素直になれなくて-吉哉の場合-

吉野ゆき

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どのくらい走り続けただろうか?


足はガクガクしていて、もう走れないと主張している。

それでも僕は止まらなかった。


ポツリポツリと降り出した雨が、火照った僕の体を冷やしていく。

気持ち良いと感じていたのも束の間、急激に降り出した雨は、必要な体温までも奪っていった。


ドンッ


何かにぶつかり、僕はよろけて、受身も取れずに地面に叩きつけられた。


ハァ、ハァ。

僕は立ち上がろうと足に力をこめるが、とうに限界を超えていた足では、起き上がることさえもできなかった。



「だいじょうぶ!?」

僕と同じくらいだろうか?
小さくて目のくりっとした可愛い女の子がこちらをのぞきこんでいる。

あぁ、この子にぶつかったのか。

なんとか起き上がったものの、話す余裕もなくて、僕はじっとその子を見つめた。

「びしょぬれだよ」

そう言うと、さしていた可愛い花柄の傘を差し出してきた。

「いいよ、君が濡れるよ」

「だいじょうぶ!もう1本あるの」

そう言って大きな紺色の傘を前に出し、得意げに笑ってみせた。

「えきまでお父さんをむかえにいくとちゅうなの」

そう言って。
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