素直になれなくて-吉哉の場合-

合コン

1

「立川 花でぇす」

「飯島 優奈です」

「荒井 美智子です」


目の前で繰り広げられる自己紹介。


俺はまるでテレビの画面でも見るように、それをただボーっと見つめていた。



すると、大倉に肘でつっつかれ、自分の番だということに気づく。


「ああ、…有原 吉哉です」

瞬間、キャーッと歓声が上がる。


「！？」

びっくりした。
得体の知れない圧迫感。
なんか、女って強いよなって思う。


「え～、有原ばっかり！俺も俺も！！
大倉 悟でぇ～っす」

意味もなく身をくねりながら自己紹介する大倉に、キャハハと女の子達が笑う。


こいつ、黙ってりゃ二枚目で通るのに。


今回は大倉がもう一人大学の仲間、西田さんを連れてきて、３対３の合コン形式。


こうやってここにいると、大倉のさりげない気遣い屋な性格がよくわかる。


うまく話を振って、皆にしゃべらせる。

…すごい。

俺は変なところに感心してしまった。


気づけばうまく男女がまとまっていた。


西田さんは姉御肌の飯島さん。
大倉は可愛い系の荒井さん。

そして俺の横にはなぜか…立川さん。


立川さんは一言でいうとキャバ嬢にいそうな感じ。
語尾の伸ばしが気になるが、話はうまいと思う。



時計の針が12時を指し、そろそろお開きという雰囲気。


男で会計を済ませ、外で待つ女の子達の所へ向かう。