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1話  逆ぎれからの婚約破棄国外追放を告げられました。

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 「俺様の事をどう思っている。我が婚約者シャロラよ」
 馬鹿王太子のアーミックが貴族達の集まるパーティで聞いてきました。
 え、こんな場所でそれ言っちゃっていいんですか?
 貴方が聞いてくるなら仕方ないですね。
 どれだけ恥をかいても知りませんよ。私は何も悪くありませんからね。
 「一言で言うと、無価値ですね」
 どう思っているかと言われたので思ってる事を簡潔に表しました。
 この馬鹿王太子は無価値です。
 「なっ、なんだと」
 馬鹿婚約者は何故か驚いているようです。
え、自覚してなかったんですか。
私驚くような事言いましたか?
 「ははは、実に的確だ」
 「王太子様は本当に無価値ですものねぇ」
 周囲の貴族達が賛同する。
笑い声も多く、皆にこやかに笑っています。
 「あ、ごめんなさい。私が間違っていたわ」
 私は人格が正しいので己に間違いがあれば謝罪して訂正する事ができます。
 この馬鹿王太子にはそんな事はできないんですが。
 「はっ、それはそうだろう。"5000億カッパーの価値のある有能アーミック様"
というのを言い間違えたか何かか」
 前向きというより現実逃避でしょうね。
 少しは現実を認識しましょうね、馬鹿王太子様。
 「貴方は人に笑われるという価値があったわ」
 まだ貴族達は笑顔で笑っていますもの。
 よかったわね、貴方に価値があって。
 「ほーうほーう、俺様を馬鹿にしているのか」
 馬鹿婚約者は今にも逆ぎれして怒鳴りだしそうです。
 あーあ、逆ぎれする殿方程最低な存在はありませんわ。
 なんでこんなのが私の婚約者なのかしら。
 聖女だから仕方なくこんな馬鹿王太子の婚約者になりましたけど。
 毎日貴方の婚約者である事が苦痛で、これが本当に夫になるのかと思うと
吐いてます。
週5で吐いてます。
 「馬鹿になんかしていませんわ」
 本当に、馬鹿になんてしていませんのよ。
 「そうか、俺様は寛大だからな。謝罪するなら今のうちだぞ。俺様の聞き間違いか誤解なら許してやろう」
 貴方程度量の小さく狭い存在には出くわした事がありませんけれど。
 「貴方は馬鹿なのよ。だから、馬鹿にしているんじゃありませんよ」
 馬鹿にしているというのは馬鹿でないものを馬鹿に仕立て上げているという事よ。
貴方は馬鹿にされているのではなく馬鹿なんです。
 「もう我慢ならん。お前とは婚約破棄だシャロラ」
 え。え。はぁ?婚約破棄ですか。
逆ぎれして婚約破棄なんて、これは慰謝料ではすませられませんね。
きっちりざまぁ断罪して差し上げますわ。
貴方が悪いのですから、覚悟して下さいね。
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