異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

文字の大きさ
63 / 97

62.変化

しおりを挟む
その後、無事にシアと合流を果たした俺は、いつものメンバーが再び集まりお茶を楽しんだ。
シアと合流した際に、なんとシアの弟も一緒にいた。次代のオーウェンス公爵になる子かとジッと見てしまい、恥ずかしそうにシアの後ろに隠れてしまった。クリスティンと名乗ったシアの弟は11歳だそうだ。少々内気で困ってるらしい。

ジョセフは少し離れた、でも見える場所でお兄様とメイヴィスと共に挨拶に来る連中を捌いていた。
さっきミシェル嬢の件もあるからか心配してくれるのはうれしいけど、ホント俺の周りって過保護多いよね。

因みに公爵令嬢で婚約者のいないシアにも子息が群がってきたがすべて笑顔で遠ざけていた。
やたらとご機嫌だったから、想い人に会えたんだろうな。


その後は大したこともなくお茶会は終わりを告げた。





お茶会から数日経ち、休暇も残すところ数日となった。

宿題もなく、時間を持て余した俺はシアに教えてもらった刺繍をしていた。
この刺繍も令嬢としての嗜みらしく、嫁に行くまでにはマスターしておくようにと、休暇の始まりで教えてもらっていたのだ。
アンジェリカは多少できたようで、出来なくはないけど上手いわけでもなく、実家に帰ってからはお母様に暇さえあれば教わるという状態だった。

やりたくないけど料理裁縫は花嫁修業だと前世で聞いたこともある。料理はともかく、刺繍はできて当たり前らしいので、ちょいちょい練習してるという状況だ。

ある程度縫ってから見てみると、歪な花らしきものが並んでいて、項垂れる。

「刺繍なんて嫌いだ~…」

テーブルに放り投げて不貞腐れてソファーに寝転ぶ。
ため息をついて天井を見上げていると、ノックが響いて、慌てて起き上がる。
返事をすると、リーチェが入ってきた。

「お嬢様、ご来客です」
「来客?今日は予定には入ってなかったはずでは?」
「はい。元々はエリック様のご来客でしたが、ジョセフィード殿下もいらっしゃるので、お嬢様もご同席して欲しいと…」
「ジョセフ!?じゃあ服も着替えないと!こんな部屋着じゃだめ!髪もぐちゃぐちゃだし!ナタリー!ナタリーはどこですかー!?」
「お呼びですかお嬢様?」

慌ててナタリーが部屋にやってくる。ワタワタしてる俺の代わりにリーチェが説明してすぐに二人して余所行きのドレスを出して来てくれて、セットもしてくれる。時間がないので凝った髪型はできなかったが髪飾りで可愛くしてくれた。

準備してもらってる間に俺も落ち着きを取り戻したが、なんで俺、慌てて着飾ってるの?女子かよ!
あ、今は女子でした。鏡を見て現実を思い出し項垂れる。動くなと怒られた。今、打ち拉がれてるから優しくしてベアトリーチェさん。

薄く化粧を施してもらってるのを鏡越しに見ながら、俺は自分の心の変化に戸惑っていた。
俺はずっと心は男だと思っていたのに…いや、今でも男だと思ってるのに、時々、自分がまるで女のような思考になる。
そりゃあ今は女だけど……それでも最初はもっと男としての感情が大きかったはずだ。
なのにいつの間にか、最初から女だったような思考になってる。
これはアンジェリカの感情が表に出てるということだろうか…それとも心が体に合わせようとしてるのだろうか…



―――もしアンジェリカが表に出てきたらおれはどうなるのだろう―――


ぎゅっと唇を噛み締める。
そんな俺に気付いた二人が心配そうに俺の顔を覗き込んできて、心配させまいと慌てて「大丈夫」と微笑んだ。

「殿下を待たせるわけにはいかない。2人とも準備ありがとう、行ってくるね!」

明るい声を出して笑顔で部屋を飛び出す。
背中に二人の心配そうな声が聞こえてきたが振り向かずドアを閉めた。
場所は聞いていないが、たぶん客間だろうと歩き出す。

もしも…アンジェリカに戻って俺の意思が消えたら…ジョセフは俺から離れて行ってしまうだろうか…

答えの出ない不安を抱えたまま、客間についてノックをする。
すぐにお兄様の返事が聞こえ、そっとドアを開けた。淑女の礼を取って中に入ると、思いがけない人がそこにはいた。

「お久しぶりでございますアンジェリカ様」

立ち上がり礼を返し、顔をあげると空色の髪が揺れ同じ色の瞳が優し気に俺を見た。

「なんでここに……」

唖然と見る俺に、してやったりとお兄様とジョセフが微笑んでいた。




しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...