素直になれなくて

キライ

「なんでぇ…っ」

私はイスから崩れ落ちた。


しばらくの沈黙。



…破ったのは鈴原さん。



「それは
専務が真由さんのことを想ってるからでしょう？
好きな人を守りたいと思うのは、当然のことだもん」

目にいっぱい涙を溜めながら。



私は首を横に振る。


違うよ、ありえない。
鈴原さんは契約婚のことを知らないから。


「真由さんは？違うの？
専務のこと、好きじゃないの？
もしこれが逆だったら？
専務が轢かれるの黙って見てられるの？」




私…？

私は…


吉哉さんのことなんかキライだよ。

ずっとずっとキライだったよ。


私を見てくれない吉哉さんのことなんか。



あれ？


でもそれって…