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115話 カセットテープ
しおりを挟む私は、目を開き、床から立ち上がり、ソファに座りなおしました。
美少女はいません。
「あれ、美少女はどこにいるのかしら」
「美少女の声が聴こえたのよ」
「来訪者」
「よく来たわね」
!紳士が、カセットテープを巻き戻して再生しています。
許せません。
美少女の声の主はカセットテープに録音されていた声だったのです。
「なんで、こんな事をしたのかしら」
「懐刀の好感度がレベル3になったようだね」
「私も、喜ばしい限りだ」
紳士の返事は相変わらずありません。
しかし、ついさっき次は美少女を配置しておいて頂戴という言葉を一応聞いていたという事かしら。
そして、時間もないから、とりあえず美少女の声が録音されたカセットテープを用意しておいたと。
まぁ、こちらの言葉を聞いてくれてただけ良しとしましょうか。
許せはしませんがね。
「お客人は、この世界で進む道が、見えてきたようだね」
いえ、まだ何も見えてませんが。
「しかし、このまま彼女達の好感度を上げていては」
「また同じ生き方」
「同じ結末になってしまう」
「私は、それを否定はできない」
「お客人が、それでいいのならそれでいいんだ」
はぁやれやれ。
また、同じ結末だの同じ生き方だのだと言われても困ります。
「私は、お客人に対して警告や忠告しかできないんでね」
まぁ、それは分かります。
このエタファンの世界で、どんな人生を選ぶかは、私次第だと。
そんな普通のありふれた言葉をわざわざ言われてもね。
さぁて、どうしましょうかね。
とりあえずは、実椿ちゃん達と一緒に行動して、実椿ちゃん達を守らなければいけませんし。
「それでは」
「後悔なき新たな生を送れるように願ってるよ」
意識が、また薄れていく。
後悔なき新たな生ですか。
私は、今まで、どんな後悔の生き方をしてきたんでしょうか。
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