千枝のスマホダイアリー

激動な１１月

１１月４日（火）１９：１８

　一応、藤堂さんには謝ったのですが、まだまだ気まずいから無理ですってば。

　ゆかりちゃんに会ってきた。そして、組まれた雑誌の特集、百地さんと私の合作だと伝えて、渡したら、ゆかりちゃんは、目をキラキラさせて、「おー……」といっていた。
　グランピングとキャンプの特集だもんね。

　今日は１日、あの男に追い回された。
　お昼からの仕事で、藤堂さん（気まずい）がいるのにも関わらず、私に大きな声で話しかけてきて、自己紹介されたけど、正直、生理的に無理すぎて名前を覚えていない。
　勘違い男っぽいから、「カンチ」と呼ぼうかな。
　藤堂さんは、カンチに、「君は何かね？　こちら編集部から用があれば、自らそちらの部署に連絡はする。私語ならば慎みたまえ」と睨みながら伝えたら、カンチは怯えるようにその場を立ち去った。
　藤堂さんは心配した顔つきで、「君には色んな人が寄ってくるんだな」といってきた。
　このギクシャクした関係も、少しばかりか慣れてきたような気がする。

　話は戻り、ゆかりちゃんに、カンチの話をしてみた。
「まだ、今日１日だけなんだよね？」
　相変わらず、ゆかりちゃんは、半開きの目でボーとしている。
「今日１日だけでも、結構堪えるって！　あーいう男は！」とはいいつつも、「藤堂さんに、『君には色んな人が寄ってくるんだな』っていわれて心配されたし」といったら、ゆかりちゃんは、「雑誌のことは、嬉しい。でも、これも藤堂さん案件じゃないの？　藤堂さんを盾にしてしまえばいい。そして、藤堂さんを彼氏にすれば良いじゃん」といってきて、私は思わず、顔を真っ赤にして、
「ゆかりちゃん！！！！」と叫んでしまった。
「えーだってさー、そのための上司じゃないのー？」と続けて反論された。

……確かにそうなんだけれども。