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21.何故か懐かしいのです
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ありのまま……今起こった事を話すぜ!
偶然出会った学年トップのラノフに探してた本を見つけてもらって、お礼をいって席に戻ったら俺が使おうとしてた机はいつもラノフが使ってたらしくて「良ければご一緒させてください」とか言いながら俺の目の前に座って、気がついたら横に座ってて勉強教えてもらってるんだぜ。何言ってるのか分からねーと思うが俺も分かってない!
ナンデコウナッタ?
しかもラノフ教えるの上手いんだよなコレが……
頭よかったから近所の子達の勉強見たりしてたらしくて、そのお陰で上手くなったとか言ってるけど、それだけじゃないだろ。
前世の先生だって分かりにくい人だっていた。
皆その先生の授業嫌ってたなー……教えベタの癖にエラソーだったし。
いや、前世の話は今は置いといて……男と横に座って……しかも教えるためにめっちゃ近いんですよ。
これやばくね?
見えにくい場所にある席にして良かった。
多分ラノフは小さい子達の勉強見るときもこんな風にやってるんだろうな。
最近は俺に好かれてジョセフに取り入ろうとしてる男ばかりだったから、純粋な自然体で接してくるラノフは嫌な感じは無い。
本の文字を追うように撫でる指はジョセフやお兄様とは違って少し荒れててゴツゴツとしている。
ジョセフとお兄様は剣の稽古をしているらしいから、ゴツゴツしてるけど手入れもしてるからもっと綺麗だ。自分の手を見ると前世とは違って小さく細くて白い手だ。日に焼けたラノフの手と見比べたら差がよくわかる。
「あの……アンジェリカ様?」
いつの間にかラノフの手にくっつけて見比べてたようで戸惑った声が聞こえてきて正気に戻る。
「ひゃわ!ごめんなさい!手が私と違って大きいからつい見比べてしまって……イヤな思いさせてしまいましたよね……ごめんなさい!」
軽率な行動を恥じて慌てて離れる。
ほんと俺は考え込むと回りが見えなくなる。直さないとな……
「ふふ、アンジェリカ様は慌ててばかりですね。大丈夫です。嫌じゃないですよ。確かにアンジェリカ様の手は小さくて可愛らしいです」
そっと俺の手をとり手の甲をするりと撫でる。
その行為はジョセフに手を撫でられる時の事を思いださせ顔が熱くなる。
「あ……あの……」
「す、すみません!庶民のくせに馴れ馴れしいですよね」
ラノフはパッと手を離した。
「私は庶民とか貴族とか気にしません!ですが、私は一応婚約者のいる身ですから……」
「そう……でしたか……貴女の様に愛らしい方が婚約者でしたらとても誇らしいでしょうね。羨ましいです」
それ以上なにも言えなくなってお互いに俯く。
窓の外は夕焼け色に染まり始めている。
そろそろ帰らないとリーチェが心配してしまう。迎え馬車も待たせてしまってるだろう。
俺は広げたノートや本を閉じ、鞄に詰め込む。
「あの……ラノフ様、お勉強見てくださりありがとうございました。一人では分からない事もあったので助かりました」
「いえ、俺も自分の勉強のついでですから」
これでお別れは寂しい気もする。せっかく仲良くなれたのに。でも……
「ラノフ様は毎日ここにいらっしゃるのですよね?」
「え?はい。庶民の俺には本は高くて買えませんから……ここで本を読めるのは至極なのですよ」
「あの……明日も来てもいいですか?また教えて欲しいのです」
ジョセフもお兄様も4日間いないのだ。どうせまた此処で勉強するなら友達ぐらいにはなりたい。
元、男としては男の友達も欲しいのだ。
「ですが……」
「良い点数取って婚約者を驚かせたいんです。それに……ラノフ様は私の友人に雰囲気が似ていて一緒に居ると落ち着くんです。だから良かったらお友達に……」
教えてもらってる間、前世の幼なじみの親友と一緒にいるような感じがしていた。アイツも頭が良くて高校が違うのに、いつもテスト前になると勉強を教えてくれたのだ。
「友人……はちょっと恐れ多いですが、俺で良ければいくらでもお教えしますよ」
「ありがとうございます、ラノフ様!では、迎えを待たせてるので今日はこれで……また明日。ごきげんよう!」
「こちらこそ光栄でございます。また明日お待ちしてます」
互いに立ち上がり礼をして、俺は足取り軽く図書室を後にする。
そんな俺を見送った後、ラノフは再び座ると自分の手を見ながら溜め息をついた。
「なにやってんだ……身分が違いすぎるのに……そうか……婚約者いるのか……いるよな……」
独り言たラノフはもう一度溜め息をついて、ポツリと呟く。
『こんな時……彰がいたらな……』
この国では聞きなれない発音で紡がれた言葉は誰もいない図書室の静寂に吸い込まれて消えた。
偶然出会った学年トップのラノフに探してた本を見つけてもらって、お礼をいって席に戻ったら俺が使おうとしてた机はいつもラノフが使ってたらしくて「良ければご一緒させてください」とか言いながら俺の目の前に座って、気がついたら横に座ってて勉強教えてもらってるんだぜ。何言ってるのか分からねーと思うが俺も分かってない!
