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友人の佐藤蓮と養護教諭の葉山夏子。

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 僕は気配を消してから、後方の扉よりソーッと教室へ入った。

「おらぁぁあああああああ!!」

 ビクッとした。机や椅子で円形のリングが作ってあって、教室中央の開けた空間では、学ランの前ボタンを全開放した男たちが殴り合っていた。

「お返しじゃぁあああああああ!!」

 入学式を終えて、大して日にちも経っていない現在。教室内の力関係はまだハッキリしていなかった。故にこのクラスを誰が仕切るかで争いあっているのだ。

「勘弁してよ……。」

 クラスメイトたちは楽しそうに野次を飛ばしてた。

 はばたけ高校は全校生徒5百人ほどだ。一クラス大体30人で1/3ほどは女子。つまり、男子の比率が高かった。

「静かにしなさい!」

 ドーンと扉は開いて凛とした声が教室に響いた。大勢の男たちをたったの一言で黙らせた女性。それは隣のクラスの伊吹ちゃんだった。

 彼女はその美しさから入学式当日に絡まれた。
 でも、その相手を返りうち(病院送り)にしてしまった。

 問題にはなっていない、女子にボコボコにされましたとは流石に言えなかったのだろう。その不良はどうやら有名な奴だったらしく、伊吹ちゃんはそれ以来、裏番(裏の番長)と呼ばれて学校中に恐れられるようになった。

「直ぐに机を戻して、ホームルームに備えなさい!」

 男たちはキビキビ動いた。僕も自分の机を抱えて、定位置に戻していると、校内放送が流れてきた。

『魔力測定を行います。1-1組は保健室に移動してください。』

 1-1組は僕のクラスだ。事なかれ主義の担任教師は、ずっとドアの隙間より覗いていたけれど放送を聞いて教室へと入ってきた。

「それでは移動します。」

 僕たちはザワザワしながら出席番号順に並び歩いていく。

「鈴木君。お誕生日おめでとう。」
「ああ、ありがとう。佐藤君。」

 佐藤蓮さとうれん君(出席番号一つ前)が話しかけてきた。

 彼は僕と同じで体も小柄だし、気の弱いタイプだ。
 それに喧嘩などの争いごとも苦手みたいだ。

 アニメや漫画が好きという共通の趣味もあった事から、すぐに意気投合して友達になった。

「ステータス獲得できた?」
「うん、できたよ。」
「良かったね! それで信仰する神様はどうしたの?」
「信仰はしないことにしたんだ。」
「もったいない。信仰しないと使えるのは無属性魔法だよね。
 アイテムボックスとか、ポーターとしての需要はあるけど……。」
「うん。戦闘向きではないよね。でも、僕はそれでもいいと思ってるんだ。」
「そっか。ボクはステータス獲得できたらマルス様を信仰しようかなって。」
「ああ、戦いの神だね。身体強化の魔法が使える。」
「うん。ボク弱いから………。
 もっと強くなって男らしくなりたいんだ。」
「い、いいと思うよ。」

 佐藤君は中性的な顔立ちをしていて、話しているとたまにドキッとさせられる。…落ち着け、僕の鼓動。

 魔法は信仰する神によって使える属性は決まっていた。
 火の神なら火属性魔法、月の神なら弱体化魔法といった感じだ。

 神を信仰しない者とステータスを持たない者は無属性魔法となっている。また、魔法を使う為にはもう一つ条件を満たさなければならなかった。

 その条件とはダンジョンから入手できる魔法書マジックブックを読んで呪文を覚えることだ。故に魔法使いへの道のりは険しかった。

 僕たちが駄弁りながら保健室へと入ると、白衣を着た色っぽい養護教諭葉山夏子はやまなつこ先生がいた。

「葉山ちゃん、おっぱいでけぇ!」
「葉山ちゃんは彼氏いますか~?」
「今度、先生の家に行ってもいいっすか?」

 男たちは下品な野次を飛ばすが、葉山先生は慣れた様子で適当に受け流し話を進めた。

「はい。それでは順番に測定していきますね。
 この魔水晶で魔力値を測定しますがこれは貴重なマジックアイテムで
 一つ一千万円ほどしますから破損した場合は弁償してもらいますね。」

 葉山先生はニッコリ笑顔で恐ろしいことを言う。

 騒がしかった男たちは水を打ったように静まり返った。

「それからもし、神の加護をもらった人がいるのなら申し出てくださいね。加護持ちの方は取り込める魔素の量も増大していて、このサイズの魔水晶では測定できませんから。」 

 僕は耳を疑った。決して神の加護(邪神)については話したくはなかった。でも、話さずに測定して魔水晶を壊して弁償とかなったら洒落にならない。…覚悟を決めるしかないのか。








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