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第1章:記憶の狭間編
第2話:さよなら、未来
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──あの頃の俺は、未来に歌を託していた。
けれど、声を失った日、未来もまた、静かに音を失った──
──1998年 秋・高校3年生──
◆文化祭ライブ前日◆
放課後の音楽室。
窓から差し込む夕陽の中で、シュンはバンドのメンバーたちと最後の練習をしていた。
ギター:タクヤ
ドラム:コウ
キーボード:カナ
ボーカル:シュン
「みんなどう? 調子は?」
「俺はバッチリ! うまくいくしかないっしょ! だって俺だし!」
「吾輩はいつも通りビートを刻むだけ、それ以上でもそれ以下でもない。合掌」
「あーしはド緊張してる。どうしよう、指動くかな?」
「カナ、そう言ってるけど、始まったらめっちゃはじけるクセに!」
「だな! いつも引くくらい頭振るもんな、カナは……」
「それ言わないでよ……映像見て、いつも顔真っ青になるんだもん」
「吾輩はビートを刻むだけ……合唱」
シュンは思わず笑った。
「みんないつも通りだな! よし、明日は高校最後のライブ、頑張ろうぜ!」
「あ、シュン、明日レーベルの人来るってさっき連絡あったぜ!」
「え? マジ??」
「これで俺らもメジャーデビュー!」
「たかが文化祭で何言ってんだよ……ないない!」
──やばい、本当に不安になってきた……
「吾輩は、ビートを──」
「やばい、ド緊張……」
──俺が信頼しているメンバー。
彼らのためにも、成功させなきゃ。
「ないない」と言いつつも、未来への足掛かりになるかもしれない──期待と一抹の不安を抱えて。
『夢を翔ける』──それは、俺が初めて作詞作曲した曲だった。
“遥か彼方へ 夢を乗せて いつか君を迎えに翔けるよ”
まだ何者でもなかった自分が、夢を追いかけて遠くへ翔ける姿を描いた歌。
──けれど、このときの俺は、
まさか「声を失う」未来なんて想像していなかった──
あの日、俺は未来を歌っていた。
だけど──声を失った瞬間、「未来」も消えたんだ。
◆文化祭ライブ当日◆
「シュン、大丈夫か?」
バンド『Parallel Spiral Junction』のリーダー、タクヤが心配そうに声をかけてくる。
「まあな……」
体育館のステージ。
客席にはクラスメイト、後輩、そして──ユリカの姿もあった。
──頼む、今日だけは、ちゃんと歌わせてくれ──
【ステージ:1曲目『夢を翔ける』】
タクヤのカウントが鳴り響き、ドラムが走り出す。
シュンはギターを握り、マイクに向かった。
“遥か彼方へ 夢を乗せて──”
……声が、出ない。
喉が、張りついたように固まっていた。
異変に気づいたタクヤがギターの音量を上げ、必死に繋ごうとする。
しかし、観客はざわつき始めた。
◆楽屋裏◆
ライブ終了後、誰とも目を合わせず、楽屋の隅に座り込んでいた。
「シュン、どうしたんだよ?」
「……ごめん。俺のせいで全部台無しにした」
「バカ言うなよ。お前がいなきゃ、このバンドは始まってすらないんだぞ」
シュンは、昨日ひとりで無理に練習していたことを打ち明けた。
「医者に言われてたんだ。これ以上無理すると、喉が潰れるって……」
「なんで言わなかったんだよ……」
「ごめん。俺の声帯が弱かっただけ。才能もなかったんだ。みんなの夢、壊してしまった……」
──俺は、もう歌えない。
◆ユリカとの別れ◆
「シュン……」
楽屋の外で、ユリカが待っていた。
「今日のライブ、楽しみにしてたのに」
「……ごめん」
「でもね、私、シュンが歌えなくなったこと、分かってた。あの時から──」
“あの時”とは、2年前の文化祭。
「ユリカ、俺はもう──」
「違うよ」
「シュンは、歌えなくなったんじゃない。自分の『未来』を怖がってるだけ」
「怖がってる……?」
「未来を怖がるとき、人は声より先に“心”が閉じるの」
「そんな、俺、怖がってなんか……」
「ずっと見てた。誰よりも音楽に真剣で、誰よりも夢を信じてた。でも、声を失うのが怖くて、自分の心まで閉ざしちゃったんだよね」
「……」
「シュン、私はね、あなたの歌が好きだったよ。声が出なくても、私はずっと──信じてる」
ユリカの目に、涙が浮かんでいた。
「でも、私も前に進まなきゃ」
「え?」
「海外留学、行こうと思うの」
「……なんで今それを……」
