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唐突なプロポーズ
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吉哉さんと出会ったのは病院だった。
母が過労で倒れて入院することになった。
お見舞いに行く度に母はボロボロと涙を流して謝る。
『休んでる場合じゃないのに。
入院なんかしちゃってごめんね。
余計にお金掛けちゃって。
早く退院しなきゃ…早く…』
いくら私もお父さんも頑張って稼いでるから大丈夫だよと言っても聞かない。
昔はテレビに出てくる絵にかいたような肝っ玉母ちゃんだったのに、人ってここまで変わるんだ。
母がそうなったのは自分のせいだと父も自分を責める。
ほんの数年前までは笑顔が絶えない家族だったのに、もう誰一人として笑わない。
みんな身体も心も限界にきていた。
そんな時に現れたのが吉哉さんだった。
母と相部屋で入院していた人が吉哉さんの友達のお姉さんだったらしく、本人とも交流があったようだ。
会話を聞いて事情を知っていたその友達から話を聞き、私の所へ結婚話を持ってきた。
「俺と結婚するか?」
なんの前置きもなしにイキナリそう言われたのにはさすがに驚いた。
頭がついていけずに放心状態の私。
目の前にあるキレーに整った顔を見つめることしかできない。
この口が、今、なんて…?
「有原、それはない。
おっ前ほんと口数少なすぎ」
ちょうどお見舞いに来ていた友達のフォローが入り、『偽装契約婚』についての説明を受けた。
最初は戸惑ったが、よく考えたらこんなにいい話はない。
数日考える時間をくれようとした吉哉さんに、私はその場で答えを出した。
もちろんその答えは―――Yes。
母が過労で倒れて入院することになった。
お見舞いに行く度に母はボロボロと涙を流して謝る。
『休んでる場合じゃないのに。
入院なんかしちゃってごめんね。
余計にお金掛けちゃって。
早く退院しなきゃ…早く…』
いくら私もお父さんも頑張って稼いでるから大丈夫だよと言っても聞かない。
昔はテレビに出てくる絵にかいたような肝っ玉母ちゃんだったのに、人ってここまで変わるんだ。
母がそうなったのは自分のせいだと父も自分を責める。
ほんの数年前までは笑顔が絶えない家族だったのに、もう誰一人として笑わない。
みんな身体も心も限界にきていた。
そんな時に現れたのが吉哉さんだった。
母と相部屋で入院していた人が吉哉さんの友達のお姉さんだったらしく、本人とも交流があったようだ。
会話を聞いて事情を知っていたその友達から話を聞き、私の所へ結婚話を持ってきた。
「俺と結婚するか?」
なんの前置きもなしにイキナリそう言われたのにはさすがに驚いた。
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この口が、今、なんて…?
「有原、それはない。
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