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第二幕
06 一緒にいろ
しおりを挟む蛭田と横沢を追い出したあと、生徒会長の真島は槇と、そのすぐそばで、じっとしていた野原の元にやってきた。
そして手を貸してくれた。
「ずいぶんと派手にやられたものだね」
「……すみません。会長」
「忘れ物しただろう? 追いかけたんだけど、昇降口に、まだ靴があったからね。教室かと思って寄ってみたらこれじゃない。驚いたよ」
眼鏡の奥の瞳は優しい。
槇は腫れ上がった頬をさすりながらため息を吐いた。
「会長、おれのこと……」
「知ってるよ。知っていて、生徒会に入ってもらったんじゃない」
猫被りしていい子ぶっていたのに、周囲は本当の自分を知っていたと言うのか?
なんだかバカらしくなって、笑うしかない。
「なんで」
「ねえ、槇。僕はね、君の本質が気に入っているんだ。それに、やんちゃしてきたみたいだけど、君は人を傷つけることだけは、してこなかったんじゃない?」
ふざけたり、大人に怒らたりするようなことは散々やってきた。だけど他人に怪我させたり、金を盗ったり、踏みにじったりするようなことはしなかった。蛭田や横沢のことはわからないが……。
「僕はね、槇実篤って人間が好きだよ」
真島はそう笑ってから、槇の隣で涙ぐんでいる野原を見た。
「君は槇の友達?」
野原は首を横に振るが、そんなことはさせたくない。彼の頭に腕を回して強引き縦に振らせた。
「そうです。幼なじみなんです」
「実篤」
戸惑った瞳の色を見せた野原を眺めて思う。無表情だけど彼の目を見ていると、心の動きがわかる。
「二年生の大沢が転校するそうだ。そうすると、生徒会の席が一つ空く。こんな時期に補充するなら、一年生がいいと思っていたんだけどね。どうだろう? 君、生徒会に入らない?」
真島は野原を見た。
野原はブンブンと更に首を横に振るが、槇は「わかりました」と答えた。
「実篤、おれ」
「いいじゃん! 一緒にいろ。あいつらがどんな処分になんのか、おれは分からないけど……そばにいてくれたら、絶対守る。今日みたいなことは、金輪際ない」
「ほら。槇もそう言っているよ」
黙り込んだ野原を見て、真島は「決まりだね」と嬉しそうに笑った。
それから、「処分が決まるまでは、二人も自宅待機ね」と真島に言い渡されて、槇と野原は帰途に就いた。
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