ナンデコウナッタ?
しかもラノフ教えるの上手いんだよなコレが……
頭よかったから近所の子達の勉強見たりしてたらしくて、そのお陰で上手くなったとか言ってるけど、それだけじゃないだろ。
前世の先生だって分かりにくい人だっていた。
皆その先生の授業嫌ってたなー……教えベタの癖にエラソーだったし。
いや、前世の話は今は置いといて……男と横に座って……しかも教えるためにめっちゃ近いんですよ。
これやばくね?
見えにくい場所にある席にして良かった。
多分ラノフは小さい子達の勉強見るときもこんな風にやってるんだろうな。
最近は俺に好かれてジョセフに取り入ろうとしてる男ばかりだったから、純粋な自然体で接してくるラノフは嫌な感じは無い。
本の文字を追うように撫でる指はジョセフやお兄様とは違って少し荒れててゴツゴツとしている。
ジョセフとお兄様は剣の稽古をしているらしいから、ゴツゴツしてるけど手入れもしてるからもっと綺麗だ。自分の手を見ると前世とは違って小さく細くて白い手だ。日に焼けたラノフの手と見比べたら差がよくわかる。
「あの……アンジェリカ様?」
いつの間にかラノフの手にくっつけて見比べてたようで戸惑った声が聞こえてきて正気に戻る。
「ひゃわ!ごめんなさい!手が私と違って大きいからつい見比べてしまって……イヤな思いさせてしまいましたよね……ごめんなさい!」
軽率な行動を恥じて慌てて離れる。
ほんと俺は考え込むと回りが見えなくなる。直さないとな……
「ふふ、アンジェリカ様は慌ててばかりですね。大丈夫です。嫌じゃないですよ。確かにアンジェリカ様の手は小さくて可愛らしいです」
そっと俺の手をとり手の甲をするりと撫でる。
その行為はジョセフに手を撫でられる時の事を思いださせ顔が熱くなる。
「あ……あの……」
「す、すみません!庶民のくせに馴れ馴れしいですよね」
ラノフはパッと手を離した。
「私は庶民とか貴族とか気にしません!ですが、私は一応婚約者のいる身ですから……」
「そう……でしたか……貴女の様に愛らしい方が婚約者でしたらとても誇らしいでしょうね。羨ましいです」
それ以上なにも言えなくなってお互いに俯く。
窓の外は夕焼け色に染まり始めている。
そろそろ帰らないとリーチェが心配してしまう。迎え馬車も待たせてしまってるだろう。
俺は広げたノートや本を閉じ、鞄に詰め込む。
「あの……ラノフ様、お勉強見てくださりありがとうございました。一人では分からない事もあったので助かりました」
「いえ、俺も自分の勉強のついでですから」
これでお別れは寂しい気もする。せっかく仲良くなれたのに。でも……
「ラノフ様は毎日ここにいらっしゃるのですよね?」
「え?はい。庶民の俺には本は高くて買えませんから……ここで本を読めるのは至極なのですよ」
「あの……明日も来てもいいですか?また教えて欲しいのです」
ジョセフもお兄様も4日間いないのだ。どうせまた此処で勉強するなら友達ぐらいにはなりたい。
元、男としては男の友達も欲しいのだ。
「ですが……」
「良い点数取って婚約者を驚かせたいんです。それに……ラノフ様は私の友人に雰囲気が似ていて一緒に居ると落ち着くんです。だから良かったらお友達に……」
教えてもらってる間、前世の幼なじみの親友と一緒にいるような感じがしていた。アイツも頭が良くて高校が違うのに、いつもテスト前になると勉強を教えてくれたのだ。
「友人……はちょっと恐れ多いですが、俺で良ければいくらでもお教えしますよ」
「ありがとうございます、ラノフ様!では、迎えを待たせてるので今日はこれで……また明日。ごきげんよう!」
「こちらこそ光栄でございます。また明日お待ちしてます」
互いに立ち上がり礼をして、俺は足取り軽く図書室を後にする。
そんな俺を見送った後、ラノフは再び座ると自分の手を見ながら溜め息をついた。
「なにやってんだ……身分が違いすぎるのに……そうか……婚約者いるのか……いるよな……」
独り言たラノフはもう一度溜め息をついて、ポツリと呟く。
『こんな時……彰がいたらな……』
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