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13.世間の評価
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●5月9日 本社(元自宅) 水沢健司
結局、様々な雑事を片付けて正式な会社開業にたどり着けたのは、1週間後のことであった。
開業前からダンジョンの借り上げなどの業務は行っていたが、若返りサービスの開始は正式な会社開業に合わせて行うことにしていた。
これは、正式な開業までの間は、ダンジョン内の地図作成や、モンスターの発生頻度などの調査や、顧客を守りながら戦う方法の打ち合わせなどを行い、顧客の安全確保に努めることにしていたためである。
会社開業までの期間の世間の様子といえば、平穏そのものであった。
今のところ、ダンジョン関連のニュースは世間の注目を集めてはいる。
今日も何件かのニュースが流れていた。
例えば、他人の敷地内のダンジョンに無断で侵入しようとして、住居侵入罪で逮捕された者が出た。
また、ダンジョンがあると報道され有名になった芝公園近辺で、ダンジョン探索の目的でバットや工具を持ち歩き、軽犯罪法違反で補導された少年がいたとのニュースもあった。
一方で、ダンジョンに不用意に立ち入り、内部に住む害獣にけがをさせられたものが出たなどのニュースもあった。なお、今のところ先日の男性以上の怪我をした者や死者は出ていないようである。
ちなみに、ダンジョンの入り口付近で出る敵は、比較的弱いものばかりであることから、モンスターなどという恐ろしい名称ではなく、単なる害獣と呼ばれるケースが一般的である。
ただし、ダンジョンのニュースの扱いは芸能人の交際などと同等レベルであり、時間が経つと世間から忘れ去られそうな雰囲気であった。
今のまま行くと、ダンジョンについての話題も、せいぜいけが人が出た場合に交通事故などと同等のレベルで語られることに落ち着いてしまうことが十分予想された。
今日、初めての顧客がやってくるのを待つ間、ニュース番組を見ていた伊吹が呟いた。
「しかし、若返りについての情報が何も出てこんとはな。政府は情報を隠しとるのじゃろうか」
「いえ、単に気づいていないだけだと思いますよ」
ニュース番組では、どこかの畑の真ん中に『門』が現れ、農作業の邪魔になるから何とかして欲しいと訴える老農夫の姿が映されていた。
その映像を見ながら、水沢はため息をつく。
「あのご老人がダンジョンに入り、モンスターを倒したならば若返りの事実に気づくのでしょうが……。ですが、そもそもあのご老人が興味があるのは、農作物のことだけで、いちいちダンジョンに入ることなど考えもしないのでしょうね」
「ダンジョンに入る警察官や消防隊員は集団で行動しますから、経験値が分散されてレベルアップの機会自体が少ないのだと思います」
「また、仮にレベルアップしても、ダンジョンに入るような警察官などは、若くて健康な者が大半でしょうから、レベルアップの恩恵を受けることが少ないのではないでしょうか」
「それに、警察や消防の対応がマニュアル化されてきたのも問題ですね。最近では、内部に立ち入って調査を行うことなく、ダンジョンを外から封鎖することが一般化されてきたようですし……。これでは、ますますレベルアップによる若返りに気づく機会が減ってしまいますから」
伊吹もため息をつきつつ
「確かに、そんなものかもしれんな」
「ネット上での反応もよくありません。一部では、レベルアップしたという情報が流れているようです。しかし、レベルアップしてもすぐ超人になれる訳ではないということが分かると、大半が興味をなくすようです」
「ダンジョンに潜っても、すぐに金銭や物質的な財宝が得られる訳ではないというのも、ネット民にとっては期待外れだったようですね」
「日本人気質なのかもしれんのう。社畜になるか無職になるか二つに一つ。誰かが始めてくれるのを待っているばかり。なかなか自分で新しい事業を始めようとはせんからの」
「ネット小説でも、面倒を避けるため若返りは見て見ぬふりが主流ですからね」