「シュンが夢を諦めるなら、私は待つ理由を失うから。私も、踏み出すね」
「俺、歌えなくても……ユリカのそばにいたい」
「ダメだよ。だって、私がいると、シュンは歌を思い出すでしょ? あの曲、私に作ってくれたの、気づいてた」
ユリカは背を向けて、歩き出した。
シュンはその背中に何も声を掛けられなかった……。
◆雨の帰り道◆
傘もささず、夜の街を歩く。
雨が頬を打ち、喉の奥が焼けるように痛む。
「もう……歌えないのか……ユリカにも会えないのか……」
涙と雨の境目は、すでになかった。
空に向かって、音にならない叫びを放つ。
「くそぉぉぉぉぉ……!」
◆自室:デモテープ『夢を翔ける』◆
帰宅し、カセットデッキの再生ボタンを押す。
“遥か彼方へ 夢を乗せて──”
そこには、まだ夢を信じていた頃の自分の声があった。
「もう、俺の声は……未来には届かない」
◆ギターを封印◆
ギターをケースにしまい、部屋の隅に押し込んだ。
「もう、歌はやめる。夢なんか、もう追わない」
──これが、俺の「さよなら、未来」だった。
―夢を翔ける―
【作詞・作曲:シュン】
遥か彼方へ
夢を乗せて
いつか君を迎えに翔けるよ
涙ふいて
どこか遠くできっと僕を待ってる
気がするんだ
どうか強く 願っていて
遥か彼方へ
夢を乗せて
毎日手を前に伸ばすんだ
ひんやりとして
どこまででも続く夜空みたく
パシャッと笑って
長く愛を育んでいて
ずっと忘れないから
ずっとずっと
探しているんだ
赤い赤いあの星を
まるで僕たちを見上げてるみたいで
その姿愛おしくて
頬を赤く染めた
ため息をついた
まるで僕たちが見るまで
この夜明けはやって来ない
「私のこと信じて」とばかりに
遥か彼方で夢をみてる
君のことを迎えに翔けるよ
外はひんやりして
あの日と同じ風がひとりじめ
パシャッと笑って
流れ星に言うから
「長く愛を育んでいて」
長く愛を育んでいて
ずっと忘れてないから
遥か彼方へ
夢を乗せて
いつか君を迎えに翔けるよ
涙ふいて
どこか遠くできっと僕を待ってる
気がするんだ
どうか強く 願っていて
遥か彼方へ
夢を乗せて
いつか君を迎えに翔けるよ
涙ふいて
どこか遠くできっと僕を待ってる
気がするんだ
どうか強く 願っていて
(第3話へつづく)
▶ 第2話のテーマソング『夢を翔ける』はこちらから視聴できます。
🎧https://suno.com/s/O2JCrUxN2qzEuI8H
けれど、声を失った日、未来もまた、静かに音を失った──
──1998年 秋・高校3年生──
◆文化祭ライブ前日◆
放課後の音楽室。
窓から差し込む夕陽の中で、シュンはバンドのメンバーたちと最後の練習をしていた。
ギター:タクヤ
ドラム:コウ
キーボード:カナ
ボーカル:シュン
「みんなどう? 調子は?」
「俺はバッチリ! うまくいくしかないっしょ! だって俺だし!」
「吾輩はいつも通りビートを刻むだけ、それ以上でもそれ以下でもない。合掌」
「あーしはド緊張してる。どうしよう、指動くかな?」
「カナ、そう言ってるけど、始まったらめっちゃはじけるクセに!」
「だな! いつも引くくらい頭振るもんな、カナは……」
「それ言わないでよ……映像見て、いつも顔真っ青になるんだもん」
「吾輩はビートを刻むだけ……合唱」
シュンは思わず笑った。
「みんないつも通りだな! よし、明日は高校最後のライブ、頑張ろうぜ!」
「あ、シュン、明日レーベルの人来るってさっき連絡あったぜ!」
「え? マジ??」
「これで俺らもメジャーデビュー!」
「たかが文化祭で何言ってんだよ……ないない!」
──やばい、本当に不安になってきた……
「吾輩は、ビートを──」
「やばい、ド緊張……」
──俺が信頼しているメンバー。
彼らのためにも、成功させなきゃ。
「ないない」と言いつつも、未来への足掛かりになるかもしれない──期待と一抹の不安を抱えて。
『夢を翔ける』──それは、俺が初めて作詞作曲した曲だった。
“遥か彼方へ 夢を乗せて いつか君を迎えに翔けるよ”
まだ何者でもなかった自分が、夢を追いかけて遠くへ翔ける姿を描いた歌。
──けれど、このときの俺は、
まさか「声を失う」未来なんて想像していなかった──
あの日、俺は未来を歌っていた。
だけど──声を失った瞬間、「未来」も消えたんだ。
◆文化祭ライブ当日◆
「シュン、大丈夫か?」
バンド『Parallel Spiral Junction』のリーダー、タクヤが心配そうに声をかけてくる。
