絵画のような人魚

葉桜色人

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絵画のような人魚ー65ー

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広瀬川優子の生い立ちについては、彼女の母親まで遡った話になる。

昭和の高度成長期だった時代、一人の政治家が誕生した。彼の出現によって戦後から日本の経済情勢は大幅に飛躍する年となった。

国民全土に渡って、経済の活性化により裕福は家庭が多くなったという。その立役者が後の首相となって、世に言うバブル時代に幕開けとなる。国民の支持率も歴代首相の中で、圧倒的な人気を集めていた。そんな日本の中心人物となった彼には、あるがあった。

しかしこの秘密を知っているのはごく一部の人間だけ。彼の信頼する人間だけに教えられていた。世間的には日本の経済を支える首相としていたが、彼は養子という家庭が有りながら、一人の女性を愛人として養っていた。


女性の名前は広瀬川静香ひろせがわしずか


どこで知り合ったのか、それは謎に包まれていたが、静香は首相である彼から大事な存在としてされていた。

妻や子供よりも、彼にとっては絶対的な存在だったのだ。世間的に首相という立場だったので隠されてはいたが、彼は確かに静香だけを愛していた。

愛着ある顔立ちに清楚な仕草が素敵な女性。しかしそれだけが静香の魅力ではなかった。その魅力を知ってしまった彼は、一瞬で静香の虜となってしまうのだった。初めは指先の美しさに目を奪われで、彼は何度も何度も食事に誘ったという。


その数年後、二年間という歳月をかけて、静香と食事までこじつけた。ようやく手にした二人っきりの食事に、彼は自分の想いをすべてぶつけた。

そして二年後、彼は日本の代表、首相として日本を変える事になる。


彼女の魅力を一言で表すなら、その絶対的な美しさである。特に指の美しさと言ったら、この世で世界一の美しい指をしていた。身体の美しさも一級品である。彼女の魅力に、彼の心はすべて奪われた。この美しさには不思議な力が秘められているのだ。彼女に触れられると、自信と勇気が備わり、運命さえも変えてしまう力があった。


つまり、彼女は絶対的な美しさと不思議な魅力を兼ね備えた女神なのだ!!


そして知り合って三年後の春、彼女との間に子供を授かった。ちょうど彼が次の首相に選ばれるか、選ばれないかという時期である。


彼女は彼に言った……


「私を大事にすれば、必ずあなたは幸せになれるわ」


もちろん彼は彼女の言う通りにした。そして彼女にマンションを与えて、生まれてくる子供の為に、すべてをかけて守ると誓った。


彼は幸せの絶頂だった。美しさに溢れる彼女の側に居るだけで、自然と自信がついて生きている実感があった。彼女こそ、自分のすべてをかけて愛さなければならない女性なのだと。






つづく……
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