「海外はどうなんじゃ」
「大半は日本と似たり寄ったりのようですね。先進国では、警察や消防が中心となったマニュアル的な対応を行っているため、日本と同様の問題を抱えているようです」
「しかし、そうは言っても世界は広いんじゃ。日本と違う対応を行っている国もあるんじゃないのか?」
「ええ、今注目しているのは中国ですね。市場にモンスターの肉が流れているようです」
「げっ。清美以外でもあんなものを食べる人間がいたのか」
「中国は、机以外の4つ足のものは何でも食べるといいますからね。それから、中国以外でも、食糧事情の悪いアフリカなどの発展途上国でも市場に流れているようです」
「アフリカは分からんでもないが、中国は他にも食べるものはあるんじゃろうに……」
「それで、市場に肉を流すとなると、積極的にモンスターを狩っていることになる訳です。そうなるとレベルアップの機会が増え、必然的に若返りに気付く可能性も高まります。老人ほどでなくても、中年が若くなればそれなりに目立ちますからね」
「確かにそうじゃのう」
「アフリカでは政治情勢などから事業化は困難だとしても、中国なら目端の利く人間で金儲けのために事業を起こそうとする人間は少なくないでしょうね」
「となると、うちが失敗しても、いずれ中国発の事業として世界に広まる可能性はあるわけか」
「だからといって、せっかく世界初の事業として若返りサービスを始めたんです。後進に道を譲るのは悔しいじゃないですか」
「うむ、そうじゃのう」
「既に、マスコミにはニュースリリースを流しています。うまく反応してくれるマスコミがあれば、状況が少しは変わると思いますよ」
「しかし、もう少しマスコミも反応すると思ったのじゃが。以外と反応が鈍いな」
「まあ、マスコミも毎日何百件とニュースリリースを受け取っているそうですし、もう少し実績ができないと反応してくれないのかもしれませんね。実績ができたらもう一度ニュースリリースを流してみる予定です」
その時、楽しそうな様子の清美が部屋に入ってきた。
「モンスター肉の料理ができたわよ。今回はじっくりと熟成させたから、以前よりも柔らかくておいしいと思うわよ」
「やれやれ、またかい。今日は何の料理じゃ?」
「今日は、トカゲ肉の照り焼きよ。付け合わせは、インゲンのソテーと人参のグラッセよ」
照り焼きのこげ茶色と、インゲンの緑、人参のオレンジがカラフルに盛り合された皿をテーブルの上に並べる。焦げた照り焼きソースの香りが食欲を誘う。
「わしは、照り焼きは鳥皮の部分が好きなんじゃが。さすがに、トカゲにはないか」
そう言いながらも、伊吹は料理に箸をのばす。
「料理法が違うのではっきりしませんが、熟成させた分、前回よりも柔らかくてうまみもある気がしますね」
「これなら、モンスター肉も売れるかしら」
「そうですね……1食の料理で得られる経験値は、ごくわずかです。しかし、若返りの料理としてブランドイメージを作れば、思ったよりも売れるかもしれませんね」
「そうは言っても、料理だけでレベルを上げるには、かなりの量を食べる必要ではないか」
「そんなこと、どうでもいいじゃない。おいしいんだから」
その清美の言葉に、水沢が首を横に振る。
「いえ、人間の味覚というものは案外保守的なものですよ。新しい食べ物を試すよりも、食べなれたものの方を好むものです」
「例えどんなにおいしくとも、食べてもらえなければ関係がありません。その保守的な性質を覆すのが食品のブランドイメージというものです」
「訳の分からないモンスター肉ではなく、健康と若返りに効果のある食品として売り出さないことには、そもそも誰も買おうとはしないでしょうね」
「まあ確かに、訳の分からんモンスターを食おうとするのは、清美くらいのもんじゃな」
水沢の言葉に、清美が少しがっかりとした顔をする。
「それじゃあ、いきなり大ブームが起きるのは無理かしら……」
「大ブームが起きたら、肉の供給が追い付かないでしょう」
「そうそう、会社設立も何とか完了しましたので、社員を雇いたいと思います。前に言いましたように60歳以上の高齢者で、適切な技能をお持ちの方をご存知でしたら紹介をお願いします」
