素直になれなくて

吉野ゆき

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病院

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バタバタバタ

複数の足音がこちらへ向かって来る。


ゆっくりとそちらの方を向くと、私に気づき声をかけてきた。


「真由さんっ!」

「……………鈴原さん…」


他にも会社の人達であろう数人と、私達を結び付けた友人、大倉さんがいた。


「真由さん、専務は!?
専務は無事なんですかっ!?」

私は答えることができない。


「なんでこんなことにっ…」

必死に私に問いかける鈴原さんを大倉さんが止める。

「ちょっと落ち着いて。
真由さん、大丈夫?」


鈴原さんの瞳からは大粒の涙がとめどなくこぼれる。


「私…わた…しのせいで…っ」

2人が私の方を見る。


「私を庇って吉哉さんが…!!
私が道路に飛び出したから!!
私のせいで!!!」


鈴原さんはハッとした様子で口を手で覆う。


「真由さん…」

大倉さんが慰めるように肩に手を置く。



「私のせいなの…~っ
なんで私なんか庇うの!
なんで!!」


私のことなんてキライなくせに!

挨拶さえしてくれないのに!

私が死んだほうが自由にできるじゃない!

そこまで仲のいい演技をする必要なんてないじゃない!
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