【完結】悪役に転生した俺、推しに愛を伝えたら(体を)溺愛されるようになりました。

神代シン

文字の大きさ
45 / 62

第45話「協力者」

しおりを挟む
 『美味い飯』といってユーデルの表情は明るさを少しだけ取り戻したような気がする。そういえば、ユーデルの故郷は「アクアニア国」と舞が言っていた。他のものから消え去っているようにみえる『美味い』という感情はもしかしたらユーデルに残っていたりするのだろうか。


「ユーデル、食ってのは本来楽しいはずなんだ。美味い飯を満足いくまで食ったら幸せになって夜もよく眠れるし、思考も回るようになる。色んな考えを持てるようにもなる。ミケに固執しなくなるだろうし、今のこの現状を冷静に見ることができるようになる」


「……分かるような気もしますが……そんなに変わるのですか?」

「うん。おまえはあの三人の中では一番穏やかそうに見える。だからいろんなやつから色んなことを言われることも多いだろうし、もっといえば、だからこそちゃんと味あるものを食って、運動して、睡眠をとったら心の余裕も全然違うと思うぞ」

「た、たしかに……あんまり寝れてはいませんでしたが……それを特別苦痛だと思ったことはないです」

「それがおかしいんだって。とりあえずこの部屋の前から退く! そして、てめぇはさっさと寝ろ!!」

「で、でも……そしたらミケさんが……」


 ミケのことになると、全然話が進まない。本当は空き部屋を探して寝る予定だったのに。


「…………分かった。俺がここで寝る! 毛布あるか?」


 ユーデルに寝袋毛布を持ってきてもらい、仕方がないのでミケの部屋の前で寝ることにした。


 ユーデルから毛布を受け取り寝る準備を開始する。


「あ、あの……本当にここで寝るんです?」

「……おう」

「風邪ひきますよ」





 幸い、廊下に時計が飾られていたために時間を確認することはできた。

「…………おい、貴様、なぜこんなところで寝ている」

 頭上で聞き覚えがある声が聞こえてきた。視界にはぼんやりとレイが映っていて、ビックリして飛び起きる。


「……あ、レイ?」


 ユーデルの為にここにいましたなんて言えるわけもないし、なんでと言われたら何も言い返せない。言葉を返すことができないままシーンと静まり返る空間で、「あ、ん、んん……」ミケの部屋から何やらミケの声らしき声が聞こえてきた。

 …………ん? これって…………

 レイはなに食わぬ顔で「リリックが私の許可を得て、ミケの部屋の中に入っていったぞ」と俺に告げた。


 …………なっ!

「え!? なんで、俺寝てたろ!?」

 ドアの向こう側に聞かれないように、レイに小さく問う。するとレイは、「起きていなければ、こうして簡単に入られてしまうではないか」と、もっともな返しをしてきた。


 …………う、それもそうだけど。ユーデル、ごめん……!


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw

ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。 軽く説明 ★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。 ★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

処理中です...