「何人か心当たりがあるから、さっそく声をかけることにしよう」
「よろしくお願いします」
「そう言えば、食肉事業の方も進めてもいいのかしら?」
「そうですね。先ほど伊吹さんと話していたのですが、中国の方ではモンスターの肉がすでに市場に流れているようです。ただし、若返りとの関連についてはまだ一般に広まっていないようです。若返りの肉としてダンジョンのサービスと並行して売りに出すのも面白いと思うので事業化を進めてくださって構いません」
「わしとしては、余計な事業に手を出してリスクを増やしたくないんじゃが」
「実際に資金を使う前の業態の調査検討は進めておいたわ。ジビエとかの食肉と同じだと考えると、食肉製造・販売・加工の各段階ごとに個別に保健所の許可を得る必要があるわ」
清美の言葉に、伊吹がやれやれとつぶやく。
「さすがお役所仕事、面倒じゃのう。それでその3つの許可を得れば、店でから揚げとかを売ることができるのか?」
「食肉加工はハムやソーセージね。から揚げは調理だから食品衛生法に基づくまた別の許可がいるわ。でも、要するに清潔にしなさいということだから、業務に必要な設備は精肉卸店イメージで一括して揃えられるわよ」
「業務用となると人が入れるくらいの大きさの冷蔵庫が必要じゃないですか?」
「まあね。でもリースでなら月10万以下であるわよ。むしろオフィスの賃貸料のほうが高いでしょう」
清美の言葉に、伊吹がなおも不安そうな顔をする。
「それで、黒字を出そうと思ったら相当大変じゃないか? 食肉の加工や販売のためには人も雇う必要があるし……。若返り事業で得た黒字を、食肉事業の赤字で食いつぶさんか心配じゃ」
「店舗を借りて改装も行ってとなると、順調に行っても2か月後ですかね。それまでには、若返り事業が順調に立ち上がっていないと資金的にも厳しいですね。若返りにしろモンスター肉の販売にしろ全くの新規事業ですから、ある程度実績がないと融資も受けられない可能性が高いですし」
「何弱気になってるのよ。若返り事業は必ず上手くいくって」
「じゃから、食肉事業が不安なんじゃ」
結局、様々な雑事を片付けて正式な会社開業にたどり着けたのは、1週間後のことであった。
開業前からダンジョンの借り上げなどの業務は行っていたが、若返りサービスの開始は正式な会社開業に合わせて行うことにしていた。
これは、正式な開業までの間は、ダンジョン内の地図作成や、モンスターの発生頻度などの調査や、顧客を守りながら戦う方法の打ち合わせなどを行い、顧客の安全確保に努めることにしていたためである。
会社開業までの期間の世間の様子といえば、平穏そのものであった。
今のところ、ダンジョン関連のニュースは世間の注目を集めてはいる。
今日も何件かのニュースが流れていた。
例えば、他人の敷地内のダンジョンに無断で侵入しようとして、住居侵入罪で逮捕された者が出た。
また、ダンジョンがあると報道され有名になった芝公園近辺で、ダンジョン探索の目的でバットや工具を持ち歩き、軽犯罪法違反で補導された少年がいたとのニュースもあった。
一方で、ダンジョンに不用意に立ち入り、内部に住む害獣にけがをさせられたものが出たなどのニュースもあった。なお、今のところ先日の男性以上の怪我をした者や死者は出ていないようである。
ちなみに、ダンジョンの入り口付近で出る敵は、比較的弱いものばかりであることから、モンスターなどという恐ろしい名称ではなく、単なる害獣と呼ばれるケースが一般的である。
ただし、ダンジョンのニュースの扱いは芸能人の交際などと同等レベルであり、時間が経つと世間から忘れ去られそうな雰囲気であった。
今のまま行くと、ダンジョンについての話題も、せいぜいけが人が出た場合に交通事故などと同等のレベルで語られることに落ち着いてしまうことが十分予想された。
今日、初めての顧客がやってくるのを待つ間、ニュース番組を見ていた伊吹が呟いた。
「しかし、若返りについての情報が何も出てこんとはな。政府は情報を隠しとるのじゃろうか」
「いえ、単に気づいていないだけだと思いますよ」
