憧れていた敏腕社長からの甘く一途な溺愛 ~あなたに憧れて入社しました~

瀬崎由美

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第四十九話・Rシーン

 身体を起こした悠斗さんがゆっくりと腰を前後に動かし始める。熱い塊が身体の奥深いところで激しく動き回る度、私の口からは短い声が漏れ出る。

「あっ、んっ、あんっ、ああんっ!」

 悠斗さんも荒い息を吐きながら顔を歪めて腰を振り続ける。彼の下で自然と私の腰も揺れ、無意識に強く締め付けていたらしく「乙葉、そんなに締め付けたら……っ」と悠斗さんが少し焦った声を出していた。

 彼が腰を突き上げる度、膣がビクビクと激しく震えて反応する。熱を持った棒が中を擦る刺激に、幾度となく感じる快感。繰り返し達する私の中で、悠斗さんがこれまでよりも勢いよく抜き挿しを繰り返した後、ぐいっと深い所で動きを止める。中で彼のものが小さく震えているのを感じ、私は彼の背中に手を伸ばした。ちょっと恥ずかしそうに笑いながら、悠斗さんがふぅと大きく息を吐いてから、私の上にくったりと覆いかぶさってくる。先にシャワーは浴びたはずなのに、汗ばんでじっとり濡れた彼の身体はとても熱くなっていた。

「ごめん、さすがに体力が……俺ももう歳かな?」

 「どこが⁉」と心の中で突っ込みかけたが、私は笑って誤魔化した。彼的には何か本気を出し切れてないみたいな口ぶりだったけれど、その本気とやらは一生封印していただけるとありがたい。私にはついていける自信も体力もない。これ以上なんて、きっと自分が自分じゃなくなってしまいそうだ。

 私は悠斗さんの腕にしがみ付きながら、まだ小さくヒクついている身体が落ち着くのを待つ。こうして腕を通じて彼の体温を感じていると、無性の安心感を得られるのはなぜだろうか。

「『ジェスター』の店で働くことが私の夢だったのに、それ以上が叶っているなんて……」

 ずっと憧れていた彼の傍にこうしていられる自分はとても幸運で、こんな未来があることを学生の頃の自分は想像すらしなかっただろう。私のその独り言のような呟きに、悠斗さんは天井を見つめながら言った。

「俺が初心を忘れそうになった時、いつも思い出させてくれるのは乙葉だ。乙葉がいなかったら俺も会社を辞めてたかもしれないし、篤人も戻ってくることはなかっただろうな」

 悠斗さんは私の方へ身体を向けてから、私の前髪に触れて額へと口付けてくる。私が顔だけを動かして上目遣いで見上げると、彼はとても優しい目で私のことを見ながら微笑んでいた。

「乙葉に出会えて、良かったよ。ありがとう」

 そう言えば以前にもベッドの中で彼からお礼を言われたような気がするが、あれは一体何だったんだろう? 私は眠くなりつつある頭でぼーっと考えていた。彼に髪を撫でられていると、何だか難しいことはどうでもよくなってしまう。

 不意に、ベッドサイドの棚に置いてあった悠斗さんのスマホが静かに震えた。常にマナーモードにしているのか小さく唸るだけのスマホに手を伸ばし、薄暗い中で悠斗さんが届いたばかりのメールを確認し始める。そして、ふっと嬉しそうな笑みを浮かべてから、私へと自分のスマホ画面を見せてくる。

「え、何……?」
「篤人に頼んでたデザイン画がやっと出来たらしい」

 そう言われて覗き込んだ後、私は星野専務が新たにデザインしたというそれに目をパチクリさせる。随所に彼らしさが溢れているから間違いなく星野専務が描いたものだろうが、私はそれにどう反応していいか分からない。

「……これが『ジェスター』から出るの?」
「いいや。これは俺が個人的に篤人に頼んだ」

 そう言ってどこか得意げな顔をする悠斗さんのことを、私は首を傾げながら見る。だって、彼のスマホの画面に表示されているデザイン画が、どう見ても純白のウエディングドレスにしか見えなかったのだから。スカート部分が裾に向かってふんわりとふくらんだプリンセスライン。ウエスト後ろの大きなリボンが特徴の素敵なドレスだ。

「乙葉さえ良ければ、俺の為にこれを着てくれないかな?」

 悠斗さんはちょっと不安そうな顔になって、私の顔を覗き込んでくる。いつもは自信に溢れている彼がそんな表情をするのは珍しい。

「だってこれ、ウエディングドレスだよね……?」
「ああ、乙葉の為にデザインしてもらったんだけど……嫌かな?」

 悠斗さんは「そうだよな、八つも年上だもんな、俺……」と今更ながらに年齢差があることを気にして凹み始める。そんな彼の頬へ手を伸ばして、私は笑いかけながら大きく頷いて見せる。そもそも彼との年齢差なんてこれまで一度も考えたことなんてない。

「ううん、嬉しい。私、このドレスが着てみたい!」

 私の返事に、悠斗さんは腕を伸ばして私のことを引き寄せ、ぎゅっと強く抱き締めてきた。かなり前に親友に相談してデザインの依頼をしていたらしいが、これまで私達の間でそういう話が出たことはない。

「だから、篤人のデザインならって……」
「別に私、ドレスに釣られたわけじゃないからね」

 彼の為のウエディングドレスなら、例え他社ブランドだろうと喜んで着てみせる。私がそう言うと、悠斗さんはようやくホッとしたのか嬉しそうに笑ってから、もう一度私の前髪に唇を落とした。
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