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桜井リョウスケの場合
side:桜井リョウスケ 文化祭③
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無事に演奏も終わり、うっちゃんと一緒に文化祭を回った。
後夜祭の時間が近づいてくる。
「そういえば、後夜祭は?」
「一応、参加」
後夜祭では文化祭の優秀賞の発表が発表された後は自由だ。
余興みたいなダンス披露やクイズ大会が行われる。
それは自由参加のため帰ってもいいし、クラスや部活の片付けを始めてもいい事になっている。
「ダンスは見るんだろ?妹ちゃん出るしなぁ」
「うっちゃん、カメラ頼まれただろ。別に柏木さんが出るから見るわけじゃない」
クラスメイトの代表が何名か出る事になっている。
そこに柏木さんと長谷川さんも入っている。
クラスメイトの他の女子も何人か立候補して参加する予定だ。
「いたいたー!“お兄ちゃん”」
長谷川さんの声が聞こえた。
振り向くと青いスーツ姿の男装をした柏木さんとピンクのフリルのついたドレスを着た長谷川さんが見えた。
2人はこちらに来て、長谷川さんが「どう?」とポーズを決めてくる。
「似合ってる、似合ってる」
「桜井くん、棒読み過ぎ」
まあ、女子らしい感じでいいと思う。
「お兄ちゃん、私も!」
「似合ってる、似合ってる」
「へへへー、褒められた~」
「棒読み変わってないけどいいの!?マオちゃんは“お兄ちゃん”に甘すぎw」
柏木さんは男装という事で髪型が某アニメ映画の王子のような感じだ。
ダンスは学校で決まっている内容で踊る事になっている。
衣装に関してはクラスごとで違っており、
うちのクラスは王子と姫のダンスパーティーがコンセプトらしい。
「校庭に移動しとこうか」と長谷川さん。
「あれ?そういえば吉岡さんは?」とうっちゃんが辺りを見回す。
「モミジさん?年上の彼氏が来てるからって一緒に回ってるって」
「いいよなあ、彼氏彼女がいるやつは。青春してるって感じでさ」
うっちゃんと目が合う。
「え、何?」
「いや、なんでもないぞ。このリア充さーん♪」
「彼女いないぞ」
「まあまあまあ。ほれ、移動!」
うっちゃんは俺に構わず校庭方向に歩いていく。
なんか腑に落ちないな…。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
柏木さんが小さな声で話しかけてきた。
「お兄ちゃん、彼女いないの?」
「ん。悪い?」
「いや、そうじゃなくて…モテるよって聞いたから、真偽を…」
俺が?モテる?揶揄われているのか?
「真偽は、偽です」
「そうなの?私は素敵な人だと思うけど」
思わず柏木さんを見る。
彼女は微笑みながら「こんな素敵なお兄ちゃんがいてくれて私、幸せ」と言った。
ドキリとした。
褒められて素直に嬉しい気持ちと彼女から褒められたことの嬉しさが溢れてくる。
「そういえばさ、お兄ちゃんの誕生日って聞いてもいい?」
「12月5日」
「えっ」
「柏木さんは?」
「5月12日」
「えっ」
2人で顔を見合わせる。
そして爆笑。
「待って……そんなことある!?私にとっては最高に覚えやすい…」
「ってかさ…俺、お兄ちゃんじゃなくね?むしろ、弟」
「いや、もう!そこは同学年だからギリギリセーフ!」
「アウトでしょw」
「いいんです!気持ちは妹ですー!」
「ハイハイ」
2人で並んで歩く。
少しずつ彼女の事がわかってきて楽しいと思った。
「柏木さん」
「はい?」
「…………ダンス、頑張って」
「ありがとうございます!頑張ります!」
彼女の笑顔が単純に嬉しい。
校庭まで到着し、クラスメイト達が集まる場所で後夜祭が始まるのを待った。
うっちゃんの顔を見ると少し機嫌の悪そうな顔をしていた。
後夜祭の時間が近づいてくる。
「そういえば、後夜祭は?」
「一応、参加」
後夜祭では文化祭の優秀賞の発表が発表された後は自由だ。
余興みたいなダンス披露やクイズ大会が行われる。
それは自由参加のため帰ってもいいし、クラスや部活の片付けを始めてもいい事になっている。
「ダンスは見るんだろ?妹ちゃん出るしなぁ」
「うっちゃん、カメラ頼まれただろ。別に柏木さんが出るから見るわけじゃない」
クラスメイトの代表が何名か出る事になっている。
そこに柏木さんと長谷川さんも入っている。
クラスメイトの他の女子も何人か立候補して参加する予定だ。
「いたいたー!“お兄ちゃん”」
長谷川さんの声が聞こえた。
振り向くと青いスーツ姿の男装をした柏木さんとピンクのフリルのついたドレスを着た長谷川さんが見えた。
2人はこちらに来て、長谷川さんが「どう?」とポーズを決めてくる。
「似合ってる、似合ってる」
「桜井くん、棒読み過ぎ」
まあ、女子らしい感じでいいと思う。
「お兄ちゃん、私も!」
「似合ってる、似合ってる」
「へへへー、褒められた~」
「棒読み変わってないけどいいの!?マオちゃんは“お兄ちゃん”に甘すぎw」
柏木さんは男装という事で髪型が某アニメ映画の王子のような感じだ。
ダンスは学校で決まっている内容で踊る事になっている。
衣装に関してはクラスごとで違っており、
うちのクラスは王子と姫のダンスパーティーがコンセプトらしい。
「校庭に移動しとこうか」と長谷川さん。
「あれ?そういえば吉岡さんは?」とうっちゃんが辺りを見回す。
「モミジさん?年上の彼氏が来てるからって一緒に回ってるって」
「いいよなあ、彼氏彼女がいるやつは。青春してるって感じでさ」
うっちゃんと目が合う。
「え、何?」
「いや、なんでもないぞ。このリア充さーん♪」
「彼女いないぞ」
「まあまあまあ。ほれ、移動!」
うっちゃんは俺に構わず校庭方向に歩いていく。
なんか腑に落ちないな…。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
柏木さんが小さな声で話しかけてきた。
「お兄ちゃん、彼女いないの?」
「ん。悪い?」
「いや、そうじゃなくて…モテるよって聞いたから、真偽を…」
俺が?モテる?揶揄われているのか?
「真偽は、偽です」
「そうなの?私は素敵な人だと思うけど」
思わず柏木さんを見る。
彼女は微笑みながら「こんな素敵なお兄ちゃんがいてくれて私、幸せ」と言った。
ドキリとした。
褒められて素直に嬉しい気持ちと彼女から褒められたことの嬉しさが溢れてくる。
「そういえばさ、お兄ちゃんの誕生日って聞いてもいい?」
「12月5日」
「えっ」
「柏木さんは?」
「5月12日」
「えっ」
2人で顔を見合わせる。
そして爆笑。
「待って……そんなことある!?私にとっては最高に覚えやすい…」
「ってかさ…俺、お兄ちゃんじゃなくね?むしろ、弟」
「いや、もう!そこは同学年だからギリギリセーフ!」
「アウトでしょw」
「いいんです!気持ちは妹ですー!」
「ハイハイ」
2人で並んで歩く。
少しずつ彼女の事がわかってきて楽しいと思った。
「柏木さん」
「はい?」
「…………ダンス、頑張って」
「ありがとうございます!頑張ります!」
彼女の笑顔が単純に嬉しい。
校庭まで到着し、クラスメイト達が集まる場所で後夜祭が始まるのを待った。
うっちゃんの顔を見ると少し機嫌の悪そうな顔をしていた。
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