様は誰かに愛されていたのだろうか。
僕はお兄様の事が嫌いだった。当然だ。

 ---数日後---
  「イフレお兄様、疲れてるんじゃないの」
妹のケリロアが声を掛けてきた。
なんだろうか、疲れてる僕を狙って殺すつもりなのだろうか。
 「イフレお兄様、もう随分ガトーショコラばかり食べているし、そんなに毎日にっかり堂のガトーショコラばかり食べていたらおかしくなるわよ」
 ケリロアは僕の事を監視してる。
事細かに僕を見ている。僕の様子を伺っている。僕の体調の事をずっと観察して気にかけている。
そんなに僕の事を殺したいのだろうか。
ケリロアの事は好きだった。
ずっと、可愛い妹だった。
それなのに、ケリロアは僕を殺そうとしている。
僕がケリロアをいじめた事なんてないのに。
それどころかケリロアの事は僕が護ってやろうと考えていたのに。
それなのにそれなのに、そんな兄の思いなんて気にもとめず僕を殺そうとするのか。
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