「まあな……」
体育館のステージ。
客席にはクラスメイト、後輩、そして──ユリカの姿もあった。
──頼む、今日だけは、ちゃんと歌わせてくれ──
【ステージ:1曲目『夢を翔ける』】
タクヤのカウントが鳴り響き、ドラムが走り出す。
シュンはギターを握り、マイクに向かった。
“遥か彼方へ 夢を乗せて──”
……声が、出ない。
喉が、張りついたように固まっていた。
異変に気づいたタクヤがギターの音量を上げ、必死に繋ごうとする。
しかし、観客はざわつき始めた。
◆楽屋裏◆
ライブ終了後、誰とも目を合わせず、楽屋の隅に座り込んでいた。
「シュン、どうしたんだよ?」
「……ごめん。俺のせいで全部台無しにした」
「バカ言うなよ。お前がいなきゃ、このバンドは始まってすらないんだぞ」
シュンは、昨日ひとりで無理に練習していたことを打ち明けた。
「医者に言われてたんだ。これ以上無理すると、喉が潰れるって……」
「なんで言わなかったんだよ……」
「ごめん。俺の声帯が弱かっただけ。才能もなかったんだ。みんなの夢、壊してしまった……」
──俺は、もう歌えない。
◆ユリカとの別れ◆
「シュン……」
楽屋の外で、ユリカが待っていた。
「今日のライブ、楽しみにしてたのに」
「……ごめん」
「でもね、私、シュンが歌えなくなったこと、分かってた。あの時から──」
“あの時”とは、2年前の文化祭。
「ユリカ、俺はもう──」
「違うよ」
「シュンは、歌えなくなったんじゃない。自分の『未来』を怖がってるだけ」
「怖がってる……?」
「未来を怖がるとき、人は声より先に“心”が閉じるの」
「そんな、俺、怖がってなんか……」
「ずっと見てた。誰よりも音楽に真剣で、誰よりも夢を信じてた。でも、声を失うのが怖くて、自分の心まで閉ざしちゃったんだよね」
「……」
「シュン、私はね、あなたの歌が好きだったよ。声が出なくても、私はずっと──信じてる」
ユリカの目に、涙が浮かんでいた。
「でも、私も前に進まなきゃ」
「え?」
「海外留学、行こうと思うの」
「……なんで今それを……」
「シュンが夢を諦めるなら、私は待つ理由を失うから。私も、踏み出すね」
「俺、歌えなくても……ユリカのそばにいたい」
「ダメだよ。だって、私がいると、シュンは歌を思い出すでしょ? あの曲、私に作ってくれたの、気づいてた」
ユリカは背を向けて、歩き出した。
シュンはその背中に何も声を掛けられなかった……。
◆雨の帰り道◆
傘もささず、夜の街を歩く。
雨が頬を打ち、喉の奥が焼けるように痛む。
「もう……歌えないのか……ユリカにも会えないのか……」
涙と雨の境目は、すでになかった。
空に向かって、音にならない叫びを放つ。
「くそぉぉぉぉぉ……!」
◆自室:デモテープ『夢を翔ける』◆
帰宅し、カセットデッキの再生ボタンを押す。
“遥か彼方へ 夢を乗せて──”
そこには、まだ夢を信じていた頃の自分の声があった。
「もう、俺の声は……未来には届かない」
◆ギターを封印◆
ギターをケースにしまい、部屋の隅に押し込んだ。
「もう、歌はやめる。夢なんか、もう追わない」
──これが、俺の「さよなら、未来」だった。
―夢を翔ける―
【作詞・作曲:シュン】
遥か彼方へ
夢を乗せて
いつか君を迎えに翔けるよ
涙ふいて
どこか遠くできっと僕を待ってる
気がするんだ
どうか強く 願っていて
遥か彼方へ
夢を乗せて
毎日手を前に伸ばすんだ
ひんやりとして
どこまででも続く夜空みたく
パシャッと笑って
長く愛を育んでいて
ずっと忘れないから
ずっとずっと
探しているんだ
赤い赤いあの星を
まるで僕たちを見上げてるみたいで
その姿愛おしくて
頬を赤く染めた
ため息をついた
まるで僕たちが見るまで
この夜明けはやって来ない
「私のこと信じて」とばかりに
遥か彼方で夢をみてる
君のことを迎えに翔けるよ
外はひんやりして
あの日と同じ風がひとりじめ
パシャッと笑って
流れ星に言うから
「長く愛を育んでいて」
長く愛を育んでいて
ずっと忘れてないから
遥か彼方へ
夢を乗せて
いつか君を迎えに翔けるよ
涙ふいて
どこか遠くできっと僕を待ってる
気がするんだ
どうか強く 願っていて
遥か彼方へ
夢を乗せて
いつか君を迎えに翔けるよ
涙ふいて
どこか遠くできっと僕を待ってる
気がするんだ
どうか強く 願っていて
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