ニュース番組では、どこかの畑の真ん中に『門』が現れ、農作業の邪魔になるから何とかして欲しいと訴える老農夫の姿が映されていた。
その映像を見ながら、水沢はため息をつく。
「あのご老人がダンジョンに入り、モンスターを倒したならば若返りの事実に気づくのでしょうが……。ですが、そもそもあのご老人が興味があるのは、農作物のことだけで、いちいちダンジョンに入ることなど考えもしないのでしょうね」
「ダンジョンに入る警察官や消防隊員は集団で行動しますから、経験値が分散されてレベルアップの機会自体が少ないのだと思います」
「また、仮にレベルアップしても、ダンジョンに入るような警察官などは、若くて健康な者が大半でしょうから、レベルアップの恩恵を受けることが少ないのではないでしょうか」
「それに、警察や消防の対応がマニュアル化されてきたのも問題ですね。最近では、内部に立ち入って調査を行うことなく、ダンジョンを外から封鎖することが一般化されてきたようですし……。これでは、ますますレベルアップによる若返りに気づく機会が減ってしまいますから」
伊吹もため息をつきつつ
「確かに、そんなものかもしれんな」
「ネット上での反応もよくありません。一部では、レベルアップしたという情報が流れているようです。しかし、レベルアップしてもすぐ超人になれる訳ではないということが分かると、大半が興味をなくすようです」
「ダンジョンに潜っても、すぐに金銭や物質的な財宝が得られる訳ではないというのも、ネット民にとっては期待外れだったようですね」
「日本人気質なのかもしれんのう。社畜になるか無職になるか二つに一つ。誰かが始めてくれるのを待っているばかり。なかなか自分で新しい事業を始めようとはせんからの」
「ネット小説でも、面倒を避けるため若返りは見て見ぬふりが主流ですからね」
「海外はどうなんじゃ」
「大半は日本と似たり寄ったりのようですね。先進国では、警察や消防が中心となったマニュアル的な対応を行っているため、日本と同様の問題を抱えているようです」
「しかし、そうは言っても世界は広いんじゃ。日本と違う対応を行っている国もあるんじゃないのか?」
「ええ、今注目しているのは中国ですね。市場にモンスターの肉が流れているようです」
「げっ。清美以外でもあんなものを食べる人間がいたのか」
「中国は、机以外の4つ足のものは何でも食べるといいますからね。それから、中国以外でも、食糧事情の悪いアフリカなどの発展途上国でも市場に流れているようです」
「アフリカは分からんでもないが、中国は他にも食べるものはあるんじゃろうに……」
「それで、市場に肉を流すとなると、積極的にモンスターを狩っていることになる訳です。そうなるとレベルアップの機会が増え、必然的に若返りに気付く可能性も高まります。老人ほどでなくても、中年が若くなればそれなりに目立ちますからね」
「確かにそうじゃのう」
「アフリカでは政治情勢などから事業化は困難だとしても、中国なら目端の利く人間で金儲けのために事業を起こそうとする人間は少なくないでしょうね」
「となると、うちが失敗しても、いずれ中国発の事業として世界に広まる可能性はあるわけか」
「だからといって、せっかく世界初の事業として若返りサービスを始めたんです。後進に道を譲るのは悔しいじゃないですか」
「うむ、そうじゃのう」
「既に、マスコミにはニュースリリースを流しています。うまく反応してくれるマスコミがあれば、状況が少しは変わると思いますよ」
「しかし、もう少しマスコミも反応すると思ったのじゃが。以外と反応が鈍いな」
「まあ、マスコミも毎日何百件とニュースリリースを受け取っているそうですし、もう少し実績ができないと反応してくれないのかもしれませんね。実績ができたらもう一度ニュースリリースを流してみる予定です」
その時、楽しそうな様子の清美が部屋に入ってきた。
「モンスター肉の料理ができたわよ。今回はじっくりと熟成させたから、以前よりも柔らかくておいしいと思うわよ」
「やれやれ、またかい。今日は何の料理じゃ?」
「今日は、トカゲ肉の照り焼きよ。付け合わせは、インゲンのソテーと人参のグラッセよ」
照り焼きのこげ茶色と、インゲンの緑、人参のオレンジがカラフルに盛り合された皿をテーブルの上に並べる。焦げた照り焼きソースの香りが食欲を誘う。
「わしは、照り焼きは鳥皮の部分が好きなんじゃが。さすがに、トカゲにはないか」
そう言いながらも、伊吹は料理に箸をのばす。
「料理法が違うのではっきりしませんが、熟成させた分、前回よりも柔らかくてうまみもある気がしますね」
「これなら、モンスター肉も売れるかしら」
「そうですね……1食の料理で得られる経験値は、ごくわずかです。しかし、若返りの料理としてブランドイメージを作れば、思ったよりも売れるかもしれませんね」
「そうは言っても、料理だけでレベルを上げるには、かなりの量を食べる必要ではないか」
「そんなこと、どうでもいいじゃない。おいしいんだから」
その清美の言葉に、水沢が首を横に振る。
「いえ、人間の味覚というものは案外保守的なものですよ。新しい食べ物を試すよりも、食べなれたものの方を好むものです」
「例えどんなにおいしくとも、食べてもらえなければ関係がありません。その保守的な性質を覆すのが食品のブランドイメージというものです」
「訳の分からないモンスター肉ではなく、健康と若返りに効果のある食品として売り出さないことには、そもそも誰も買おうとはしないでしょうね」
「まあ確かに、訳の分からんモンスターを食おうとするのは、清美くらいのもんじゃな」
水沢の言葉に、清美が少しがっかりとした顔をする。
「それじゃあ、いきなり大ブームが起きるのは無理かしら……」
「大ブームが起きたら、肉の供給が追い付かないでしょう」
「そうそう、会社設立も何とか完了しましたので、社員を雇いたいと思います。前に言いましたように60歳以上の高齢者で、適切な技能をお持ちの方をご存知でしたら紹介をお願いします」
「何人か心当たりがあるから、さっそく声をかけることにしよう」
「よろしくお願いします」
「そう言えば、食肉事業の方も進めてもいいのかしら?」
「そうですね。先ほど伊吹さんと話していたのですが、中国の方ではモンスターの肉がすでに市場に流れているようです。ただし、若返りとの関連についてはまだ一般に広まっていないようです。若返りの肉としてダンジョンのサービスと並行して売りに出すのも面白いと思うので事業化を進めてくださって構いません」
「わしとしては、余計な事業に手を出してリスクを増やしたくないんじゃが」
「実際に資金を使う前の業態の調査検討は進めておいたわ。ジビエとかの食肉と同じだと考えると、食肉製造・販売・加工の各段階ごとに個別に保健所の許可を得る必要があるわ」
清美の言葉に、伊吹がやれやれとつぶやく。
「さすがお役所仕事、面倒じゃのう。それでその3つの許可を得れば、店でから揚げとかを売ることができるのか?」
「食肉加工はハムやソーセージね。から揚げは調理だから食品衛生法に基づくまた別の許可がいるわ。でも、要するに清潔にしなさいということだから、業務に必要な設備は精肉卸店イメージで一括して揃えられるわよ」
「業務用となると人が入れるくらいの大きさの冷蔵庫が必要じゃないですか?」
「まあね。でもリースでなら月10万以下であるわよ。むしろオフィスの賃貸料のほうが高いでしょう」
清美の言葉に、伊吹がなおも不安そうな顔をする。
「それで、黒字を出そうと思ったら相当大変じゃないか? 食肉の加工や販売のためには人も雇う必要があるし……。若返り事業で得た黒字を、食肉事業の赤字で食いつぶさんか心配じゃ」
「店舗を借りて改装も行ってとなると、順調に行っても2か月後ですかね。それまでには、若返り事業が順調に立ち上がっていないと資金的にも厳しいですね。若返りにしろモンスター肉の販売にしろ全くの新規事業ですから、ある程度実績がないと融資も受けられない可能性が高いですし」
「何弱気になってるのよ。若返り事業は必ず上手くいくって」
「じゃから、食肉事業が不安なんじゃ」
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