絵画のような人魚

葉桜色人

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絵画のような人魚ー17ー

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第17話


雨上がりの道路が街灯によって光り輝いていた。4月になってくると日が落ちるのも遅くはなった。それでも夕方過ぎには辺りも暗く、雨の匂いを残して漂っていた。

喫茶店オリーブに着いて中へ入ると真壁純奈の姿があった。彼女が手を振って、僕のことを呼んだ。そして椅子を引いて、自分の隣へ座らせるのだった?普通、こういう場合は正面に座らせるはずなのに……


「四季くん早かったね。私もちょうど来たところなの」そう言って、彼女は自然な仕草で僕の腕に手を添えた。一瞬、ドキッしたが彼女みたいな行動は世の男性を勘違いさせるのだろうと心の中で思う。


「あれ?鮎川さんと一緒じゃなかったんだ」


「わからない。私、一度も寮に帰らずに来たから」


「そうなんだ。真壁さんは鮎川さんと同部屋じゃないの?」と質問をしつつ、本心では鮎川さんの情報を聞き出そうとしていた。


「みゆきは一人部屋なの。なんでも寮に入る予定だった子が急に来なくなったんだって」と彼女が羨ましそうに言う。


そのあと、僕と真壁純奈は色々な話をした。風子の引っ越しの時、ほとんど話せなかったこともあったけどこうしていざ話してみると、真壁さんは真面目な子だった。将来は絵本の挿絵の仕事をやりたくて、高校の頃からずっと絵を描き続けているという。夢みる少女みたいに、純粋で素敵な女の子だ。もしかして純奈の純は、純粋な娘に育つようにと願って親が名付けたかもしれない。


今度、その絵を見せてくれる約束をした。そんな流れがあって、僕と真壁さんは携帯番号の交換をするのだった。僕の人生でこんな風に女友達ができるなんて不思議なことではあったが、よくよく考えたら幼馴染の風子も女だった。


それからようやく緑郎がやって来て、鮎川さんも後ろから続いて現れた。僕はなんとなくさっきの出来事があったので、チラッと鮎川さんの顔を見た。すると彼女は舌を少し出して、僕の横に座ると小声で……


「さっきはどーも……」と言ってきた。僕は平常心を装って、小さく頷くのだった。なりより彼女が僕の横に座ってくれたのが嬉しかったからだ。そんな状況に気付いた緑郎が、「何なんそれ!!四季くんの方に座って、両手に花やんか!!」と強めの声でツッコミを入れる。


「緑郎くん拗ねないの。ただの偶然だよ」と真壁さんが笑いながら言い返す。


ナイスアシストって心の中で思った瞬間だった。なんと鮎川さんが……「それじゃあ、私は緑郎くんの横に座るね」と緑郎の横へ移動した。


「みゆきちゃん嬉しいわ。ありがとう」


嬉しそうな緑郎の表情を見て、僕は軽い嫉妬をした。少しだけ勘違いしていたかもしれないけど、鮎川さんは僕に気があると勝手に思い込んでいたからだ。彼女の気持ちなんて全然知らないのに。彼女は僕のことをどう思っているんだろう。神社での行動は気があったから?あんな大胆な行動をしている。まだ知り合って間もない男の前で服なんか脱いだりするのだろうか?


いや、あの時は状況が状況だった。楽しそうに緑郎と話す彼女を見つめながら、僕は複雑な気持ちになっていた。その時、席の下で真壁さんがそっと僕の太ももに手を添えた!!


驚いて横を向くと、彼女は知らんぷりした顔で緑郎たちと会話に入っていた。もしかして真壁さんは……


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