3 / 3
駄目でしょ!
しおりを挟む
「どうして?」
いつもの公園の いつもの時計塔の横。
17時の待ち合わせに、当然の様に15分遅刻した琴ちゃんは、謝るどころか 僕を詰問し始めました。
「何で、そんなものしてる訳!?」
どうも、手袋の事を言っている様です。
「寒いからだけど」
「ヒロは今から…、私と何をするつもりなの?」
「─ デート」
「じゃあ、そんなものしてたら 駄目でしょ!」
顔を顰める僕に、琴ちゃんは 食って掛かりました。
「手を繋がないデートなんか、ありえないんだからね!!」
「大丈夫。してても、手は繋げるから」
「デートで手を繋ぐ時には、手袋なんかしてたらNGなの!!!」
腕を伸ばした僕は、琴ちゃんの手首を取ります。
「これは、何でしょう」
「…私の手」
「自分だって してるじゃない。手袋」
「つ、繋ぐ前に 外すし…」
「じゃあ、僕も同じで 良いよね?」
「うー」
----------
「はぁーやぁーくぅー」
急かす琴ちゃんに、僕はお伺いを立てました。
「手袋を外すのは、繋ぐ方の手のだけで良い?」
「─ 仕方ないわねぇ」
自分は、繋がない方の左手には しっかり手袋をしたままで、唇を尖らせる琴ちゃん。
僕は苦笑しながら、出された右手を握りました。
「冷た!」
「どうだ、まいったか。」
「何でこんなに、冷たいの」
「冷え性だから♪」
琴ちゃんの指に、殊更 力が入ります。
「何故か 手袋してても、手が全然 暖まらないんだよねぇ」
「もしかして…僕で 暖を取ろうとしてる?」
「だって、ヒロの手 温かいし♫」
「・・・」
「うふ♡」
----------
「ここにも、イルミネーショ通りが 出来ちゃったんだねぇ」
白や青や黄のLEDで飾られた 通りの街路樹や建物に、歓声をあげる琴ちゃん。
上機嫌で歩いていた足が、突然 止まります。
僕は、繋いでいた手を引っ張られる形で、軽くつんのめりました。
「─ 琴ちゃん!?」
「駄目なの! まだ、お店に着いたら。」
「どうして?」
「右手は 暖まったんだけど、左手は まだなんだよ?」
「は?!」
「だから、今度は左手を繋いで 歩かないとなの!」
軽く唇を噛んだ 上目使いの琴ちゃんが、繋いだままの手を左右に動かして、僕の腕を振り始めます。
「ヒーローーォ」
「…仕方ないなぁ」
「うふ♡」
いつもの公園の いつもの時計塔の横。
17時の待ち合わせに、当然の様に15分遅刻した琴ちゃんは、謝るどころか 僕を詰問し始めました。
「何で、そんなものしてる訳!?」
どうも、手袋の事を言っている様です。
「寒いからだけど」
「ヒロは今から…、私と何をするつもりなの?」
「─ デート」
「じゃあ、そんなものしてたら 駄目でしょ!」
顔を顰める僕に、琴ちゃんは 食って掛かりました。
「手を繋がないデートなんか、ありえないんだからね!!」
「大丈夫。してても、手は繋げるから」
「デートで手を繋ぐ時には、手袋なんかしてたらNGなの!!!」
腕を伸ばした僕は、琴ちゃんの手首を取ります。
「これは、何でしょう」
「…私の手」
「自分だって してるじゃない。手袋」
「つ、繋ぐ前に 外すし…」
「じゃあ、僕も同じで 良いよね?」
「うー」
----------
「はぁーやぁーくぅー」
急かす琴ちゃんに、僕はお伺いを立てました。
「手袋を外すのは、繋ぐ方の手のだけで良い?」
「─ 仕方ないわねぇ」
自分は、繋がない方の左手には しっかり手袋をしたままで、唇を尖らせる琴ちゃん。
僕は苦笑しながら、出された右手を握りました。
「冷た!」
「どうだ、まいったか。」
「何でこんなに、冷たいの」
「冷え性だから♪」
琴ちゃんの指に、殊更 力が入ります。
「何故か 手袋してても、手が全然 暖まらないんだよねぇ」
「もしかして…僕で 暖を取ろうとしてる?」
「だって、ヒロの手 温かいし♫」
「・・・」
「うふ♡」
----------
「ここにも、イルミネーショ通りが 出来ちゃったんだねぇ」
白や青や黄のLEDで飾られた 通りの街路樹や建物に、歓声をあげる琴ちゃん。
上機嫌で歩いていた足が、突然 止まります。
僕は、繋いでいた手を引っ張られる形で、軽くつんのめりました。
「─ 琴ちゃん!?」
「駄目なの! まだ、お店に着いたら。」
「どうして?」
「右手は 暖まったんだけど、左手は まだなんだよ?」
「は?!」
「だから、今度は左手を繋いで 歩かないとなの!」
軽く唇を噛んだ 上目使いの琴ちゃんが、繋いだままの手を左右に動かして、僕の腕を振り始めます。
「ヒーローーォ」
「…仕方ないなぁ」
「うふ♡」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる